丸い生きもの
閉じかけた
小さく細いまなざし
右よりも左が大きい
風で傷んだ
艶の無い肉体
自分のための四肢を失い
うるおいだけがあふれんばかりの
何も感じず
何も見 ....
家のまわりをまわるうた
窓は朝に消えてゆく
窓は蝶になってゆく



壁に隠れ
また現われる
蝶は鳥になっている



蝶になった窓たちが
左まわりに空をまわ ....
鳥が くわえたたましいを
離すたびに緑は深く
深く 深く
枝は水紋


土に落ちた花が集まり
さかしまに笑む紫陽花もいて
水は灯る
水に 灯る


鏡に映る鏡の奥で ....
霧雨が運ぶは遠い音ばかり



我が水の薄さに萎える羽虫かな



触れるたび遠去かる音日々の音



ゆらぐ道ゆらぐ光の水の声



水もとめ{ルビ背=せ ....
青と金が
近づいてくる
同じ音をたて
原を越える


鉱から鉱へ
したたりつづける青があり
夜をひとくちずつ運ぶ
聞こえない小さな寝息のつらなり


水の底の金の傷 ....
頭のうしろの音を聴く
揺れるかたちの音を聴く
小さくとどく濡れた羽
したたる色のうたを聴く


夜に向かってひらかれた窓
さみしい灯を倍にする
縦に流れる部屋の内側
誰も ....
自転車に乗った風と花
ラジオの道を駆けてゆく
季節は今日も手のひらに
微笑む水を遊ばせてゆく
し と
くちびるに露をあて
朝の光を遅らせる
草の根元の幽かな揺れに
応える静かな笑みがある


雨の日
葉を持ち
あふれるうたの指揮をする
道のうた 流れに映るうた
 ....
蝶の花 蝶の花
土の下へ
飛び去りゆく輪
蝶の花


塩の火 塩の火
燃えつきぬ糸
人の色でなく
向かうものはなく


甘いにおいは風に消え
ただふるえだけが降り ....
片葉だけが聞こえ来るとき
片葉は片葉の前にいる
片葉は見えず
片葉はふるえ
片葉は片葉と片葉の重なり


羽の目から流れるひかり
左手にたまり 鉱になり
手のひらから手の ....
風のなかを
水がそよいでいる
遠い水
互いに見えない ふたつの水


濃い影 薄い影の重なり
音は溜まり
低く連なり
夜の道を速くする


やわらかな菓子
指 ....
夜の雨を燃す火があり
風をつかみ
家を鳴らす
屋根のかたちが
曇に映る
明日の水を知る花の群れ
遠い音を見て動かない


鼓動と鼓動のつながりが
水平線を巡っている ....
青銅の扉の
息に合わせて
風はふたつの挨拶をした
返事のないまま
なかへと消えた


粉の光
夜に沿い
まぶされてゆく
錆びた光
消える光


朝になり
窓になる前の窓の ....
ふたつの火の間に
煙は消える
いとおしさ
うなづく いとおしさ
風のない日の
指をすぎるいとおしさ


見るまに変わりゆくものの
とどまらぬ今をたしかめるように
せわし ....
壁の花から落ちた花びら
雀たちがついばんでいる
ふちどりを想う
くちすいを想う


かがやく魔
飛び去る影を見つめるもの
四方を壁に囲まれた
庭という名の底にうたう

 ....
光は軽く
光に痛く
窓のそば
胸かきむしる
ひとつの羽が
生まれるとき


手のひらの水から
こぼれる黒
髪はあふれ
黒へ落ちる
夜にあふれ
{ルビ眼=まなこ}へ ....
葉の塔が
空へ到き ゆらいでいる
ふたつに見ると
ふたつに見える



わがままな芽が
からだを迷い
爪の水を飲み
背に根付くことにして一息つく



食べもの ....
屋根と空
ふたつの雨が話している
風の色は 庇に重い
遠い音 遠い文字
木々をふちどり またたいている


線の光が
線の光に出会い 途切れ
分岐に蒼を残し こぼれ
遠 ....
小指に触れる
時間と光
どちらかの声が
先に応える
骨と草の
はざまを伝う


失くしたほんとうがもどるとき
居たいところに居られるように
響きをひとつ残しておく
そ ....
布の風が樹々を伝い
夜の空を見つめている
蜘蛛のかたちをした声が
枝をめぐり すれちがい
会話ではない会話を残し
夜の空を昇りゆく


