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光が光をまとうとき
ひかりかげり かげひかり
静かに昇る
譜をめくる指
文字の見えない
明るさの紙に
ひとつをひとつに書きつけて
降りつもる音を見つめている
....
何かを探る翼の音が
昼の終わりをすぎてゆく
短く密な闇の入口
まだあたたかな水の{ルビ足跡=そくせき}
腕から肩へ
沈むように横たわり
つづくわずかな揺れのなか
じっ ....
あたたかい寝まきです
でも
あたたかいふとんです
おかあさん
頭のほうが寒くて
しんとします
眠ったとたん 朝でした
お昼を食べたら
もう夕ごはん
ふしぎです ....
裂けた木々の{ルビ音=ね}
あふれ 重なる川
虹彩の無い灰紫の眼に
生はかすかにゆらいで見える
原を駆けるものの涙も
草をかきわけるものの血も
円く平たい空気の底に
....
父親が午後に死んでも腹は減る
眠くても胃が痛くても腹は減る
かゆくてもぶつぶつ出ても腹は減る
もどき詩が詩のふりしても腹は減る
鳴り止まぬ洞のむなし ....
まるいかたち
まるくないかたちのものが
手ではない手にこぼれ落ち
光や
光ではないものとともに
器のなかで鳴りつづけている
低い草 永い風
畏れをわずかに避ける影
....
夜とカケラと
くず拾いの顔
コップをコップで閉じ込めた輝き
薄め 薄めて
水より薄く
足を伝った油の罪
月は彼等に殺された
私は月を想って泣く
封じた想いは耕され
見たこ ....
あたたかく冷たい砂につつまれる湧き水の音めぐるむらさき
饒舌を打つが私の常ならずハチドリの羽ハチドリの水
指さきに降る水銀の一粒に触れに来る火の姿はまわる
....
旅が
かすかにかしいでいる
分かれゆくかがやきの幾つかが
道に沈み 泳ぎ去る
家の陰に落ちてくるのは
わずかに早い 未来のまばたき
午後を閉じては
またたかせている
....
瞳のかたちの夜の食卓
ひとつの炎が揺れていて
他には何も置かれていない
椅子には誰も座っていない
波に斜めに刺さる輪があり
光の泡をこぼしている
あちこちにぽつりと灯る ....
鳥が くわえたたましいを
離すたびに緑は深く
深く 深く
枝は水紋
土に落ちた花が集まり
さかしまに笑む紫陽花もいて
水は灯る
水に 灯る
鏡に映る鏡の奥で ....
霧雨が運ぶは遠い音ばかり
我が水の薄さに萎える羽虫かな
触れるたび遠去かる音日々の音
ゆらぐ道ゆらぐ光の水の声
水もとめ{ルビ背=せ ....
自転車に乗った風と花
ラジオの道を駆けてゆく
季節は今日も手のひらに
微笑む水を遊ばせてゆく
し と
くちびるに露をあて
朝の光を遅らせる
草の根元の幽かな揺れに
応える静かな笑みがある
雨の日
葉を持ち
あふれるうたの指揮をする
道のうた 流れに映るうた
....
夜の雨を燃す火があり
風をつかみ
家を鳴らす
屋根のかたちが
曇に映る
明日の水を知る花の群れ
遠い音を見て動かない
鼓動と鼓動のつながりが
水平線を巡っている ....
蝶を見た朝
森から森へ
子はひとり織る
銀の声
緑をつらぬく小さな音
つらぬかれた跡の揺れる音
つらぬいたものが緑に染まり
水の底から空を見る音
銀が重なり ....
満ちていたものは見えなくなり
いたのかどうかさえわからない
かたちはかたちを保てぬほどに
すばやく色も無くすぎてゆく
影のなかに潜む影から
うつろな虹がさまよい出でて
....
朝が来て目覚めはじめる痛みかな
自分より愚かなものを知らぬ朝
頭から頭をどけて朝を見る
我が願い次の朝陽は含まれず
誰も来ぬ分か ....
雲間から陽の動く音ふりそそぎ立ちどまる水ふりかえる水
風が開け風が閉ざせし穂の声の微笑むように消えゆくを見る
むずがゆくめざめしものへ吹く風が窓のしずくに描く銀の葉 ....
{ルビ柔毛=にこげ}の緑
色のない炎の雲
渦を巻き
渦を吐き
世界に染み込む
ふきあがり
かがやく糸になり
世界を失う
青い灰の夜のはかなさ
遠くと近くの言葉 ....
見える水音
見えぬ水音
草を伝い
草を描く
影を避けて
水を歩む
雨のあとの
浮き沈む道
おぼえられ
わすれられ
名前は鳥のようにすぎる
地は蒼い
....
森の貝をとり
水にひたし
透きとおるのを待つ
巨大な草の{ルビ族=やから}の
息つぎを待つ
湿った土
霧が告げる鳥
岩をしめす手
声 匂い 熱
姿以外の緑 ....
ななめに銀の 朝のはじまり
指が背になり 背が指になり
よろこびのあとのまどろみを
ひとつふたつと過ぎる鳥影
結ぶ光 結ぶ記憶
髪の毛を結わえる見えない手
風のなか
....
在りつづける羽
鳴りつづける羽
変わりつづける羽
空の空に重なる黄金
宙に鎖がれた魂が
風のなかで動けずにいる
鉄に鉄を打ち込む音が
雲の下に響きわたる
....
光の粒は増えては落ちて
空の青に波紋をつくる
大きな花の季節を切り
空を開け
冬を散らし
登山者の凍えた耳に
言葉を残す
雲の奥の淡い砂の陽
ほどけては集まる鳥 ....
夜の中の黒いオーロラ
帯の馬にからみつく蛇
ほどけながら近づく星は
月をかき消す粒の緑
沈むままに 見えぬままに
うごめくものは常にうごめき
まわりながらめぐりながら
夜は水 ....
目を閉じた赤子の笑みに触れる花
ひとひらをくちうつしする涙かな
赤子の手何を語るや散る桜
とどまらぬ光の糸をたぐる花
名づけても名づけきれぬ日花 ....
年寄りの冷や水空に撒いてくる
歯ならびの悪い家から歌いだす
技術など鳩に喰われろぽっぽのぽー
見えぬもの見えるから書くそれだけだ
....
銀の粒 ひとつの星座
解けてゆく月
たちどまり
再び進みはじめるたびに
目の前にひろがるものたち
「これで死ぬのか」と思いながら
生きている
....
在ることさえも忘れられた本
うたのように閉じてはひらき
曇のかたちの息をまわし
変わりつづける風と花房
捉えきれない色に微笑む
手はあたたかく
目は寒く
光の流れに疎 ....
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