微かに震える
指先で闇に
縋ろうとする

あなたの薄紅の
吐息がひとひら
わたしの頬を掠める

見上げる
わたしに言葉を
飲み込ませ

むせ返るような
吐息を幾重にも
 ....
喫茶店が次々に店を閉じたというのに
この店だけは流行っています
屋根すらない喫茶なのです
白木蓮を囲んで 簡単な椅子が置かれています
清水から作った ささやかな飲み物があるだけの店です ....
きちんと一センチ伸びた白髪が
またもや月が巡ったことを
立ち尽くす私に伝える
捲り忘れたカレンダーよりも
ずっと着実に
ずっと正確に

遠い故郷で
私がその顔を拝む前に
燃やされてし ....
視覚には捕らえなかったけれど
感じてしまった
小さな淵に潜んだ眼

その頃
山奥に完成したダム湖では
人を呼び 春を楽しませようと
貸しボートを浮かべていた

まだ観光の人もいない早 ....
君は望遠鏡や顕微鏡を造る僕の会社の設計室に勤めていた

僕はある日君に恋した

それはけっこう素敵なことだった

会社の裏の独身寮のそばに総務の峯岸さんの貰ってきた柴犬の仔が三匹

彼 ....
どうかリラックスして

痛みを増やさないでね

白いイルカに乗って

深海に潜ってゆき

不安や恐怖は

溶けてゆく

そんな気持ちに

どうぞな ....
春がやさしく微笑むと 
白く積もった嘘が融け
ぬかるんだわたしの心を
悲しい泥水となって流れ下る

ひび割れたアスファルトの肋骨
空に頭を踏まれたままの道あるいは時間か
仰向けに開いた記 ....
此岸のこの世に 深みにふけず 軽はずみに挫くこともなく
ただ受け取る 両手が無くても その形を補う

 強さしか滲み出ない エネルギーの みなぎ

此岸は彷徨いの足跡を己の銀漢を巻くDNAに ....
爽やかをどう表現しよう 漢字の中に幾何学を見る淡白
この候を満たす 華麗な空の下 色などつけなくとも いと美しい

彼女の耳に音階の異なる民謡が流れる もう初夏に目覚めている南風の栄え
イソヒ ....
わたしは恥を恥と知りながら生きてきたのです
そうやってずうっと生きてきたのです
指をさしてはなりません
その背中は誰の背中

きっとわたしの背中でしょう

指先に愛しさを
老いて紡ぐは ....
【カタツムリの抜け殻】


実家には もう人の気配は無い
生気のない 家に行くには 迂回路しかなく
すぐそこに家はあるのに ふるい路は
家を まの当たりにしていながら ゆるやかに曲がり ....
銀紙をくしゃくしゃに丸めたあとで
拡げたみたい
海面で瞬く無数のさざ波が
煩い

雲から
スポットライトが注ぐ
見えるはずないステージが
現れ

翳む
ぼやける
ぶれる
沈み ....
しんどいんや
と いう君のまっすぐな心も
曲がることを覚える
慣れない乱暴な言葉に

正直にバカがつくと
まるで加害者
どうしていけないの
おもったことを言うのが

梅が咲き
こ ....
君と同じ空を見上げたかったのだ

お雛様みたいに仲良くちんまりと並んでいるんだよ

桃の花だって咲いているし重箱には煮物バスケットにはサンドイッチ

おまけにスパークリングワインなんぞも冷 ....
わたしたちは
いつだって
傘のかなしみを知らないのです
雨は水のふりをしているけれど
あれは
悪魔なのです
今は悪魔であるけれど
もとは穢れなき天使だったのです

傘は特別製の防御服 ....
 
限りなく明日に近づけば

今になる

だから、僕らは夢をみるの




 
酸素も窒素もありはしない
ヨウ素の要素の感得力だとも思うのだが
まだ朝は吸収し切れないものでいっぱいだ

きみの整理が終わるまでぼくは待つのだよ
するどく
かたほうによって
なにかを
 ....
 ぼぉお ぼぉお ぼぉお
 ぷくぷく ぷくぷく

 よう食用、元気かい
 
 うるせえ、食用って言うな
 何度言ったら分かるんだ
 だいたいおまえだって食えるじゃねえか

 ....
涙だけをためた洗濯機に
渇ききってしなびれた心をつけ込んで何回もまわした
でも脱水するとまた、しわしわになり・・・
風にさらせば、パリッパリにまた乾く




じゃ口 ....
震災関連番組を見ている
私の背中に
六歳の娘が不意に覆い被さってくる

今朝思い切り叱られて
「ママなんか大嫌い」と
涙を溜めた目で私を睨みつけていた娘が
「ママ、大好き」と言いながら
 ....
 いつもたくさんの洗濯物で
 満艦飾に彩られていた庭が
 屈強な男どもに踏み荒らされていく

