こうべをたれて
両手をあわせ
じっと目をふせ
みかんを持つ子



あなたにとって今までで
いちばんおいしい
おいしいひとつの
みかんでありますように




 ....
水に姿と色を浮かべ
二枚の白い布をひたして
染まるもの染まらぬもの
ただそのままを見つめている


渇いた指で手のひらに
水がほしいと幾度も書くとき
空をまわりつづける葉は ....
手のひらのなか揺れる手のひら
波のかけらを抄いあげると
しずくは双つ微笑んで
仲たがいを終えた羽
海の光に照らされて


風は強く
雪をけしてつもらせてはくれない
ひとつ ....
目を閉じ
緑はほとばしる
陽の音が 陽の熱が
やわらかな迷路に落ちてゆく


川に沿って光は曲がり
風は遅れてあとを追う
土のかけらは水のなか
異なる火となり揺れている
 ....
海へと向かう夜を見ていた
蒼い蒼い
光を見ていた


光をぬぐう水の手が
冷たい曇に触れていき
たくさんの小さな影をつくった


影は夜通し降りつづけ
肌の上で
 ....
揺れつづける鈴の音
回りつづける水車の音
遠い遠いいとなみの音
届かぬように届きつづける
小さな小さないとなみの音


油彩の歩道に描かれる鐘
灯りが消えて現われる腕
つ ....
ほつれ湧き出る緑の影
ふいに生まれ溺れるもの
双つの空と迷いの木々
巡りかがやく枝と枝
無数の緑のなかの一葉


空に立つ空
こがねの樹
波打ちながら遠去かる陽
金は緑 ....
「あの光、鉄に運ばれ折れ曲がる!」(聞くともなしに?)「聴く友無しに!」



行方には何も満たない満たせない欠けた器がただ響くのみ



赦されしこの道のりが生な ....
ゆうるりと朝が来る
顔の群れは消えてゆく
ゆうるりがゆうるりと
いくつかのゆうるりを摘み取って吸い
ゆうるりと朝に満ちてゆく


波の光を背にして座り
髪は音にひたされてゆ ....
雨の日 川は海へ行かない
右へ曲がりまた右へ曲がり
虫を食べ
土に帰る



逢魔 負う魔
壊れた時計
逢魔 負う魔
流れる水紋



どこへもいかず
め ....
まぼろしの重さと
重さのまぼろし
戸惑いと迷いと
緑のはざま
きらきらときらきらと
取りもどせないものの列
手のひらに 手のひらに
降り来るものたち


むらさきが
 ....
思いも無いのに思いどおりの
見てはいけない夢からさめて
終わり はじまるわたしがあり
気づけば朝を歩いている


かがやきやたかなりを
しあわせと呼ぶことに
ためらいく ....
半分描かれた
絵のなかの原
どこへそよぐ
絵のなかの原



ことり
ことり屋の前をゆく
ことり
声は少なく



一本空けた
りんごの酒
二本めは苦く ....
ねむりたい頭のうえの冬蜜柑



渚なきからだ横たえ冬を聴く



白髪に月がふたつの冬夜空



斃れるはきさまだと知れ雪つぶて



おのれこそ ....
はいいろ
ぎんいろ
雲の上に
雲がのるいろ
錆びた欄干がぱらぱらと曲がり
きんいろとむらさきいろを抱き寄せて
ゆくあてのない歩みを照らしている


置き去りにされた水 ....
ふいにはじまり
ふいに終わり
悲しくそこにとどまるもの
晴れた夜の無灯火の群れ
光をちぎり 与える誰か
ちぎれる前の 光のありか
地に倒れた外灯が
赤い星を聴いている
青に ....
ひそかに星の綿くずは
空のすみに集まってきて
夜の終わりもはじまりも
一緒のようにまたたいている


かじかんだ手と手を重ね
鳥を光にほどく息
どこまでも白く
どこま ....
わたり鳥の光のかたむき
水と草とに散ってゆく声
拾う者なく散ってゆく声
あたたかな隙間ある冬のはじまり


