君を想っている
君を感じている
君は僕が生まれてきた時
どこかに落としてきてしまった
大切なもう片一方
たとえ遠く離れていても
いつもそばにいる
そのことを
忘れないでほしい
 ....
窓をひとつひとつ
捨てた
魚のうろこを剥ぐ時のような
つうっとした痛みも無く
部屋はほのかな幸せとともに
凪いだまま夕闇へと
進行していた
それから壁に
偽物の窓を描き
美し ....
水戸黄門の印籠がミトコンドリアになった、と昼のニュースで


これがミトコンドリアです、と書いた近く日直の僕の名がある


明日からあなたが使うベッドを夜中に一人で組み立てている
 ....
セミの抜け殻を
たくさん集めて帰った
何となく
母にほめてもらえる気がした
母はパズルのピースが足りない
と探していた
父は受話器を握り
そこをなんとかお願いします
そう繰り返 ....
立ってる君、座っている僕、違う遠さの水平線を見てる



洗濯物干しといて私ちょっと銀行強盗してくるから



ごめんなさい、なら何度でも言います。謝罪と反省はただなので


 ....
きみにそっくりな犬が
くさりにつながれていた
きみの名前を呼びながら
頭をなでたら
涙がボロボロ流れて
止まらなかった
やっぱりきみが好きだった
さよならと書けずにsayonaraと書く僕らのポエムは今日も悲しい



鼻のにきびをさっきから気にしてるあなたは僕の大切な人



誰にも食べさせないよと子牛を抱きしめ泣いた従兄弟と ....
どこにも行かないバスに乗りたい。君の拙いお弁当を持って。


雑草といっしょに雑草以外のものも抜いた真夏の裏庭


家に帰る途中、下水道工事をする父を見かけて手を振る


ノック ....
ベッドが泣きべそをかきながら
部屋の中をうろうろしていた
寝ぼけて
もう何が何だかわからないのだ
思わず笑いそうになったけれど
どの引き出しが口なのか
自分でも判別がつかなかった