雲に映る歪んだ輪から
光と言葉の鳥 ....
目のかたち光ではない光かな



澄むことを望めば遠い光かな



澱み澄み澱み澄むこそ光かな



白ひとつ午後に置き去る光かな



めざめては ....
蝶を見た朝
森から森へ
子はひとり織る
銀の声


緑をつらぬく小さな音
つらぬかれた跡の揺れる音
つらぬいたものが緑に染まり
水の底から空を見る音


銀が重なり ....
雨から雨へ
飛びつづける声
かすかにまだらに色褪せながら
遠く遠く張られる弦に
願いのようにふるえ伝わる


にじみ ひろがり
蒼く猛り
たわみ ゆがみ
灰にさざめき
ひ ....
曇りの幌につつまれ
ふたたび生まれ ふたたびねむる
陰に刺さり
縦にかがやき


空のろくろ
空のふいご
枝々を巻き
高く きしむ


ひかりが動き
動きがひかり ....
激しい雨の音のなか
あなたとわたしが
ふたりきりでいるのですから


あやとりもするでしょう
すごろくもするでしょう
しりとりもするでしょう


じゃんけんもするで ....
窓と壁のはざまから
水のような顔があふれ
外を見もせず消えてゆく
風が光に 光が風に
裏切りの等価を与えるとき


狭いところ
熱いところ
いたらぬ波をくりかえす舌
輪 ....
満ちていたものは見えなくなり
いたのかどうかさえわからない
かたちはかたちを保てぬほどに
すばやく色も無くすぎてゆく


影のなかに潜む影から
うつろな虹がさまよい出でて
 ....
朝が来て目覚めはじめる痛みかな



自分より愚かなものを知らぬ朝



頭から頭をどけて朝を見る



我が願い次の朝陽は含まれず



誰も来ぬ分か ....
つづくふるえ
つづくからだ
水紋は光に変わり
散ってゆく


何かを燃やす夢からさめて
手は緑にくすぶっている
灰のなかに芽吹くもの
誰が蒔いたか知れぬ影


金の ....
雲間から陽の動く音ふりそそぎ立ちどまる水ふりかえる水



風が開け風が閉ざせし穂の声の微笑むように消えゆくを見る



むずがゆくめざめしものへ吹く風が窓のしずくに描く銀の葉 ....
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
なにものでもないもの あなた 息の果て[group]自由詩6*06/8/16 20:38
みどり ひびき自由詩306/8/15 20:01
ノート(ひとり ひびき)[group]自由詩606/8/13 19:54
飛水記俳句706/8/10 17:28
道と羽自由詩306/8/9 17:51
夜とふるえ自由詩306/8/7 13:46
ノート(43Y.7・28)[group]未詩・独白506/8/4 19:29
 し自由詩806/8/4 19:16
夜へ夜へ(朝へ)自由詩706/7/31 17:50
てるては自由詩406/7/28 17:30
しずく うつわ ゆび自由詩506/7/25 16:34
水と響き自由詩706/7/21 13:44
降り来る言葉 XXⅢ[group]自由詩506/7/17 17:45
けだものと子(火の地)自由詩506/7/13 13:43
くちすい自由詩706/7/8 17:35
みず ひかる みず自由詩306/7/5 13:28
ノート(陽雨)[group]未詩・独白206/7/1 20:23
午水譜自由詩306/7/1 16:36
銀と響き自由詩206/6/26 16:41
ひびき ひびき自由詩1206/6/23 21:35
光かな俳句506/6/20 20:52
銀衣の子自由詩506/6/20 20:49
声 めぐる 声自由詩306/6/17 16:46
午後とめぐり自由詩406/6/13 14:03
ノート(43Y.6・10)[group]未詩・独白406/6/10 22:07
午後の名前自由詩606/6/9 16:20
すがた こだま自由詩406/6/8 13:45
朝水俳句706/6/8 9:01
午後といのち自由詩406/6/5 21:19
雨と兆し短歌406/6/3 22:43

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