 六畳間に上がりこんだ現場監督は
 うち捨てられていた円卓を
 作業靴の足でガンガン ....
月は淋しくて蒼い光をそっと流すのだった

夜は哀しくて汽笛をひとつ響かすのだった

風は切なくて切れ切れに吹いているのだった

君は懐かしく僕の思い出の窓辺に座っていた

仄白い水仙の ....
空を見上げる
あなたの隣で
わたしは
深い海に沈んでいく

夢を語る
あなたの声を聴きながら
止めどなく
涙を流している

相容れない
対極の感情がある

二分化した心は
 ....
夜でもない朝でもない

真昼が俺にはお似合いだ

納屋の小麦を盗み喰う
そんな手口もいたについて

俺は名無しのガスパール
尖った爪で花を摘み
あの娘の窓辺に飾るのさ

誰ともし ....
 
晴れた日にうたう歌がある

雨の日ににうたう歌がある

僕には、歌がある



 
孤独と隣り合わせの自由

愛と背中合わせの孤独

無数の愛と自由と孤独が春の風に舞う

窓から望む 菜の花畑は 春霞

重ねた手の温もりは幾つかの時のかけらを記憶の襞から呼び覚まして
 ....
化石少年は砂岩の中にある海中生物の
痕跡に魅入られていた

数十万あるいは数百万年の時を経て
無名の海底生物の生きた証左が地の中の眠りから
主亡き痕跡という奇跡の造形のままよみがえる

 ....
僕らは寂しさに慣れたフリしてしまっている 靴下一日一足

一旦帰宅し脱いでも またそれを履く

靴下一日一足

不思議な私の掟

 今日の靴下レースのエリザベス ズボンで隠れる乙女の秘密
 そう 赤い透けるランジェリーと同じ ....
亀とは
亀のようにゆっくりなペースで成長中の私の長女
この間9歳になった

その亀
学校以外の場所では
とっても朗らかでおしゃべりなのに
小学校入学以来
教室で全く口を利けない
少人 ....
灰泥軽茶さんのおすすめリスト(1083)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜桜- nonya自由詩21*13-3-22
朗読喫茶- るるりら自由詩18*13-3-22
白髪を染める- 夏美かを ...自由詩26*13-3-22
淵の眼- イナエ自由詩6*13-3-21
恋を抱きしめよう- 梅昆布茶自由詩1213-3-21
白いイルカ- 多紀自由詩21*13-3-21
この春を何と呼ぼうか- ただのみ ...自由詩28*13-3-21
此岸にて- 朝焼彩茜 ...自由詩1113-3-20
この候を満たす風- 朝焼彩茜 ...自由詩9*13-3-19
致死節- 瑠依自由詩913-3-19
カタツムリの抜け殻- るるりら自由詩28+*13-3-19
凪ぎ- Lucy自由詩19*13-3-18
風の花咲く日- 朧月自由詩413-3-18
君と同じ色- 梅昆布茶自由詩18*13-3-18
カサノ_カナシミ- そらの珊 ...自由詩19*13-3-18
僕らの明日- 殿上 童自由詩22*13-3-17
相対化の美学- 梅昆布茶自由詩913-3-17
夕焼け- 平瀬たか ...自由詩313-3-16
回転日常- 唐草フウ自由詩10*13-3-15
二千十三年三月十一日に- 夏美かを ...自由詩27+*13-3-15
最終回- 平瀬たか ...自由詩9*13-3-14
寂しいものたち- 梅昆布茶自由詩813-3-14
【_屍の海_】- 泡沫恋歌自由詩11*13-3-12
真昼のガスパール- 梅昆布茶自由詩713-3-12
歌がある- 殿上 童自由詩27*13-3-10
ほりでぃ_いん_まい_るーむ- 梅昆布茶自由詩16+13-3-10
サンドパイプ- 梅昆布茶自由詩1313-3-10
僕らは寂しさに慣れたフリしてしまっている- 北大路京 ...自由詩613-3-9
靴下のサマンサ- 朝焼彩茜 ...自由詩1013-3-9
亀のいちばん長い日- 夏美かを ...自由詩33*13-3-8

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