今週の『サザエさん』は一家で福島に旅行する話だったそうだけれど、具体的にはどんな内容だったのだろう? あいにく私はいま異邦人として暮らしているので日本のテレビを見られない。しかし福島第一原発の原子炉 ....
若手漫画家の登竜門としてCOM並びにガロはぼくらの教科書だった。
その女流の中でも異彩を放っていたのがこのやまだ紫氏と岡田史子氏だったと記憶する。
やまだ紫さんはもともと詩人だった ....
「ねぇ、この本の表紙知らない?」
彼女は読み終えた本をわたしに見せる。
その顔にはどうしてないのかわからない、不思議でならないと
いった表情がありありと浮か ....
気づくとオレンジだった
前に買ったタオルも
その前
の前もオレンジ
幼い頃
オレンジジュースが飲めなかった
みかんはたくさん食べたのに
飲もうとすると必ず吐いた
不可解な体質が産ん ....
窓をあけると風が気持ちいい
晴れてはいないけれど清々しい
鮮やかなコンクリートには
空の模様が映しだされている
どこからか子供の声
くるくる舞っている
駆けだしてい ....
雨音に目を閉じる
雨粒を受けて揺れる枝先
こぼれ落ちる花弁
夜の闇
面識のない知人の母の死を思う
嵐の来る日の前の晩
帰路
桜並木との交差点で
信号に照らされる君を見つけた
....
見送った背中を思い出しながら食べたケーキはしょっぱかったの
謝らない代わりにケーキを買ってくる君をやっぱり許してしまう
大きめのプリンをふたりで分け合った夜は月さえ ....
老夫婦が
買い物袋を提げて
楽しそうに歩いて行く
幸せは案外地味な装いで
まだ冷たい風の中
首を竦めて待っているのかもしれない
知らん顔して
何度も通り過ぎて行った
それは自分 ....
なでがたの やまときみとが かさなった
ひとひらの おちてあおばは あおあおと
つかまえて おうをやめたら そばにいた
あめがふる ぬれているやも ののすみれ
たこやきの たこ ....
雪が僅かに消え残った海岸に
揺れているのは去年のススキだ
長く厳しい冬の間
雪に埋もれて立ち続けていた
ススキはいつ倒れるのだろう
既に枯れているのに
命の抜けた穂を振って
いつまで風に ....
晴れた眼差し
明るい歯並び
踵の擦り減った靴が喜んでいる
コンビニまでの三百歩の散歩
晴れた声色
明るい口答え
言葉はうっすらとシュガーコートされて
許容範囲が拳二つぶん広がる
....
高校の学食で出ていた安上がり
めんつゆとたまねぎ
しょうがやにんにくをひとかけら
煮たせて
コロッケぐつぐつ
たまごをとじてできあがり
コロッケ丼
幸せを感じる
最後の一口まで夢中 ....
三十を越えて旅するものは詩人
寒気に絶望を見出すもの
寂しさに震えているのだと
自分を騙して
三十を越えてまだ望んで愚かでいるものは詩人
雪降れば頭振り
雨落ちれば睫毛濡らし
人 ....
もうすぐ年末だというのに、大掃除もせず日の当たるベッドで
丸まっている彼女は来年41になる。
わたしの年齢の2倍より多く、3倍には満たない想像のつかない歳である。
彼女の夫はさらに15歳年上 ....
本当に言いたいことはペライチなのに
本当の気持ちはペライチなのに
好きと言えない
理由をつけて逃げるたび
僕の中に
説明文が積みあがってく
本当に言いたいことは
本当の気持ち ....
春の日の午後
かわいた洗濯もの
藍いろのセーターを抱きしめたとき
はっとした。
ぼくの、鼻腔のおく、ちくちくとはじける火花
目のおく、熱がひろがる。
あなたの肩の、匂いがしたものだから ....
約束通り 同じ橋に辿り着いた
花冷えのお陰で まだ
ソメイヨシノは競っていた
所々 吹き出した新緑が 目に痛く
未来への想像の刺激となる
川辺は穏やかな戦場
はらり ....
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