すべてのおすすめ
 
 
朝めざめると
あなたは哀しい
人の形をしていた

毎朝きまって
そうなのだとしても
本当のことは
けっして言わなかった

言葉にできないことや
したくないことを
たく ....
母の少女時代を知らない
わたしが知っている
あの少女たちも
いつしか母になっていた

その子らもまた
少女時代を知らない
わたしたちになっていて
知らないことは
いつも目の前に ....
 
父さんが
なれなかった父さんに
なろうと思う

父さんは
自動車が好きで
僕は
自転車が好き

自転車に乗る
父さんを
僕は見たことがないし
自動車を運転する
僕を父さ ....
 
 
水に触れると
懐かしくて
飛び込みたくなるけれど
息が出来ないから
死んでしまったあの人や
まだ生まれていないその人は
水の向こうにいるのだろう

何度も水に触れると
く ....
 
ふとその人の
意図してることに気がついて
糸がふるえている

わたしは煙草を銜えながら
返信メールを
打ちはじめたけれど

意図の糸が
いつまでも
ふるえているので
確信を ....
 
ひさしぶりに実家に帰ると
お父さんが
船になっていた

甲板には母がいて
いつものように洗濯物を干したり
いい匂いがしてくる
調理室で料理をつくるのも
やはり母だった

嫁い ....
 
詩の一行一行に
花を咲かせたような
あの桜並木を歩く

僕には
名前を持たない
姉がいた

姉は木の行間をくぐり
幹の陰に隠れたのかと思うと
花咲き乱れる
か細い枝に立って ....
 
都会では
駅でたまたま友人に
会ったりするものなのかい
問う父に
そうだよと
わたしは答えた

セイウチみたいになった
友人にね
友人でもないのに
会ったりするものなんだよ
 ....
 
子供の頃の、僕と父の写真を指差して、四歳の息子が、
「お父さんがふたりいる」と笑ってる。
それから、今の僕を指差して「お父さんが、もうひとりいる」と笑ってる。
今度は少し、不思議そうな顔を ....
 
夜ちゃんと
手をつないで歩いていた
夜ちゃんは
口を大きくあけたまま
何か話しかけるけど
その口は月なので
僕はその光をからだじゅうに
浴びている

夜ちゃんが
きゅうに無口 ....
因子さんの小川 葉さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さよなら二十世紀- 小川 葉自由詩1710-7-14
マザーズ- 小川 葉自由詩109-12-22
父さんがなれなかった父さんに- 小川 葉自由詩1409-11-17
水に触れる- 小川 葉自由詩9*09-4-22
ふるえる糸- 小川 葉自由詩4*09-2-25
- 小川 葉自由詩809-2-24
桜並木の詩- 小川 葉自由詩709-1-27
セイウチ- 小川 葉自由詩409-1-26
今、ここにいる。- 小川 葉自由詩709-1-24
夜ちゃん- 小川 葉自由詩509-1-11

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する