うわっという 車のスピード 上り坂
ウォークマン 自分の世界の 出入り口
暗闇に ぽっかり浮かぶ 丸い月
何だコレ 違う空間 姉の部屋
さようなら 近くで聞こえた 遠い声
火をつける タバコの煙 目にしみた
夏空の 遠くで響く 入道雲
サクラサキ 希望と不安の 初登校
先代よこころに蔦が下りてきた
門番見られていることに気付き互い違いの塀
火を焚く婦人会 屋上に別の一団
苦闘の末つかんだ藁 海がそこまで
林に風ガスコンロの火力と左右
通 ....
薄ぺらな詩ばかり飯がまずくなる
だいじょうぶ毎日うんこ出てるから
「痛風だ」「酒を飲むな」と母の声
{ルビ腐=ふ}の足に手を{ルビ接=つ}ぎ足 ....
真っ赤なポストを死顔みたいに撫でると雪
灰踏み固める笑顔第二波期待して
テーブルを隔てて海と侵し合う
降りるあてのない壁の上歩いている
暁の尖端で虫が震えていた
悲報掻き ....
君の左胸に棲むような美しい臓器になりたい
カップラーメンに朝日差し込めばきっと天使の死期も近い
冥王星なくなり平穏に過ごす日々
まさか虫歯にチェンバロが効くとは
....
プードルの 無駄吠え夜空に 鳴り渡る
みてごらん あんなところに ひとがおる
かよたんと しずかたんは あんぽんたん
手をかざせば そこは鼻息の 通り道
ゴミ箱 ....
奴隷らの金歯くすます誕生の飛沫
茶したたる階下を泳いで出ていく
土踏む葉に涙し たかが宿命など
足を損い渡せぬ絵画に群れなす御魂
山よりもクレーン高い場所から息
逆流に佇 ....
ごめんねと言い出せなくて早寝する
オルゴール火口そばに音ごと流れんとす
ねむりに沢 よこたえて仮に香る肉体
石室の闇に消えゆく滑降痕
月に目を奪われ充血している月
飛ぶなどしてつまさきをこころにのせる
凧 ....
息止めてトランペットを組み立てる
菜を並べるまっすぐ雨になるように
遠くのビルを飛び降りる無数のドミノ
日没に窓砕かれ見え出す透明街
誰彼の名前叫んでねじまく熱
鮮やかに ....
厳しいと経営者達拗ねる真似
前任と後任の顔瓜二つ
団子食い新しい年待ちわびる
猫の仔とのこのこ歩くろくでなし
ひとりではさびしいという律儀者
ふたりだ ....
氷河の飢えに近寄り呼吸差し上げる
火事近隣に何らかの予感ボタンを袋に
車内から傘を差す子ら笑いつもげつ
ふと硬い光にぶつかる朝を見上げる
山小屋をダンサー過酸化して踊る
....
言い訳は「ほんとうのわたし」がします
来賓は枝を内蔵したカナリア
倒れた門の影が立って入口
電報打つ行方不明者の虚ろなバリトン
雪塊囲む石 消えゆく 一時間毎に
無心の蔓の侵入百年間許す
ペガサスの腹筋白く雲 ....
1.君と見る
涙で濡らす
映画館
1999年9月作
2.熊の手の
小梅ちゃん上げ
凌ぐ夜
199 ....
1.テニスして
初々しいが
よろけたり
1998年11月作
2.テニスして
走り汗ばみ
敗戦か
....
1.話しすぎ
電車に遅れ
遅刻した
1998年11月作
2.狭い道
とばす車を
正気かと
1999年1 ....
この街を見上げるいつかを歩いている
夕焼けを毛布に焼き付けて夜の火
ハンカチ横切る誰かの頭上を傘で愛す
全ての弦こともなげに切れ黒い目のヴァイオリニスト
星雲を気配として佇む地 ....
カラーテレビに色とりどりの濾過映る
策尽きて月待つ村の異様な過疎
逆さまの鉄塔の中を渦巻く石油
墓殴る顔の形に変わるまで
二階から鉤爪と少女の嗚咽
前頭葉にアルミ箔貼られ ....
綿眺めて暮らす明くる日も明くる日も朧
不慮の隣人また白黒に配信され
キリツキリツと鳥が鳴き針だらけの天井
米量る音血の減る音が手をつたう
動力装置をちぎる人形たましい見えて
....
君想う
僕の心に
光さす
からっぽの川に背中と角が見え
致死量の置き絵またの名を個展
扇子に隠れる微笑と極北の流刑地
痩せ細る身で貫く廊下のスープ冷える
見たことあるよこの火事このあと親が死ぬんだ
....
土砂と分かつ孤独をヘリが迎えにくる
雪に焼かれて木々まっ白に背骨
業に似て四ツ首・三脚・胸に目ひらく
あとは原子炉までずっと下り坂
今日は石碑が北にあるから日影はないです
....
祖母はオレンジの光五つ隠し子守唄
昆虫の手足やわらかくかくかみなり
窓に映った雲にさらに窓が映りまたね
逆光に蠢く老人らのゲートボール
なくなるまで月から灰が降り続ける
....
流れる雲
{ルビ生命=いのち}と重ね
涙する
心臓の音が滞空時間を刻む
私園の片隅から色とりどりの風船湧く
にまいばのあいだとおってかえって、風
疲れて電極みたいってことを壊して伝える
飴煮えて逃げる兄弟のつめたい息
....
酒呑んで見よ!なだらかに腹の出る
真面目すぎ優しさのない体重計
「わたしにはあなたしかいない」馬鹿が見る
自分から自分を取れば残る馬鹿
....
くすむ孤児院の支柱誰かである時間
鉄吹雪やんでくれ動悸がとまらない
かんむり授かる牙 まみどりからやりなおし
目が冴えて月光よりも静かな猿
もう末代本能寺から髪の傷み
草 ....
24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52
【川柳】17音律「5.7.5」を基本とした川柳作品のみ受け付けます。川柳批評は散文のカテゴリへ。
0.9sec.