ラーメン屋のカウンターで
長い廊下にぐるぐる巻きにされる
あなたも厨房で
ぐるぐる巻きにされている
狭いお店のいったいどこに
こんなに長い廊下があったのだろう
聞けばあなたはこのお店の店長 ....
角の先から尻尾の先まで
数えている間
よだれでベトベトの浴槽に
肩までつかっていると
今日の牛の冷たさが伝わってくる
それはほんの少し痛くて
やはり懐かしい
牛はただこちらを
....
丘の上に立って色の無い偏差値について語ろうとすると
バナナの風が熱帯雨林の方角から吹いて
学習ノートの文字は穏やかに飛ばされてしまった
間違えることなく世界にはたくさんのリビングがあって
....
雪が降って 真っ白になった。今年は 暖かな冬だといいのになぁ.。
いつもより遅い訪れ 根雪にはならなかった今日の日に ほっとするのは
わたしだけなのかな?
過ぎて行く日々に 寒さも 厳しさも迎え ....
野を渡る風が表皮をなぞると
確かに私たちからは
生きているものの匂いがする
ひれ状に並ぶ背中の突起物にさえも
既に意味は付与されているのだ
と、唐突に閃光が走り
どこか、と ....
前回の、視覚詩のお勉強の続きです。
○北園克衛の視覚詩
北園克衛は日本の視覚詩の先駆者で、ヨーロッパなどで視覚詩がさかんになったのと同じ時期に
(またはもっと前?北園克衛主催のモダニズム ....
その中で 支度をする
なお、ひかる
くるしいまばたきに
ゆびのすきまからあふれ
染みを
のこして
あの日
髪をきってほしいと言った
初冬だった
あさひがの ....
グーテンモルゲン
お岩さん
飛び込んじゃったので
隣家の井戸が走り出す
通訳探してくるかもしれないね
朝は、おはよう
昼は、こんにちは
夜は、こんばんは
ぐっすりお休み ....
おっぱいの先の
乳首は不思議だ
「乳首を見くびって」というフレーズを
産んだ男はスケベだ
いや、すべての男が
おっぱいばんざい!
ふくらみを持つ
女は不思議だ
ふくらみの先の
乳 ....
メロスが走っていた頃
大半のメロスは
走ってなかった
セリヌンティウスが王に囚われていた頃
大半のセリヌンティウスは
自由に街を往来していた
少年の青白く細い指は
ページをめくり続け ....
たった一つの君は
風のように吹いているが
たとえば
コートのフードを躍らせたり
トマトの表面にとどまる水滴に光を与えるとき
微かな掌の温もりに似た質感を残していくのだ
そう 僕らは ....
家屋は言葉のように
優しく朽ち果てていた
時間があればそこかしこで
両親は笑顔を絶やさなかった
幸せな玄関ホール
その壁には今でも
兄と私の指紋が残されていて
静かに機械の匂いが ....
やわらかな陽射しに顔を照らされて
ふと立ちどまる
それはあの人の腕の中と同じ温もりで
ぽっかりと空いた胸の空洞に気づく
子供みたいに駄々をこねて
一夜だけでいいからと縋ったの ....
メロンパンが破裂して
扉が開いた
向こう側には
名前の知らない海峡がひとつあって
多分自分もあっち側なんだと思う
それなのに僕は波音を聞きながら
こっち側でひたすらメロンパンの
....
はるか昔、世間は男脳・女脳という話で盛り上がってたみたいです。簡単に言っちゃえば、
男脳は左脳右脳(特に左脳)がそれぞれに特化した脳、女脳は左脳右脳の橋渡しとなる脳
梁(のうりょう)が発達して ....
大脳生理学と大きく出たけど、実際のところ俺も脳のしくみについてそんなに詳しいこと
は知らない。一般常識程度。というわけで一般常識程度の大脳生理学の知識によって詩に
どこまでアプローチできるかい ....
フリマの一番隅の方で
いなくなったままの父が
お店を出していた
犬がいっしょにいた
名前をペロといった
父が好んでつけそうな名だった
お店には小さな靴が一足
子供のころ私が履いて ....
見事に文字化けしていました
文字化けしてどうなったかというと
まだなってません
議場で私たちは深く愛し合い
お互いの身体のいたる所を弄り合い
底辺かける高さわる2
三角形の面積はど ....
やがて光が空から降りそそぎ
何かの形になると
それはわずかばかりの質感をもって
わたしたちの背中を押す
わたしたちは少し慌てたように
最初の一歩を踏み出す
でも決して
慌てていたわけでは ....
俺の死体が落ちていた
パンツの中だった
パンツは汚れていた
パンツは洗われてなかった
おまえによって
おまえは植木のひとつひとつに
水をやり
それぞれに優しく声をかける
そ ....
手荷物、は戦いだった
毎夜欠かすことなく
網棚はやって来て
月はまるごと列車でよかった
主翼があれば飛行機でよかった
ぼくは懐疑的な目
愛についてを語る
農家の野菜売りのおばさん ....
浪速の三輪かつらぎ号
{ルビ囂々 ....
話に尾ひれがついて
泳ぎだす速度で
泳ぎだす
身体にあたると少し痛く
自分の血はまだ赤い
眠たい目を擦りながら
恋人のだらしない口元にキスして
唇から溢れたものは
唇に戻る ....
中村が集団となって土ぼこりをあげながら
ひなびた宿場町を走る
中村が健脚だとは聞いていたが
この地で生まれ育った番頭ですら
中村がどこに行こうとしているのか知らない
おい、とうろく、 ....
部屋に突然インドがやって来て
勝手にインダス川を氾濫させるものだから
部屋は水浸しになるし
大切にとって置いたものも
すべて流されてしまった
これは何の冗談だ、と
食って掛かっては ....
アリとキリギリス。なんでキリギリスなんやろね。イソップの寓話は手元にはないが、ラ・フォンテーヌのものならある。でも仏語のものでは、アリとセミなのですよ。
LA CIGALE ET LA F ....
夜の更ける頃
君の身体から
今までに聞いたことの無いような
音が聞こえてきた
安らかに君は君の中で
溺れているのかもしれなかった
+
縄跳びの回数を
数え間違えて
少女はずっ ....
ゼブラフィッシュとの相似について考えていた
それは一種のひらめきにも似た苦悩
わずかな鼓動に
すばやい痛みを感じ取る
魚の遺伝子
その夜は
やわらかく着床する情念に囲まれて
....
太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の犬がやって来て
すべてを食べてしまった
+
お座り、が得意な子でした
お手、もしたし
....
いつの日か宇宙の塵となることを夢見るロケット技師と甥っ子
少年は星の名前でしりとりをしている少女は欠伸をしている
フラフープ棄てる少女に土星の輪なくした土星のごときさみしさ
....
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