不必要な話はしない
ぼくたちにはもうあまり時間がない
飾りもときには必要だけれど
いまはそういうときじゃない
死んだ蝉が生き返ることはない
でも地面の下では
蝉の幼虫たちが生きていて
....
恐竜は鳥になってしまった
大空を羽ばたくかわりに
偉大さをなくした
朝 にわとりが声をあげる
恐竜の飛べない子孫が
景気よく声をあげる
より大きなものを知るためには
偉大であって ....
からっぽな心身にはなんでも入る
八杯目の焼酎も
ヒーリングミュージックも
ノイズも
精液も
入ったはしから空になる
ただ身体を通り過ぎてゆく
栄養にならない黒いかけら
歯も
....
希望があるから絶望があるんである
絶望したくなかったら
希望なんぞ持たぬがよろし
数独を解くのに飽きたわたくしは
今日七杯目の焼酎をつぎながら
わたくしの幸運なる結婚生活について
(た ....
きみのせいで夏が終わらない
扇風機がかきまわす生温い空気のなかで
今日六杯目の焼酎を呑む
ツクツクホウシが鳴き出して
もうとっくに朝だということは自覚している
ついこのあいだまで
わた ....
家族愛はすべてこれを禁ずる。
愛は諍いの源であり、
家族を無謀にも守ろうとするときの愛こそは、
もっとも危険な諍いを生むからである。
落ちてゆく者は、
落ちるがままにとどめる。
かれを ....
どんな時も星空はある。
雨の夕方にも曇りの真夜中にも
青々と広がる空が頭上にあるときも。
その青空の、雨雲の、曇天の、
その上には常に闇があり星があり、
この世は闇に閉ざされた空間こそが常で ....
黄色と黒の市松模様の世界で
わたしは探している
くらくらするのは気圧配置のせい
でなければ起立性低血圧のせい
あなたのせいじゃない
あなたのせいにはしない
黄色と黒の市松模様はくるくる踊る ....
ほんとうのことは知らない
まつぼっくりがとても燃えやすいことは知っている
眠っていても
自分がものすごい勢いで回転していること
はるか遠い一点を目指して疾走していること
そんなことを知ってい ....
お部屋はお気に召しましたか?
お部屋の窓から見える山にはヒグマがおります
わたしどもの誇りとする山々でございます
あの山から流れる川はそれはそれは清らかで
オショロコマはもちろん
イトウも大 ....
夏至の夜なのに
どこかでバンシーがすすり泣いている
火のように赤いときくあの瞳は
いま誰のために濡れるのだろう
夏至の夜なのに
不安が両肩におちてくる
夏至の夜
神さまにお祈りし ....
手首を切り落とす、
という妄想が頭から離れない。
私の手首を切り落とすのではない。
最愛の人の手首を切り落とすのである。
切り口はなるべくすっぱりと潔いのがよい。
切れ味よく骨まで切り落 ....
あのひとのことのはひとつひとつにもあのひとがゐてわれをまどはす
***
からっぽであるということ殻ですらないということそれでも私
眠れないまま待っている夜明け前祟るってえならとっとと ....
夕暮れの窓辺で君は、膝にとまる蚊をみていた。君は決して蚊を叩かない。君は蚊に刺されながら、蚊よりはるかに太く鋭い刃に刺されることを夢みる。僕は刃を持たない。君が蚊に刺されるのを見ながら君の髪を撫でる。 ....
私かて10年前の文章を発表したくなる気分のときはある。そして実際にお蔵から引っ張り出してきたこともある。しかしいまそんなことやろうとは思わない。そんなまどろっこしいことやってられっか。世の中はすでに変 ....
夜な夜な通う男があった。
おのれとは不釣り合いな貴人であると思ったから、
娘は誰にも告げなかった。
幾山越えて川越えて
林を抜けて森抜けて
夜な夜な参る者の名を
ちちはは知らずたれ知ら ....
昨日と今日は同じだと嘆くひとは
今日が今日のままであることを願っている。
自覚のない矛盾がそのひとを支える。
空の星
足もとの雑草
キーボードの上の埃
なにひとつ
昨日と同じではない ....
お昼までの酔い
午後に恐竜が現れてもわたしはしらない
みみずのしっぽは空をむく
定家葛はひたすらのびる
墓にしがみついていたわたしの腕は朽ちた
あなたは植物みたいに芽を吹き出して
わたしが ....
背が高いとは限らなかったよ
ちいさいやつもいた
まあちいさいのもでかいのもばかだった
さわらなきゃいいのに火にさわるのはやつらだった
火傷したくなけりゃ
火からすこしだけ離れていたらすむ ....
世界が私の選択次第で滅ぶとして
いやはや私がなにをしようと
いつか滅ぶことはきまってるんだが
世界とあなたとを天秤にかけたら
世界のほうがもちろん大切なはずである
まったく信頼おけないあほー ....
ビールって味が濃いね苦いねと
感じるようになったら
あんたはもう
おしまいだよ
でなきゃ
まだはじまっていないんだ
発泡酒
その他の雑酒
ビール風味のリキュール
いろいろある ....
もう四月もなかばをすぎたので
夜明けの空はあかるい
あのあたりにさそり座があるんだよと
指さしても
そこにあるのはただうすあかるい空で
輝かしい過去も
きらめく未来も
いらない
....
あかるくひかる空の雲は氷点下である。
なにを恐れているかしらないけど
きみはあかるい空をあおぎおびえる
わきあがる雲をみてふるえる
ゆらぎさる風にふれておののく
きみを
ちょっとだ ....
おまえの夢の木造住宅に
俺の影は現れているだろうか
俺は夢のなかをさまよい
どこまでも飛べる幻想を享楽し
なにもかもおもうまま扱えるはずの
おそろしいほどの自由を手にしながら
おま ....
彗星は氷の塊だと教わりました
ゆんゆんと楽しげに
春風はすぎてゆきます
りんりんとさかしげに
春の日がおちてきます
春風は単に空気の移動な ....
酒場でひとりグラスを傾ける女を見かけたら
ほっとくのがいちばん
そんなのは性悪女に決まってる
吸ってる煙草がタール7mg以上だったら
まず確実に性悪ね
子ども生んだことがなかったらなおさらね ....
それであなたが納得するとはとうてい思えないのだが
今夜は寒すぎるし
わたしは少し老いた。
米に入り交じる雑穀のような
赤黒いぶつぶつが肌に吹き出る。
これがアレルギーであるとして
いっ ....
大寒の深夜
暗い庭で蝉が鳴く
薄い羽根は夜空を映して
灯りがあればきらめくことだろう
放置されたバケツの
冷たい水のうえで
蝉は羽根を広げる
蟻酸より不味い舌は蟹に喰わせろ!
イヌノミはネコノミより弱いのだ!
サーベルタイガーは牙が長すぎたのだ!
だからなんだ!
えいえい黙れ黙りやがれ黙らねーと
太陽のフレアにつっこむぞ!
暗黒 ....
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{dt}佐々宝砂(携)[21:03:02]{dd}佐々宝砂、主催のくせに仕事都合で一時間遅れます
{dt}佐々宝砂(携)[21:03:46]{dd}みんなに俳句くばらないとはじまらんので ....
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