この世の全てに
いくつかのちからがあります
弱いちからと強いちからと
まだ見つかっていない重力と
あとは、
みなさんが考えてみてね
と去ってしまった先生、
僕らはうなずいたままです ....
切り削る弦月は
生温かい月明かり
星の角先が知らぬ間、円みを帯びている
願いを込めれば
河瀬に
天の河の流れは淀み
瀞(とろ)に溜まった星たちが
あふれて
私(ここ)に落ちてく ....
遠くから靴の音、口笛の音かもしれない
僕は歌うかもしれない
だれにも聞こえない、見えない歌を
詩はあまりに裸すぎて
隠さなきゃならない気持ち隠しきれなくて
ポストは赤くて僕は ....
屋上から、
冷蔵庫を、
落とす。
月光が夜と重なったということ
薄雲は照らされても変わらないということ
それを私が見上げているということ
それから、繰り返すということ
始まりが終わりであり
終わりが道をもたらしてくれた
....
私は想い出していた、
遠い昔に患った、
永い永い病の名を。
私は優しく撫でていた、
広い野原に転がった、
小さな肢体の伸びるのを。
私は酷く疲れてた、
狂おしい愛と覇気に満ちた、 ....
透明に含まれる
ほんのわずかをくみとって
花色をかえる
まだ色づく前の紫陽花は
どれも同じような顔をしていて
まるで顔色をうかがうように
あなたを見上げている
やがて色づく
そ ....
妹は、
拒食症で27で亡くなりました
小学校の時にイジメにあい
以来、鏡の中に
醜女の自分を見続けました
170cmの折れるような痩身は
35?の体重
でした
あなたが、人の痛みを ....
おさなごの手で目隠しされたみたいに
まだ薄白くぼんやりとした月は
うろこ雲のすき間から顔を少しだけ見せる
指で四角に切り取って覗き込んでみた
ぼくたちよりうんと長く生きたこの風景は
瑞々 ....
雨の匂いは二人の瞳を湿らせる
閉じ込められたつもりのお遊びで
あなたは私を呼び寄せた
きっと些細な戯れで
シーツの波が
まるで逃げ惑ってるかのように見える午前五時 ....
いくつもの光の輪が揺れている
緑の{ルビ踝=くるぶし}が踊り私を誘うだろう
風は耳うちして秘密を告げた
胸うちに痛みに似た喜びが広がり
そうして唇から歌がこぼれ
ごらん
静かな火が ....
改090603
宇宙を旅する
きみの悲しみを
微惑星が消し
抑えがたい憂いは
彗星の尾が運ぶ
激情は、爆発誘発溶融
火球を吹き飛ばす勢いの
遊 ....
元々
私はワタシという
貴方はアナタという
混じり得ない表層
どうでもいいような
どうしようもないような
有象無象に惑わされるくらいなら
纏わりつくような煩わしさに浸かった日 ....
出来そこないのヒラメキが余計な希望を与えるモンだから
無駄に盛り上がって今夜も明日への後悔の始まりだ。
心地のいいメロディーがやたらとステップ鳴らすから
思いもしないことを心に誓ってしま ....
夢と夜にはさまれて
わたしは窓辺に眼をあげる
星を盗みたいと思った
屋根裏部屋が暗いので
星をひとつ盗んで
枕元の光にしたかった
星を盗みたいと思った
女の指先が寂しいので
星 ....
演劇部の先輩のふくらはぎに
さくり、と突きたつ
矢文になりたい
長閑な朝の通学路に
あらっ?と気づかれて
さらさらほどかれたい
演目は
「草原とピアノと少女と」
そんなガラス球 ....
つ
め
た
い
まるで徘徊の風
嘆かわしい現身
雲は碧く滞留
さすれど
無機質極まりない
蓄積だけでは
越えない何か ....
夏のはじまりは
いつも雨
何処からともなくきこえてくる
海のうた
(セイレーン)
還る場所をさがすように旅をする
あの波の繰り返しのように響いてくる
記憶のような満ちひきに名 ....
初めての朝は海の中で目覚めた
期待に似たものに満ちた光と
生まれたままの姿で
あの人と二人浮かんでいた
私はすごく幸福で
そうして少し悲しかった
こんなに幸福な朝は
二度とこない ....
まだ遠い夏を
まだ梅雨さえ来ない5月の空に描いて
貴女は揃えて広げた掌に息をかけ
ふうっと、飛ばす
果てしない宇宙の
一番身近な部分を
少しだけ切り取って描いた世界は
たんぽぽと
ラベンダー
....
言葉の羅列に侵されてく
そんな瞬間の私
怯えるように痛みの先を舐めて
舌の先に灯った芳香に焦がれた
貴方の瞳が夜明け色なら
私の瞳は最果てを映してた
言わないで口を紡いでて
綺麗 ....
あの年の夏
私たちはよく太陽の下にいた
出会ったのは夜
でも私は
青い空と太陽の下で汗を滲ませるきみが好きだった
ずっと近くに感じられる気がしていた
風もない森
真昼の白い太 ....
僕ら互いに理解できず
すりきった体は
紅く染まっていたよ
わからないから手を離す
分かりあいたいから手をつかむ
僕はどこにいる?
さぁどこだ
今いる過去の渦の ....
時折 許されない時の 鳥
さえずり鳴く 時の 鳥
その声は
電子音が響く都会が拓かれたより遥か以前より
遥か先までの時の扉を開き続けていると言うのに
時計 ....
流星に穿たれて
君は人魚になった
まだ名前を持たない朝に
瑠璃色の鱗を散乱させながら
尖ったガラスの破片で
静脈をなぞると
霧に包まれていた避暑地の白樺の
腕から熱い血が流れ出した
....
砂浜を撫でる乾いた風が
肺から循環する
感傷の毒を洗い流し
ただ瞬間だけを咲かせる
吐く息はいつも
黄痰に鎖を繋がれ
夢の欠片も存在しない
一本の座標軸に
流され惑わされながら ....
春になったら
当たり前のように聞こえてくると思っていたんだ
にわか雨と土の香
遥か陽射し、青々とした歌
太陽が落ちた場所から染まっていく
冷えた腕を隠す前に
呼ぼうとして心に刻んだ名前 ....
アメリカ人たちと会議をするといつも
合理性のなかに弱さが同居しているのを感じる
それは金融危機の起こる前からの印象だ
彼らの言葉にはまず結論がある
彼らの言葉を使うとき
僕らは結論から話すのではない
....
心地よい浮力を感じながら
どこまでも流され続けようと覚悟する
その心意気だけで日々を過ごし
世界を変えようとしている
隠れたセオリーを白日の元へ引きずり出す
幸せに繋がる/がらない/のか ....
工場には
一つの巨きい機械が常に作動し
ベルトの上に運ばれる
「商品」は次々に仕上がり
( 巨きい機械を組織する
( 無数の小さい歯車達は
( 涙を流す、暇も無い・・・
....
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