 ....
振り返る
後ろから来る君がはぐれないか
振り返ること

振り返る
君がいなくても
他にはぐれた人がいないか
振り返ること

多分そんなことを教わったのだと思う
それが本当の愛な ....
少年と少女のささやきが
午後いっぱいの光をあびて
牛になる
と、牛飼いの男がやって来て
どこかに連れて行ってしまう
もう少年も少女の
ささやきはしない
語られる愛と
愛に似たものは
 ....
わたしの中を
夜の明ける方へと飛ぶ
一羽の鳥がいる
同じころ
一羽の鳥の中を
どこまでも墜落する
わたしがいるのだ
その日最初の列車が
古い踏切を通過していく
建物の窓はひとつ
ま ....
色をぬる記憶
人に触れる記憶
僕らの言葉が
キスを学習すると
背中にも匂いがあってよかった
バッタのようなものが
死んでいたよ
あのあたり
空も見ないで
僕らは縄跳びをします
回数はとっくに僕らの歳を超えて
縄の外、日が暮れていきます
僕らは縄をなくし
それでも縄跳びは終わることなく
気がつけば僕らは形をなくしています
誰もが僕らのこと ....
夜中、リビングに降りると
テーブルがひとりで
テレビを見ていた
外国の戦争映画だった
たくさんの人が
次々に命を落としていった
リアルなくらい
みな清潔な最後だった
突然テーブ ....
世界の端っこのようなところで
僕と牛とがシーソーをしている
ぎったん、ばっこん、する度に
審判の人が紅白の旗を挙げて
正誤を判定する
あまりにも長すぎたね
どっちがどっちなのか
 ....
すべてを失っても俺はピアノなのだ
鉛筆は言い出した
プラスチックの筆箱の中
いくらなだめても聞く耳を持たない
仕方なく握るところを鍵盤に見立てて
弾く真似をしてみた
もちろん音が出るわ ....
君が糸電話を作っていた
夕暮れまで
まだ時間があるというのに
いったい誰にかけたかったのか
小学校の図工の時間のように
器用な指先で紙コップの底を切り取り
セロハンを貼っている
 ....
苺ジャムから
苺を引いたら
夕日が残った
誰も地下鉄になど
乗ったことの無い町だった
くすんだ陽射しの中
食品工場の隙間では
猫たちがよく逢い引きをしていた
友だちにもみな両親 ....
夜の明ける頃
苺ジャムの小瓶を積んだ船が
幅広の海へと出港する
その間にも
私たちには忘れていく言葉があり
その言葉を思い出すために
また忘れられていくものがある
産まれてきたし ....
牛のお肉が
ぴとぴとと
月の光に貼りついてる
生きているときは草をよく食み
くるぶしも美しかった
のだと思う
わたしのお肉もきっと同じ色をして
人のことをかつて愛したのも
この肉の ....
虹を食べ過ぎてしまったか
のように少し大きい女の人が
愛という字を
消しゴムで消し続けている
あの鉄橋を渡れば私の故郷があるのよ
と指差す先には
窓がないので
景色の良く見える庭 ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
頭の上に
鳥が卵を落としていった
やがて卵は孵り
駅が産まれた
列車が到着しても
人のざわめきもない
さびしい駅だった
かすかに潮の香りのする
海沿いの駅だった
その重さで首 ....
駅前で兄を探していたら
母と会った
隣に父がいた
移動の最中だった
兄の居場所を尋ねると
二人ともよく笑った
私もいっしょになって
昔のように笑った
父が小さな扉を指差したので ....
タイも
ヒラメも
マグロも
みんないました
白いお皿の上で
おそろいのお刺身でした
海みたい
子が言いました
まだ海を
見たことのない子でした
交差点の向こう側で
指揮者がタクトを振っている
その動きに合わせて
たくさんの仔猫たちが
次々に海へと入っていくのが見える
カタクチイワシの群れが来ているのだ
胡麻漬け
卯の花漬 ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
家に帰ると
なかったはずの、が
いて
言わなかったはずの
おかえりを
言ってくれる
それから
なかったはずの
夕食の支度が始まる
なかったはずの、は
キッチンで月の光のよう ....
母とふたり
ブランコを引きずって歩く
強い陽射しに皮膚は焼かれていく
健康に良いことだ
母は教えてくれた

たくさんの人とすれ違う
みな一様に微笑んでくれる
支柱が肩に食い込んで痛 ....
たもつ(1783)
タイトル カテゴリ Point 日付
ラブレター自由詩14*06/12/1 11:51
戦火自由詩1706/11/25 16:28
ミトコンドリア系短歌9*06/11/23 12:30
セミの抜け殻パズル自由詩19*06/11/21 17:42
君と見ていた短歌1806/11/18 16:42
やっぱりきみが好きだった自由詩1906/11/17 10:38
sayonara.com短歌2406/11/13 23:00
最終バス短歌1906/11/9 23:15
たんす自由詩1206/11/8 22:27
自由詩1206/11/8 14:21
ささやき自由詩606/11/6 20:05
夜明け自由詩2906/11/5 15:51
初恋自由詩906/11/2 18:46
産声自由詩1306/10/29 22:25
生存自由詩16*06/10/27 20:38
記憶自由詩1306/10/26 20:59
鍵盤自由詩1006/10/24 18:29
図工自由詩1406/10/21 19:56
苺ジャム幻想自由詩19*06/10/18 22:24
自由詩11*06/10/18 8:37
お肉自由詩506/10/17 17:13
景色自由詩906/10/16 18:47
空腹自由詩3606/10/14 21:59
たそがれ駅十七時五分発自由詩16*06/10/9 19:10
旅立ち自由詩1506/10/7 21:47
水面を知らない自由詩1206/10/5 8:44
カタクチイワシの仔猫たち自由詩16*06/10/1 21:06
さよなら自由詩2806/9/28 19:38
なかったはずの自由詩1306/9/26 22:42
夏汗自由詩1006/9/25 22:02

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