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万年筆をなくした
千円でカートリッジ式のやっすいやつだけど
ここのところ頼りっぱなしだった
机に散乱する
紙切れの上のどうでもいい書き置きも
ちょっといい店で買った
分厚い表紙のノートの中 ....
わたしの手にとてもよくなじんだキーボードで、
いのち、と打って、
変換で、命、と出ないから、
めい、と打って、変換する、
いのちはどこへ、行ったのだろう。

いのち、と打つと、
胃の血、 ....
どうやらまつげをいっぽんいっぽん
抜いていく夢ばかりみる


癒すべき傷は
なんだかもう見当たらない
みわたすかぎり荒野には

わたしのほかに
だれもここへ傷をつけることはできないの ....
遠い未来の2010年で
あのひとは手をふっている


おとなになっても
ちゃんとおぼえてるよ


みつからなかったけど
どこかにあるはずの
遠い未来の2010年に
わたしは両手を ....
きのうパパに捨てられた焼鳥弁当の
とむらいはどうしたらいいかしら
丸いっぽん残っていたつくねのぶんの
とむらいはどうしたらいいかしら

わたしはつくねのとむらいに
いったいどれだけのつくね ....
ひとりきりになると
蝋をとかす匂いが
わたしの気道をふさぐので

雑踏をさがしに行きます



なんでもないふうにして
ポストへ落としたのだけれど
だけど、まだすこし
わたしの指 ....
その手に触れたら
現実がずれた






街に潜らないと独りになれない
名前と顔のないものが適当数、ほら
いま地に足が着いている

そろそろ去っていきそうな虚像
昨日のひと ....
わたしのあたまの中に恋人がいて
日になんべんも死ぬ

わたしは足がおそいから
いつも置いていかれるんだ
ゆるして
あたまのうしろの
いちばんやわこいところを
食べてしまったこと


知らない間に
食いしばるのが癖になっていた私の歯は
削れてひどく不格好になり
喋れば口内を傷つける
春 ....
真夜中の台所の暗闇を手探りでさがして
やっとみつけたスイッチを押したら
なにも起こらなかったとき
なにかを間違えてしまった気持ちになる


アイボリーのしかくいこれには
スイッチ以外の名 ....
たとえば、目の前に
誰もいないことにして黙りこむのは簡単なのに
誰かいることを認識するのは存外むずかしい

いないふりをするのは比較的楽なのに
いることを知らしめるのはあまりにむずか ....
きっと しぬなら
ここが いいな
口許に両手で
まっすぐに支え持つ

大切なものが
ひとつも目に入らないようなのがよい
最初からいままで何も知らず
何も持たなかったかのように
最 ....
ろくしょう だ


つめたい痛みを
しっている
触れずとも
知らなくとも
夢にみなくとも
しっている


もう銀いろではないちいさなつまみが
いつか銀いろであったことを
だれ ....
さくらんぼには
種がなかった
私の穴の空いた歯には
それでもとても痛かった


くだものの話をすると
こうやってなんでも
比喩みたくなってしまうね
痛かったのは本当だけれど


 ....
手のひらと手のひらを合わせて
ぎゅうと押しつければ
肉と骨の二枚貝から肉と骨の枝が飛び出して
醜くてたまらない私が客観的に見える


大丈夫だろうか、まだ平気だろうか
酸性雨でたましいは ....
もうすこし ふるえていようか
みつけてもらえるように


何を言ったんだろうか
かすかに見える振動の
その残滓が
言葉の残り香を伝えてくるのだけれど

部屋じゅうに張りめぐらされた糸 ....
(鉄道信号機が故障・停電の際に赤を示すのは
止まる という安全側に働きかけるためである。)











歩けども歩けども青信号ばかりで
空も海も本当は青くないのに ....
私の頬から飛び出して
パソコンの光でキラキラと輝いている膿を指し
あなたは「うつくしい」と言った

プログラミングをまちがえてしまった
キラキラしたものがぜんぶうつくしくみえるあなたは
と ....
あたりまえといわれそうで投稿をためらっていた文章。








母は、私が幼いころ、産まれたときのことを覚えていたと言う。
幼い私は、そのときのことを、おみずがざばーってなっ ....
18という年齢を
しろい両手で握りつぶす


生きています、
ひとりひとりに、貰った分より多く返さぬよう

前を向かずとも、
後ろを向かずとも、
起き上がらずとも、
一日中茶碗を見 ....
不意に、もうひとり帰ってくる気がする


母は家にいて
私も家にいて
弟が帰ってきて
もうひとり弟が帰ってきて
それから父親が帰ってきて


机に張り付いて私は耳を澄ま ....
コンタクトとあるく

壁、街灯、空、あと、電柱

顔のないものにさえ
こんなにも融和を拒まれていることなど
とくに知る必要はなかった
だけど毎日確かめないと歩けない

これがないと私 ....
あたまの傷のことや
からだの傷のこと
目のなかのぐるぐるの暗がりのこと
そういうことを口に出すのは
醜くていけない

たたかうこと
負けを肯定すること
生き抜くこと
まぶしい、
と ....
小川 葉さんの因子さんおすすめリスト(23)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
万年筆をなくした- 因子自由詩413-11-10
いのち- 因子自由詩511-9-10
いっぽんいっぽん- 因子自由詩311-4-11
遠い未来- 因子自由詩2*11-2-1
つくねのとむらい- 因子自由詩4*11-1-3
自分の手を離れていった手紙のことについて- 因子自由詩310-9-15
在る- 因子自由詩3*10-7-4
白い絵- 因子自由詩510-6-18
許せない春- 因子自由詩8*10-3-24
スイッチ- 因子自由詩5*09-12-20
でんわ- 因子自由詩3*09-8-21
スターバックスコーヒーで死にたい- 因子自由詩509-5-12
緑青- 因子自由詩409-3-14
瑞々しい嘘- 因子自由詩1*09-3-11
皮のなかみ- 因子自由詩409-2-28
ふるえる糸- 因子自由詩4*09-2-26
ブルーデビル- 因子自由詩2*09-2-23
ロボット- 因子自由詩4*09-2-19
覚えていない記憶のことを- 因子散文(批評 ...209-2-11
ゆく、かえる- 因子自由詩1*09-2-6
もうひとり帰ってくる気がする- 因子自由詩20*09-2-2
コンタクトとあるく- 因子自由詩209-1-31
ぱくぱく- 因子自由詩508-11-19

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