器にはまだ水があり
夜の雲を映している
緑を覆う緑の暗がり
 ....
しあわせを逃がす手のひらおぼろ月



晴れわたり心ふさがる青の青



風の背の名を問うなかれ枯れ葉舞う



心の手閉ざすたくらみひらく花



野 ....
ざらざらと走り
たどり着く
水のなかの火に
たどり着く


風は街の目をすぎてゆく
夜に似た朝
光の粒たち
道の先の先に降る
水平線を照らす雨


暗く大きな ....
空が傾き
音は木にふりかかり
ずっとずっと遠くまで
誰もいないことを告げてゆく


せばまる風が
音の火となり
無言の道を
甘いにおいに近づける


弱くいとし ....
朽ちた緑の壁の前に
きんいろの影がひとつ立ち
宙と土のゆらぎをつなぐ


水が流れている
手のひらから
光を呑む子のかたわらを
水は流れつづけている
無色の虹が幾すじも
 ....
呼んでいる
暗く 暗く 呼んでいる
ふところに抱えていた絵が
風に飛ばされ いってしまった
その一枚一枚を
呼んでいる


暗がりのなか
緑に染まるきんいろが
欠けた器 ....
己に酔って
緑に心を晒した男が
緑に穿たれ 散ってゆく



雨に打たれ
あとかたもなく
虚ろな道に 消えてゆく



おまえのなかに獣はいない
おまえのなか ....
寝がえりの数だけ夢は裏がえる



またひとつ積もり重なる雪まなこ



煌々と言葉は眠りを遠去ける



見も知らぬ機械の生まれを語る夢



 ....
枕のなかに棲む魚が
ゆうるりとからだを波打たせている
何の音もたてることなく
ただ端から端へと動いている



わたしは魚が静まるのを待ち
左向きに頭をのせる
魚はい ....
光の傷の足跡でした
小さくまぶしい姿でした
川はあふれ
流れはくちびるのかたちをして
水と土とを引き寄せるのでした


流れの音は
光の花の緑をしていて
過ぎてきたどこか ....
空と鉄の擦れ合う音が
まるくやわらかな緑にはじけ
蒼く蒼くしたたりおちて
土の下の土を流れる


夜の水を抄いとる手
音のない曲がり角
遠く軋む火に染まる
誰もいない光に ....
空がはばたき
他の空を壊す
壊す 壊す
他の空を壊す


勝手に名づけた色を着て
詩人たちは終わってゆく
終わる 終わる
詩人たちは終わる


かけらはつねに降って ....
嵐の夜
白と黒の町
{ルビ礫=つぶて}のなかの
廃屋をめぐるまわり道


螺旋階段に立つ人々
雨のなかの天使を見下ろしている
瞳から瞳へ落ちてゆく滴
水彩の ....
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
ノート(いのり)未詩・独白205/12/16 17:35
午後と彩水自由詩405/12/15 13:19
羽と手自由詩405/12/12 17:06
午後の水自由詩605/12/9 17:04
ノート(42Y.12・5)[group]未詩・独白505/12/6 17:47
はざまのうた(青と冬の子)自由詩105/12/4 18:32
羽灯火自由詩905/12/1 17:19
夜の声短歌405/11/28 22:33
ノート(逢瀬)[group]自由詩505/11/27 16:58
ノート(42Y.11・27)[group]未詩・独白105/11/27 16:56
むらさきの日自由詩405/11/26 21:25
ノート(せなのいし)[group]自由詩405/11/24 13:39
ノート(42Y.11・21)[group]未詩・独白505/11/22 17:53
冬とからだ俳句805/11/22 17:49
みどりに みどりに自由詩405/11/21 17:55
夜と背自由詩705/11/18 22:24
夜のたより自由詩705/11/16 14:15
降り来る言葉 XX[group]自由詩505/11/14 13:28
彼は蒼俳句405/11/12 16:44
きんいろのうた(朝とけだもの)自由詩405/11/10 20:02
きんいろのうた(光と音)自由詩505/11/8 17:24
きんいろのうた(くらやみと子)自由詩605/11/6 17:37
きんいろのうた(絵と夜明け)自由詩405/11/5 17:39
ノート(緑と雨)[group]未詩・独白5*05/11/4 18:01
眠り枯らして 俳句805/11/3 17:16
ノート(枕魚)[group]未詩・独白1105/11/1 17:43
けだものと覆われた子自由詩1305/10/31 17:25
蒼と手のひら自由詩305/10/30 17:14
かけらのうた自由詩305/10/28 13:32
円原視座[group]自由詩1005/10/26 17:52

Home 戻る 最新へ 次へ
38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 
0.38sec.