世界に興味がありません。
私の思うようになってくれない世界には興味がありません。
人に興味がありません。
私を可愛がってくれない人には興味がありません。
見返りだとか、お返しだ ....
八重桜
そこで枯れていくのか
{ルビ雪洞=ぼんぼり}もとうにないその公園で
休日には光の姿態に花を挿し
寝そべる背中に猫でも乗せて
二三冊の本にマスタードをたっぷり塗って
後ろ向きに釣り糸でも垂らしてみようか
古い音楽ばかりが飛行船となる場所で
とりとめのな ....
まず魂のくせを矯正します
今世のくせも後で清算する予定ですが...
とりあえずお世話になった想いの数々に手土産のひとつももたせて
さっと湯通しをします
その際肩をおもみしても構いません
....
月に腰かけ 太陽を{ルビ的=まと}にして
流星のダーツを投げる
唯の退屈しのぎだが すこしばかり はた迷惑な気晴らしかも
俺のエゴはでっかくなりすぎて 地球の中には納まりきらなくなってしまった
....
メダカは気弱な小魚だって
それが定義だと
それが憐れだと
勝手な思い込みが押し並べて
それがあまりにも{ルビ酷=むご}いと
両手で包み込もうとする
君の余計な優しさが
彼等の胸まで押 ....
向い風が吹き荒れて
わたしを白線へ押し戻す
もがけばもがくほど
重くなったコートは
身体から熱を奪っていく
向い風いつの日か
そよ風に変わるだろうか
向い風が容赦なく
わたしを地 ....
刹那花ひらり乱れる春の風 脳裏かすめる君の幻影
週末は桜吹雪になるのかな君の簪姿を見たい
桜散る頃に逝ければ葬式に付き合う子らも寒くなかろう
満開の桜の下に捨てられる悪い ....
会社をたたむと決心して以来
もののたたみ方に注意するようになった
これまで自分でたたまなかった布団を
たたんでみたりするようになった
いつもはそこら辺に放り投げている
パンツや靴下もたた ....
君にとっての世界
それはこの部屋のなかがすべて
出かけてくるよ
君は寂しげに小首をかしげ
ドアをあける気配に
まだかなまだかなと待ちきれない様子で玄関を覗き込む
....
朝日はね
特に良く晴れた日の朝日はね
そりゃあもう別嬪さんで
たったひとりで見ていると
もったいないような
独り占めできてうれしいような
不思議だね おれは
新しい朝と結婚したくなっちま ....
大空に心を飛ばそう
美しいコトバを追いかけて
風船のようにふわふわ漂いながら
心の中に綺麗な模様を描く
それは私だけのオリジナル
私には 『 創作 』という翼がある
誰にも理解されな ....
思い出の箱を
春の野に
夏の朝に
秋の鳥に
冬の霰に隠してる
栗鼠のように
大切な食料
びっくり箱のように
色彩が溢れないように
暗証番号つける
秘密のファイルのように ....
葉は寄り 毛の尾に嗅がれる
伏せる喉 痩せた土 はぎ
噛みすする 親不知
木の根に うずくまり
こごと と舐める
石の蜜
春の音がする
表通りを過ぎる車の音
自転車のベル
子どもの笑い声
前景の音が滲んで柔らかく
遠くの音がよく聞こえる
カシャーン、カシャーン
どこかで鉄骨を打つ重機
パタパタパタ…
小 ....
世界の最果ての部屋で
無音のテレビが瞬いた
鬼が私を探しに来る
緋色に染まった夜の海から
シルクの魚雷に跨って
鳥は巣で寝返りを打ち
子供は母に抱かれて眠る
夜の付き添いに疲れて
人気のない待合室の
ソファでうつらうつら
窓際に置かれた
ヒヤシンスの根が
くねくねと
夢の中まで伸びてくる
先端の脈動に
病院のすべての機器が
....
青い瞳の中に
沈みかかる方舟
手を振れば
手を振り返す
遥か彼方から
震えた体を
異人の言葉が抱きしめてくる
温め合う心と心
黒い瞳の中から
ありったけのサンキューを
....
四月病ってあるらしい
さりとて年度替りの初々しい賑わいとは
とうに縁遠くなっているのだから
花散らしの雨もあがり葉桜と化した桜並木を
これでよいのだと独りごちながら歩む
※
....
不器用な詩人を撫でる桜まじ
花篝燃えてくれるなまた泣ける
哲学の道を流れる花筏
散るまでの夢と知りつつ桜酒
高瀬川乳飲み子抱いて花の雨
岡崎の桜回廊象の声
....
電線がそよぎ、枯木[こぼく]が揺らぐ。
片田舎の旧道に、どこからか舞い込んできた桜の花は、
はらほろと。誇張もなく、執念もなく、かといって無残でも無常でもなく。
昼下がりの淡い亜麻色の中、ただ静 ....
仕事から帰って
まあとにかく 手に取ってみる
テレキャスターのネックを掴んで
壁に背中を預けて 床に腰を下ろし
腿の上に ギターを抱いてみる
まずは 調律する
そして 手癖のように ....
アマゾンという
喫茶店の水槽で泳いでいる
あの魚はピラニアだと
まことしやかに
客の間では
ささやかれていた
根拠といえば
そこに
張り紙がしてあった
「指を入れないでください」 ....
不謹慎という言葉が嫌いだ
泣くだけが悲しみ方ではないだろうに
皆それぞれ
想い 苦しみながら
それでも僕らは僕らに与えられたトキを生きていかなければならない
自 ....
冷たい雨が降ってきた
おれは黒々と木のようで
心臓だけがガス灯
何を照らすでもなく ぼんやりと立っていた
小さな春は震えていた
おれの心臓に寄り添い 冷え切ったからだを温めた
....
新しい暦が生成している
遠い国で洗い上がったシャツの匂い
ためらいと高揚
背中に触れる唇の温度
インディゴに溶け込むマゼンタ
梢たちを過ぎて
吹き下ろす視点から
....
コトバは音声と意味を結びつけるしくみの総体である
コトバの本質は意味を伝達する道具
それはぼくの頭の中の愛という概念を体の生理的機能にしたがい
aiという2音素の物理的波動に変換してきみの鼓 ....
バスタブからあがった
ブロッコリーが塩と胡椒で
身支度を整えている頃
次から次へと切り出された
キュウリの楕円形の
車輪は朝日を照り返して
クロゼットからはがされた
レタスが ....
死神を副業にする桜守
満開の冷えた桜に沈む船
堕天使も枝垂れ桜で白くなり
漆黒の翼の痕に桜KISS
JOKERが姿を消して花吹雪
夜桜の影で小悪魔服 ....
時折 背負った荷物をすべて下ろしたくなる
そしてまぼろしの中の風のように
異邦人たちの衣を揺らしながら
何も持たずに消滅したい
時折 鳥となって旅路の終わりへと飛び去りたくなる
....
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