あげたかった
必要なものはすべて
コップが限界だったのに
それ以上だと作れなくて
カステラみたいに
手は千切れてしまうのに

(2006.6.11)
晴れわたっていた
ページをめくるたびに
空はその青みをまして
澄んだ悲しみのように
雲ひとつ見つからない
その向こう側から
誰かが僕の名を呼んでいる
今朝旅立つことは
すでに決めていた ....
表情の中を魚が泳ぎ
わたしたちは
知らない名前まで
食べなければならなかった
表情の人は会釈をすると
良い色のうちわをくれた
その夏は
たくさん扇いだ

(2006.6.9)
日々の営み
食べかけのマンゴー
砂のようにどこまでも
ずれていく少年
手段を知っている僕たちは
まだ本当の悲しみを知らない
日々の営み
食べかけのマンゴー
それが癖であるかのように微笑 ....
水面でも生きていけた
音も音以外のものも
やがて最後は雨となって
わたしはいつもの
退屈な境界線になった
明日は全国の会議室で
美しい花が観測されるでしょう
予報士は丁寧にお辞儀をすると ....
一枚のざぶとんに
君と背中あわせで座っていると
温かさがここまで伝わってくる
つまりそれは
君のここに
僕の冷たさが伝わっている
ということなのだろう
二人の真ん中くらいに夕日は落ち ....
雪の真似事が得意だった叔父は
危ない、と言われていたのに
ある日原っぱのようなところで
なくなってしまった
話をする様子がいつも苦しそうだった
幼い私を見ても
たかいたかい、しか
 ....
私は私の血
息をしないと
自分に苦しい
私は私の血
ブレーキをしないで
坂道を駆け下りていく
熱い日ざしを反射して瓦
生家がみえる

(2006.6.4)
かつて見送られるもののために
窓はあった
そしていま窓は
残されたもののためにある
窓を開け放ち
潮の匂いのする風を迎え入れる
誰かが忘れていった
化石の海が
ひとつ置かれている

 ....
階段は増え続けた
僕らの知っているところや
知らないところで
やがてこの街は
階段で埋め尽くされてしまう
のではないかと思う
そうしたら君と
階段の無い街に行って
日にあたりながら ....
給湯器のように優しい
考えちゃいけない
考えちゃいけないから
床のタイルを交互に黒く塗ってる
隣に住んでるおじさんの泣く声が
ここまで聞こえてくる

(2006.6.1)
屋根が卵を産んでいる
やがて孵化した屋根は
その下に家をつくる
中では人が
また息を始める

山木の斉藤さんと
いとこにあたる人が訪ねてきたので
午後からわたしたちは
外に出て遊 ....
加瀬さんの実家にイチゴ狩りに行った
シーズンが過ぎると職場の同僚とその家族を呼び
完熟して出荷できなくなったイチゴを取らせてくれるのだ
妻も娘も毎年その行事を楽しみにしている
昨年も一 ....
夜明けの街を
一台のインクジェットプリンターが
走り抜けていく

どこからか受信した文字のようなものを
ありったけの紙に印刷しながら
おそらくそれは全力で
疾走していく

雨上がりな ....
ゼロックスを担いだ人が
命を狙いに来たので
タンポポで応戦しました
給紙トレーでの攻撃は
すさまじいものがありましたが
こちらの花弁も負けてはいません
雨でアスファルトが濡れている
 ....
 *

朝起きて色を塗る
テーブルの上にある
野菜ジュースの中を
遠くまで行くことは
とても難しい

 *

虹を壊し
虹に壊されながら
走る子どもたちの足音が
回覧板でまわ ....
きみの睡眠の中を走る
列車の軋む音を聞くと
世界が本当に
平面であることがわかる
ぼくらは座席に並んで腰をかけ
お手製の弁当を食べる
屋根の瓦が一枚落ちかかっているのだ、と
きみはさっき ....
五年かかって庭の木にやっと
たわわにおっぱいが実った
刺身、焼き、しんじょ、シチュー
いろいろあるなかで
やはり茹でて食うのが一番うまい
マヨネーズは味が濁っていけない
つけるのなら酢醤油 ....
発車ベルが鳴ると
髪の毛が風に笑ったね
誤算だったね
脚の長い女の子の
脚が長くてきれいだったね
「栞」を「おしり」と読んで
男の子がはしゃいでいたね
それはきっと僕だったね
 ....
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから

わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話し ....
疲れた、と

至近距離から
鼻毛ロケット
発射
安い惣菜
しこたまのお土産

寝る間も惜しんで
発射
紙に文字を書くような音で
バス到着
疲れた、と

乗 ....
生野菜が部屋を出て行く
生の野菜
それだけの理由で
ぼくらはたくさんの歯形をつけた

外では大切に育ててきたバス停が
音もなく
静かに腐っている
逝くものだけが優しいのだ、と
き ....
窓辺に頬杖し
少年は大きな音を立てて通過する列車を眺めていた
用事があればそれに乗ることもあった
ボックス席の窓側に好んで座り、近くにくれば
自分がいつも列車を眺めている窓を目で追った
当た ....
間違っている気がして
冷蔵庫の乳製品を並べることにする
自分に似ているものは右側に
似ていないものは左側に
それ以外のものは
バスタブに順序よく沈めていく
ひとでなし!
口のよう ....
ホット・ペッパーください
く、くださいませんか
クーポンついてますから
剥いたブルー・チーズですから
まだ、だ、でしょうか
え、駅前のあなた
く、くだい、ってば
というより、ください ....
せっかくお風呂に入ったのに
自分のからだがすっかり無くなっていた
どこかに忘れてきたにちがいないけど
いくら思い出そうとしても
ここにいた時には確かにあった
という自信がもてない
 ....
「部屋の中」がなくなっていく
「部屋の中」にあったものは
外へと押し出されてしまう
殺風景だと思ってたのに
床、天井、壁
結構いろいろなものがあったので
少しびっくりする
やがて ....

村って
手伝うの

っこの僕
を渡り
きって
切りすぎると
手が痛くて
って
今朝は
ネクタイが
うまく
結べない

人がいて
人のように
背格好
があっ
 ....
小鳥たちが行く先も告げずに
飛び立っていく

行く先を告げたとしても
僕は小鳥たちの言葉を知らない


空!


机の引き出しを開ければ
今日もガラクタでいっぱい

 ....
 固定された都市。流入する者と流出する者。
その背中には皆一様に大きな鳥のくちばしが
あり、そして光沢がある。鳴くわけではなく、
また、捕食するわけでもない。ただそれは背
中にあり、そ ....
たもつ(1709)
タイトル カテゴリ Point 日付
未詩・独白3*06/6/12 18:59
旅立ち未詩・独白14*06/6/11 10:39
未詩・独白6*06/6/10 17:29
微笑未詩・独白9*06/6/9 18:54
雨にさらわれた明日へ未詩・独白6*06/6/8 19:59
未詩・独白9*06/6/7 19:07
たかいたかい未詩・独白6*06/6/6 22:10
坂道未詩・独白4*06/6/5 19:20
潮風未詩・独白17*06/6/4 18:18
ひだまり未詩・独白706/6/3 10:08
底で未詩・独白4*06/6/2 17:55
屋根自由詩606/5/30 17:27
僕たちは声を押し殺して手をつなぐ自由詩14*06/5/28 19:17
夜明けの疾走自由詩1006/5/27 10:53
新しい武器自由詩5*06/5/25 10:50
朝起きて無題自由詩1306/5/23 14:58
寝返り自由詩2106/5/19 14:59
おっぱい自由詩906/5/17 19:48
(´・ω・`)自由詩18*06/5/17 12:28
逝く、レタス自由詩10*06/5/16 15:18
豹、その速さで壊れるな自由詩5*06/5/13 12:27
性教育自由詩1106/5/11 17:29
焼き魚自由詩7*06/5/9 22:13
自由詩1506/5/7 12:23
浴室密閉ブルーチーズタイム自由詩8*06/5/6 8:22
からだ自由詩9*06/5/5 22:48
部屋の中自由詩706/5/4 21:32
はしっこの村自由詩506/5/3 18:54
未知自由詩906/5/2 17:08
断片自由詩806/5/1 18:58

Home 戻る 最新へ 次へ
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 
0.1sec.