「昨日はふたつの嘘をつきました今日は今日とて数え切れずに」



たくさんの傘が車道をすぎてゆく雨上がりの陽に影を失くして



風あおぎ枯れ川の春祝うのは帰る場所無き ....
春の花ほつれゆくまま雨模様



現し世のなべて二重の涙かな



雨の舌双つの蝶を行き来する



手のなかに生まれ滅びる己かな



留めおく術も失くし ....
休日の朝だけ傍若無人の人


「役立たず」叫んだ後悔あとに立たず


部屋のなか足で優雅にコーディネート


ぽちゃぽちゃと茶のなか茶柱バク転す


平日の何が「平 ....
赦すがいい赦せぬものを赦すがいいおまえがおまえでありたいのなら

できませんどうしてもそれはできませんわたしがわたしでありつづけるなら




かがやきのただ ....
    


気づくと右手は濡れていて
描きはじめたばかりの夜に
銀色の線を引いてしまった
見る間に乾く三日月の下に
明日の朝には消えてしまう
羽や光を書きつらねていた


隠さ ....
島を結ぶ浅瀬の夜を
かがやくゆがみの輪が照らす
ほつれつづけるふちどりが
わずかに時間を押しのけている


歩きつづける影のそばに
何かを取り去られたかのような
大きなひろ ....
波が波に描く絵が
次々と現われては消えてゆく
海を覆う点描が
鳥を照らし点滅する


蒼い光のひとがいて
歌い舞う花のうしろで
草に沈む岩を見ている
海からも声のなかから ....
狭い空き地で
除湿機と空気清浄機と
温風機と扇風機と一緒に
かごめかごめをしている


ここは良い空気
ここはうるさい空気
なまぬるい空気
うしろの正面 空気だけ

 ....
結局あなたのことはわからない気がします
わかりたくないのではありません

わたしはあなたから生まれたものではありません
わたしはわたしではないのかもしれません

わたしからはな ....
暗闇のなかで手をのばし
思いがけない手に触れる


それは神の距離でもあり
神の居ない距離でもあり
何も無い道のりでもある
井戸の底を
のぞきこむ鳥
わずかに残る
水に映る陽
いとしいしずくであれ
いとしいしずくであれ


うすくゆがんだ光の輪が
影のなかにゆらめいている
にじみと波は
光 ....
まわるかたち
ほぐすかたち
髪に降り来る
蜘蛛の巣の火
道をわたり
冷めぬうちに
草の根もと
浅い轍
爪の深さ
土に届ける


雨の窓たち
しんとした景
朝をす ....
肩に触れていたなだらかな重さが
消えていることにふと気づくとき
部屋のなかを見わたす視線は
ほんの少しだけ傾いている


今日も夕空を見忘れて
蒼い窓を通りすぎ
破りとられ ....
火の舌
鉄の舌を持ち
語ることを持たない子がいて
その語ることの無さゆえに
ただ疲れ果てては眠りにつく


眠りはしばしば覚まされる
幾つかの鏡が子のそばにあり
何も映 ....
隻眼の花にこぼれる
はじまりの波のはじめから
めぐる魚からほどける光
片方の目はまばたいて
沈みくるものを受け入れる


敗れつづけてなお勝つものがあり
不幸せの上に成り立 ....
水の流れに
声は生まれる
ゆっくりとした高まりの
終わりのように反りかえり
声はまだらの身を起こす


鍵の花は水に咲き
傷をひとつずつ閉じてゆく
いつか流れに分けられた ....
林の前を透明が過ぎ
曇をわずかに残してゆく
枝が風に
風が枝になるさまを
雨は照らしつづけている


水と水のふるえのはざまへ
羽はさしのべられてゆく
水を聴かず 音だ ....
黄色い鎖が
何を縛るでもなく
地面に置かれている
廃車と遊具の鉄は響き
午後はゆらりと夜になる


