私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです
何か言わ ....
星をひとつもらった
夜空がすこしだけ暗くなって
そのぶん
ぼくの夜が明るくなった
きみに手紙を書く
いくども書き直したので朝になった
星のことは書かない
ぼく ....
流れてくる音楽を
つかまえようとして
つかまえられないのは
あなたがそれを
自分ひとりのものに
しようとしているから
かもしれない
つかまえるのではなく
ただ両手を頭 ....
黄色い鈴を振りました
しかし音が出ません
そもそもこの鈴の色は
鈴色ではなかっただろうかと疑問に思っていると
左上の隅の方で小さな私が
それは僕がスプレーで染めたんだとほざいたので殴りま ....
思ひ出の少なき恋を庇ひ庇ひ青き月夜の古き浜辺へ
ひとは誰かと接しながら
頭の中のキャンバスのようなものに
相手の絵を描いているようなところがないだろうか
デッサンがうまくいかなくて
何度も何度も描き直し苦心している絵
とりあえずの ....
おいしいおいしい鱈の目
ほじくりかえす おしたしにするといいんだ
てんぷらもぜっぴんだね 鱈の目
先っぽだけまあるくつまんでみる
まえばでやさしくねぶってみるよ
鱈の目 酢みそであえよか ....
ああ 付箋が沢山ついていて
七夕のようだ
頁と言う頁に印鑑が押され
咲き誇る桜のようだ
可愛い登記簿 君が好きさ
職について間もない俺の
汗の結晶さ
手垢で汚れ
この翳り具合が ....
ライラックの花が枯れてしまつて
また同じ花を育てても同じ様に愛せるか不安で
水を与えずとも生きてね
お前の手など借りぬと花を凛々と咲かせてね
私は死んだ片割れの正義とかそれゆえの責任とか云ふ計 ....
弔いの言葉が捌かれて
彼らはそれを咀嚼する
通約された痛みの淵に
紫紺の{ルビ輪=ループ}を描きながら
桜は
自らの闇に向かって落下する
....
ええさんに
てがみをかきました
うつくしいじで
てがみをかきました
きゅうじょうは
なんじょうになるのですかと
かきました
じゅうじょうですか
に ....
四十年戦いとりしクリスチャンわが人生の武士の一分
絵教室妻よろこばすためにとぞ蜜柑の絵をば描きにかきけり
今日の日はビールを2本呑みたりき絵に勢いをつくるため
きみの魚にふれたくて
えら呼吸を切望したら
肺が痛んだ
朝への開口を防ぐように
その
呼吸のひとつ
くちびるを
置いていく
きみの鳥をとびたくて
背中にそらを作ったら
煙に ....
三十年前にさおれ高校入学したばっかだったけどサブリミナル効果って知ってたのよ。だからユリゲラーがテレビではーい今すぐブラウン管に向かってカメラのシャッター切ってくらさーいっていいやがった時こりゃサブリ ....
表現作品は
遠征した結果の戦場なのだから
葛藤を宙に浮かしたまま ぶっ殺しておけ
表現作品が
作者にとっての安らかな居場所になってはいけない
そうは思わないか おのれ ぶっ殺しておけ
....
{引用=風の脚が遠ざかってゆく
あさいわだちは
春の周りをくすぶっていて
いろとりどりのかざみどりが
ゆるゆると迂回しては
家を さがす
信号が青に変わり
ひとなみは と ....
浅草あっちゃん油虫
青葉青山案の定
インドイギリス硫黄島
イカの色したイイおんな
うどんウクレレうりふたつ
梅田鶯運の尽き
エンドえげれすエロガッパ
駅の易者のエビふりゃあ
浅 ....
閑静な住宅街にうっそりとたたずむ
広尾のリストランテ「イル・ニード」
ここはうまい巣ごもり料理を食べさせてくれることで有名だ
今夜は僕たちが知り合って2年目の記念日で
給仕の差し出すメニュ ....
弱気である
あなたに会ってから、私は弱気な女になってしまった
優しくしてくれてしまうと、わっと驚いてしまう
男の人はなんにもくれない
そう、気づいた矢先だったのに
あなた ....
昨日の月は
尖った 細い 月爪だったので
夜を枕でくるみこんで
空を引掻いてしまわないように
唄を歌って
ふかい、ふかい 息を吐いたら
枯れた冬 ....
桜って詩になりやすいね
きれいだし儚いし日本的だし
でも今はさ無理だよ
もう散ってるとかそういう
問題じゃないって分かるだろう
もう桜でどこまでどれだけ
詩を連ねたか分からない
....
最果で
今年最後のさくらが咲いている
あの日、工場の辺りにはやっぱり同じような工場がたくさんあってね、その中ひとつの敷地に桜の大木が並んである。
バスも届かないくらい、おおきな桜だ。 ....
朝から支えを刻々と縮め
影の長さが水際を割る、。南中に際し
まず柔らかな鳩尾を
下にして((私達は))後頭の
窓に
手をついており
嵌め殺しの空も高いと思う、。恐ろしく
液晶 ....
君は
君の家に入らない
雨が降っているというのに
軒下の風を嗅いで前足を舐めている
私の上には屋根があるので
髪に降るよりも
雨は、
硬質な響きで
音の羅列を渉っていく
....
脱税しました
空は晴れていました
脱税したお金で
スポーツカーを買いました
お金が足りないので
模型のスポーツカーでした
海の近くでした
風に匂いがありました
一輪車が得意でした
上 ....
撫でないで欲しい
その手で撫でられると
心が
毛羽立ってしまうから
今は少し
そっとしておいて
欲しい
声をかけることも
なるべくなら
控えて
下を向いた途端
ぽ ....
わたしのなかのうたが
青い蝶になって
空の彼方へ飛んで行った
鳴り止まないオルゴール
うたのないまま時は過ぎて
今頃おまえは
どこを飛んでいるのだろう
どこでうたを歌っているの
....
例えば。
それが三人称で、
神の視点で書かれているとすれば。
神の背格好や学歴、
食べ物の好き嫌いから、
性的嗜好に、
初体験の年齢と相手とその満足度まで。 ....
トントンとドアを叩く
あまがえるが立っていた
雨が降りすぎてねぇ
しばらく雨宿りさせてくれないか
あまがえるは
びしょびしょの体をタオルで拭いて
どっかとソファに座り込んだ ....
暖かな夕焼けを背負って
私は昨日を歩いている
土手の草陰に置き去りのボールと
空に絡まる電線
川の水は流れているようにも
流れていないようにも見える
背中を温める夕焼けが
実 ....
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