吹雪く雪の中 飛ぶ白い羽音
ひき風 ひと飲み
とどろく 心臓の火
まつげに擦られる 粒氷
ひりひりと まっすぐに溶ける
荒れるな 空
痛めた体を 巣に眠らせるために
銀河吹雪 渦 ....
雨が街を一斉に叩く音で目が覚める
億劫な、暗い灰色の朝に
独り、目をこすりながら時計を見た。
午前5時半。
雨が降ったって
雪が降ったって
強風に煽られて
....
誰かが
だましているんだなと思う
ぽかぽかとして
冬なのにこんなにあたたかい日は
だから
あたしは
まーだだよと言う
あわてて
かえるが起きてこないように
誰かに
だまされ ....
良い人は扱いやすさで軽んじられる
良い人は時に利用されて捨てられる
良い人はもてない分だけ深みが増す
男女交際において
良い人という呼称は決定的なダメージの象徴だが
良い人が好きだ
....
その金曜日の午後
いつものように黄色いスクールバスから降りてきた
娘達の笑顔を確認してから
思い切り抱き締める
「ねえ、ねえ、今日学校でこれを描いたんだよ」
私の腕を振り切る勢いで バックパ ....
なくならない
昨日のむなしさも
紅すぎる夕日の色も
いつかみた映画の感動も
ありがとうっていわれてドキドキした鼓動も
失恋ノナミダも
やさしくしてもらったことも
あのときこうしてれば ....
冬は突き放すような抱擁
軽くドレスの裾を振るだけで
白い吹雪が真昼を閉じ込める
冬は火傷するほど冷たいキス
サイドミラーの氷を指先で落とすと
風の中 君の声が聞こえてきた
子どものころ ....
リズム感 鈍感 レレレの自由無垢 無頓着
そんな ばら蒔き 摩訶不思議な種を新世代へ レレレ連れてって
何でも在るを計りに乗せず 空気と共に計る KYの自由 天然の素質
....
まだ桜がやって来ない 四季感の先取りの華は雪
手先のハンドクリーム 指紋は前科を消し去る
イミテーションの綿を積もらせ本物のキラリは星に鳴るムードは勝つ
曇り空の午後の始まりに 何 ....
凍えた体を温めてくれと願ったのは、あたいの罪
躊躇なく温めてくれたのは、あなたの罪
そんな罪を、微妙なあたいたちは愛とよんだ
ドウダン ツツジの森は小春日和が好き
根元にからみつく風が友達
山ひとつ越えた里はすでに埋もれ
西の山にかかる雪雲
低くはぐれて ひとつ ふたつ
森の中を散策するには
....
スカイツリーに昇った
天望回廊まで昇った
世界一の高さ
634メートルの
スカイツリー
「ムサシ」と
覚えるのだという
天望デッキの上にある
天望回 ....
いい香りのするパンダに乗って
街を闊歩
驚くよね
もうおっさんなんだから
でも、ほら花屋の前に佇んでいる君だって
後ろに乗っったっていいんだよ
雨上がりの路上は、いくらふさふさの足と言 ....
君はテーブルに頬杖をついて
文字の積み木で遊んでいる
利き腕の人差し指で
柔らかい母音を
戯れに曲げながら
暗い藍の色で出来た゛う ゛の文字は
うつむいた気持ちの音
....
あっちゃむいて、ほい! あっちゃむいて、ほい!
たまには向きおうてもええんちゃうん?
こっちゃむいて、ほい!
少しきしむ階段をのぼれば きみの部屋
端から二番目…
ミントの煙草の匂いをまとった 気まぐれな人だった
手を離すと どこかへ いつのまにか
消えてしまいそうで
い ....
人気の無い埠頭から望んだ街はただ灯ばかりが無機の光を放ち
まるで人間の営みとは無関係な顔をしているみたいで
かすかな海の匂いを抱いてそれでもふと
人を遠い空間にいざなって行く
僕に ....
手のひらを
空が ざわざわしている
手袋の上に舞い降りて
うっ、雪達は しまった まずいと むずむず
気が付いた
この肌に触れれば 飛べない水滴
水っぽい冷汗ならいいのですが
....
まどのこちらで膨らむレース
とぎれなく ひたながく
ひかりでいっぱいにささくれた
哲い うすみどりの風がおしいるのは
それは祝福ですわと
すずめたちがけたたましく喉をまっすぐにする
色とり ....
繋がりなんて無いと思っていた
見えないものは信じないと
決め込んでいた
飛び交うのは
想像したくないものだと
決め込んでいた
見えないものは
ふれあえないものだと
勝手に案じて ....
カップがソラだとしたら
コーヒーが注がれて
夜が来る
苦い夜がニガテであれば
ひとすじのミルクが注がれる
銀の匙は使わない
やがて白い雲は 時間に溶けてゆく
どこかに月が隠れて ....
友よ 教えてくれ
いったい何処へ行くのだろう
君とは長い付き合いだ
離れてはいても仲間たちと繋がり合っていた
私は決して孤独ではなかったが
すぐ側にいた君と親しくなるのに時間はかからなか ....
モンマルトルに世界樹が生えている
世界の中心から その根は 枝をほそらみ
スローモーションで 人々が朽ちるときにだけ
冴えざえと 好き勝手に舞いながら 全体としてと統一のとれたリズムで
....
フレドリック・ブラウンの死にいたる火星人の扉という創元社の文庫本
推理小説だが
彼には火星人ゴーホームという超絶な作品もある
火星年代記というレイ・ブラッドベリの名作
火星の赤い砂はア ....
アン・ドゥ・トロワ アン・ドゥ・トロワ
壊れたトウシューズをどこかに置き忘れた少女がひとり、漆黒の夢の中
そしてその静寂がわたしにまとわりつく
正しさってなんだろう
正方形の角が 誰かの頬に食い込むとき
その痛みが 真四角の正しさを証しするのだろうか
正しさってなんだろう
まっすぐな線をまっすぐに歩くことが
そんなに尊い ....
ひとの哀しみを
知りたい
深く…より深く
青いビーズの散らばる
大広間に
君と寝そべっていた
手を…手を繋ぎたい…
....
1
眠るってなんなの
とても
生きているとは思えないほどの平穏だろう
なにも知らなくてもわかる
静かなことはわかる
2
目を覚ますと
ありとあらゆる音が聞こえ始めて
驚き ....
も吉と歩く
何もない冬の午後
も吉と歩く
はたちの頃 一年ほど日記をつけた
何も残せず ただ消えてゆく日々が
とてもこわかった
時間はたっぷりあったのに
いつもの散歩道
....
私は亀ちゃんを生んだ
亀ちゃんとは本人の前では決して使わないあだ名
亀ちゃんは本当にゆっくり成長していく
初めて歯が生えたのは一歳三カ月
初めて歩いたのは一歳八カ月
二歳になって ....
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