夜のなかを
夜が動く
その高みにある輪郭が
すべるように落ちてくる
 ....
何を書き何を消し去る踏切夜


目の前に灯し火の音ひらく雨


歩む背に消し炭の夜やわらかく


描き出す描くともなく描く夜


春のうた頭上の夜に触れてゆく
 ....
何十年 経てど心は 角だらけ


朝おきて のっぺらぼうが ひとり居る


ふんばって 何も出て来ず もう四日


乳酸菌 喉にぎざぎざ 突き刺さる


預言で ....
朝は聞こえず
雨は遠く
水平線の陽
かたわらの光


からだをつらぬくかがやきの芯
やわらかくやわらかく変わるかたち
滴の重さの鳥たちが
つまずきながら屋根をわたる

 ....
つぎはぎの笑顔
目を閉じた笑顔
ひらくたびに変わり
ひとつ前のかたちに
重なりゆく笑顔


鳥のようなさよなら
午後の水たまりの道を飛ぶ
雲ひとつなく まばゆさもなく
 ....
硝子の車輪
木のからだ
眠るものの目
すぎゆく羅紗
散る花と花
車輪の内に
まわる一音
虹彩の舟


陽にあせた窓枠に幾つか浮かぶ
硝子の球の表面には
消えてしまっ ....
寝床につく一歩手前で
眠ってしまった鈍色の子ら
夢のなかに置き忘れてきた
好きで好きでたまらないものを
とんでもない寝相のままさがしにいく



めざめてはねむり ふえてゆ ....
花に目をふせ
空を喰み
目の内の手に
空を聴く
花に 花に かたむく火
花に 花に したたる火



からだのどこかに揺れ育つ
ひとつの荊に耳すますとき
水の気配 ....
土に倒れた鉄の飾りに
剥がれた壁のかけらは積もり
錆の網目にふちどられてゆく


誰も住むことのない家が
はじめからそのために建てられたかのように
灰と緑にとけこんでいる
 ....
海の底の火のような
風を花を歩むとき
わたしの横をすぎるひとが
空を指しては歌いはじめる


異なる時間が沈む草地に
生まれておいで 生まれておいでと
解けのこる雪 ....
またひとつ橋が作られ繋がれど私はどこにも繋がらずにいる




階段の踊り場の窓すぎるうた渡り鳥の声かぞえゆくうた




道ばたの雪のかたちに触れるたび光ふちどる ....
脱ぐときは背中から脱ぐ春近し


目薬のまばたき世界を巡りゆく


歯の奥の穴に詰め込む笑いかな


にやにやと胃がさげすむ日空は青


とどこおる想い手のひら解き ....
空は青く
冷たく痛く
腕を飛び去る


朝のまなじり
切るように
音は音の手を振り上げる


手の甲を踏み
空へと至る
光の響きは絶えることなく
かすかに腕を震 ....
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
手紙短歌705/6/8 1:34
花と涙俳句1105/6/8 1:30
休日川柳3*05/6/8 1:26
ノート(会話)短歌505/6/7 17:47
描夜(指)自由詩305/6/6 16:35
灯夜行自由詩305/6/4 21:45
水霊譜自由詩605/6/1 21:27
ノート(ひとり)[group]未詩・独白405/5/30 15:52
ノート(あなた)[group]未詩・独白205/5/30 15:49
ノート(距離)[group]未詩・独白105/5/30 15:48
ノート(しずく)自由詩305/5/29 21:40
まわるかたち自由詩105/5/28 14:03
失くしたもの    自由詩405/5/25 17:49
鏡と子自由詩405/5/23 16:12
ひとつ 小さな自由詩405/5/21 13:36
昇音自由詩305/5/18 19:22
問い自由詩305/5/15 22:26
ノート(夜の土のうた)自由詩305/5/12 13:27
夜の響き俳句305/5/12 13:25
戯れ言川柳505/5/12 13:23
遠く 銀に自由詩3*05/5/9 18:07
花を負う自由詩305/5/6 14:13
降り来る言葉 XIX[group]自由詩205/5/3 16:57
ノート(さがしに)[group]未詩・独白405/5/2 17:40
ひとくちの自由詩3*05/4/29 19:33
振景自由詩405/4/27 13:40
原と道(すぎゆくひと)自由詩505/4/25 16:37
仮歌(かりうた)短歌205/4/22 16:44
春のからだ俳句805/4/21 21:21
輝飛自由詩1*05/4/20 13:38

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