ある冬晴れの日のその空と
同じ色の表紙をした
日記を買った
他に種類はたくさんあったのだが
それはひときわ僕の目を惹いて
一度手に取り
一度戻して
もう一度手に取り買ったのだった

 ....
行き場はなくて、居場所はなくて、
冷たい風にふかれて、縮こまって悪態をつく。
つまらないことは嫌いだ。
つまらないことは好きじゃない。
言葉はなくて、思いはなくて、
砂になった物を眺めてはひ ....
あともう少しと思うところで
火を止めるのよ
もう薪はくべなくていい
蓋をあけてはだめ
後は鍋ごとさめるのを
待つの
ゆっくりさめながら
ジャムはだんだんジャムになるから
リスの母さんは ....
やがてくる世界が終わる瞬間も叶わぬ恋に苦しんでいる 愛しています
ずっとまえから決めてある名前のこども

おんなのこだったら、
季節の季
千代紙の代
きよ といいます

おとこのこ だったら
澄んでいる のか
清らか なのか
はた ....
        窓ガラス
        伝いおりる
        雨粒ひとつを
        ゆびで追う

        祈りとは
        この雨のような
        ....
今、僕は、旅先の尾張名古屋名鉄ビル9階の
「矢場とん」で味噌カツ定食を待っている。
景気づけに、豚の横綱がポーズをとっている
絵柄のグラスビールをくいと、飲む。

思えばあれは9年前…独り旅 ....
みんな昔はサルだったと
自分で自分を慰めて
路地裏を抜けたところにある
月のよく見える広場から
積木でできたビル街を
にらみつけた
雲のはやい夜


笑わない神さまが作り上げた
ウ ....
おばあちゃんの メガネ
くるくる 飛んだ

せんたっきの なかで
くるくる まわる

手離した 気持ちは
楽しいのか
哀しいのか

手放した 記憶は
寂しいのか
苦しいのか ....
いつもカメラにフィルムを入れずに
写真を撮るのは
大切な一瞬の
記録を拒絶しているから

それでもシャッターを切るのは
シャッター音とともに
大切な一瞬を自分の記憶に深く刻むため

 ....
冬の子どもたちが
落ち葉のマントを纏って
手をつなぎ
かごめかごめをしている

誰かが
あっちだ
と言って走り出すと
手をつないだままで
一斉に駆け出していく

遅れた子を 心配 ....
青空は生物の息ではないかしら
すてきというまえのうっとりとした
それから
ミルクの入ったガラスのコップをおとして
わってしまった時の悲しみのしみる
それからまた
ごちそうさまという ....
ボールの話をします
丸いボールの話です

私はボールを投げる人です
いいえ
投げる人になりたいのです

腕を振って
腰をひねって
手首を返して
ボールを投げます

たくさんのひ ....
冬の吐息を吸い込んで

淋しいくらいに青い空。


枯れた草の香りと、

乾いた車のひびきと、

あてどないぼくとこの道。


どこへ行ってもいいのに

まぶしいくらい自由 ....
近所にもらった卵等を  
朱色の{ルビ巾着=きんちゃく}袋に入れて 
割れないように気遣いながら 

時折かさっこそっと音立てる  
卵の歌が聞こえるようで
自分の歌に重なるようで

 ....
 


にわか雨の気配に慌てて
息を切らして
額に汗を滲ませて

は、と息を吐くベランダで
からりと笑う太陽に
力が抜ける

平凡すぎる何かを守ること

小さな願いと
安堵 ....
心の言葉と 言葉の心
写し身流れ 姿はともる

おりごとの戸の 金具は錆びて
つけかえる鍵 やがてはつきる

のぞきこむ目が 目隠しをする
指文字が消す しめった曇り

息吹きかけて ....
突然雨がふりだした
雨を知らない者はこれを見たらさぞ驚くだろう
空から壊れたように降ってきたものが
こんなにも激しい音をたてて
窓を屋根を道を川を海を山を木を私を打つと

簡単に雨がやまぬ ....
 


思い出に足を掴まれて
振るべき手を
繋ぐべきでないからと
ポケットにしまった


どこを歩いていても
君が隣にいるだけで
帰り道だと錯覚してしまう
地図の要らない唯一の ....
 
今にも泣きそうに揺れた瞳だけを
この馬鹿は覚えていて

久しぶり
の言葉も
かけられない間に
あの日よりずっときれいな君が微笑む
ので
今まで覚えていた君の笑顔が 
この胸 ....
辿り着いたこの街で
老いていくのだ
運が良ければ
最後の日まで

そのことが
頭の中ではっきりしていて

どこまでも
美しい
晩秋の遊歩道
硝子ケースの中にある、{ルビ木彫=もくちょう}の
酸っぱく熟れた{ルビ柘榴=ざくろ}から  
赤い粒等は顔を出し  
薫りは鼻腔に吸いこまれ
僕はひと時、酔い痴れる――  

美術館で立ち ....
春は誕生
柔らかな朝の
穏やかで優しい光を浴びる
芽吹く喜びと安らぎの声共に
静かにそっと瞳を開ける

夏は青春
光り輝く昼の
目を奪う緑と青が騒ぐ
生きる力の喜びをを感じながら ....
わたしはあなたを咀嚼する
わたしのためのあなたのために

わたしはあなたを消化する
わたしのためのあなたのために

あなたの中身、知っているか
どろどろに溶けあったそれから
ひ ....
さみしい
さみしい
さみしい

と言っていたら
一人づついなくなった

いとしい
いとしい
いとしい

と繰り返しても
もう誰もいなかった。
こんなことを昨日から考えている

診断の結果異常のないはずの子供が

なんらかの障害をもって生まれてきたら

なんらかのミスでそんなことが起こってしまったら

ぼくならどう思うだろう
 ....
きっとバカみたいに見えるような顔で
ぼんやりと
わたしは明日の声を聞いている
太陽が来たらリセットって
解決できるような歳じゃなくなっちゃっても
明日は音もなく光を連れて
だか ....
花ではない

しかし その葉は

枯れゆくだけで

こんなにも美しいというのに


されどこの身はどうであろうか
あたし世界中を旅するの

大学病院小児科病棟の主
チエちゃんは言う

イチロウにやる!

僕と同い年の女の子
チエちゃんはいつも上から目線

僕は週に一度か二度
グリコのおまけを ....
化粧を落としても
わたしは見えない
そこには
皺と染みの増えた顔があるだけ

わたしはまだ
様々なことに怯え
かたかたと震える
小さな小さな
わたしだというのに

化粧を落として ....
中村 くらげさんのおすすめリスト(331)
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重み- たまごボ ...自由詩3*13-11-26
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きよへ- 御飯でき ...自由詩413-11-26
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