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もうどこにも、残り香なんてありはしないよ
君が残した花の死骸も
いずれ朽ちる。
葬列に加われない僕の弱さを責めなかった
君の清廉さが
今はただつらい。
慟哭した
滲むような月夜
虎の真似事さ
言葉 ....
アメリカ人たちと会議をするといつも
合理性のなかに弱さが同居しているのを感じる
それは金融危機の起こる前からの印象だ
彼らの言葉にはまず結論がある
彼らの言葉を使うとき
僕らは結論から話すのではない
....
寄せる波に向かって
心の潮「A/アー/(ラ)」の音を放つ
わたしと海はパラレル
返す波からは原始の抑揚
「G/ゲ-/(ソ)」の音がかえってくる
海は ....
? 蝶
シ/モクレンの一秒は
蝶の魂と同じ
奇妙に歪んだ美醜の契りが
爪先で蠢いて翅にかわる
うす紫がゆっくりと溶け出し
バスタブの温度を下げる
浴室で眠る蝶の夢は
完全に対称 ....
喉に流れ込み
触れては弾ける小さな花火
光に透かして
揺らぐそこを見つめると
まるで
そのときをたゆたうような
はたまた{ルビ空=くう}を泳ぐような
淋しがり屋特有の錯覚に陥る
ひとりでも平 ....
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪
ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす
この雪は溶けるため
この白は忘れるため
あなた ....