? 蝶

シ/モクレンの一秒は
蝶の魂と同じ

奇妙に歪んだ美醜の契りが
爪先で蠢いて翅にかわる


うす紫がゆっくりと溶け出し
バスタブの温度を下げる

浴室で眠る蝶の夢は
完全に対称 ....
世界の秘密
そんなものが本当にあるのかは分からないけれど
それはあるとき確かに僕を迷わせ、惑わせ、道を踏み外させた

陽に照らされて虹色に染まる冬の雲や、
轟々と響く生温い春の風、
ひぐら ....
 
 
平行線の夜
交わることのない
夢と夢

眠りは静かに
明け方にたどり着くまで
光の速度で

目覚めると
あなたがそこにいる
朝日を浴びる
わたしのように

二億光 ....
悲しい流れ星はただひたすらに

空を駆けては消える

初恋なんて基本的に細胞戦争

港で起きる波は

一定の旋律を奏でながら波をうつ

彼岸花が咲く季節に人は死ぬと
 ....
私の口から吐き出された
原色の雲が、
部屋の中を漂っている
これは煙ではないのである
その証拠に
部屋の中には雨が降っている
これは涙ではないのである
その証拠に
私は悲しくなんてない ....
ヘミングウェイじゃないけれど
何を見ても何かを思う
この街は体に毒だ


記憶の濁流に押し流されて
立ち尽くしたまま泣きそうになる
冷たい風が刺す中で
涙だけが生温かった

 ....
氾濫する
春の本流を立ち泳ぐ
辺りには甘い毒素が満ちていて
脳から先に侵されてゆく

あらゆる感情の結び目は解けて
それがいいことなのか
悪いことなのか
判断さえおぼつかないまま
い ....
裏庭に透明の象がいる
ばあちゃんはそれを知っている
他は誰も信じてくれない

夜、布団に身体を任せて
僕は透明になる
(つまり僕は僕を抜け出すんだ)
そして象に会いに行く

暗闇の中 ....
光と影の間を
スルスルと潜って
逃げ出した

緑と風が
そよそよと呼ぶ
鬼さんこちら

尖った角を
清らかな川で洗えば
解けて流れ

両手を広げて
迎えてくれる青い空へ
飛 ....
あの頃顎下で切りそろえた黒髪は
いつの間にか胸下まで伸びていた
美しい茶色の髪を、あたしは毎日ゆるやかに巻いている



あの頃短かった不細工な爪は
桜貝色の花やきら ....
 
観覧車の回る速度と
自転する地球の速度が等しい
わたしは丸い窓から
母を見ている

南中する
太陽と同じくらいの
かつての父の高さから

父はひとつ先の
観覧車に乗ってる
 ....
きのうから十時間と四十五秒起きてる。
  
  {引用=「どこ見ても黒い縁どりが邪魔をして、どうしたのわたしたち!」}
  {引用=「まるで景色の輪郭がさえざえして、とてもとても抱えきれない」} ....
誕生日の朝に
君から贈られたプレゼントは 
手のひらに乗るほど小さな
砂時計だった
君は透き通った瞳を向けて
僕にこう告げた

僕はこれから眠ることになる
僕は僕の夢のなかで 
タイ ....
四角い四角い箱の中
あの子は皆に殺された



ジリジリジリ

あれは何の音ですか
あれはあの子を焦がす音


ガシャガシャガシャ

あれは何の音ですか
あれはあの子を壊す ....
御機嫌いかが、と
埃っぽい風が吹く
どの窓にも猫が一匹いて
ぐりぐりした目玉でこちらを見ている


しっぽをくゆらすもの
ひげをぴんと張ったもの
前足を行儀よく並べて
あるいはつま先 ....
比喩よ!ああ比喩よ!
あなたはなんて偉大なのだ!
私のような小さな人間をも大きくしてくれる!
ああ!そしてなんと使いやすいのだ!
あの歌も!この詩も!あの人も!皆があなたの虜!
もし触れるの ....
喉に流れ込み
触れては弾ける小さな花火

光に透かして
揺らぐそこを見つめると

まるで

そのときをたゆたうような
はたまた{ルビ空=くう}を泳ぐような

淋しがり屋特有の錯覚に陥る

ひとりでも平 ....
始まりの音はいつも
水面に落ちた一滴
442Hzの{ルビA=アー}
完全な調和
人は昔から
その中に神を見る

終わりの音はいつも
Z型の{ルビ雷=イカズチ}
442Hzの{ルビA= ....
今日がまた過ぎていく
静かに確かにゆっくりと
たゆたう隙間も無いほどに

日常を告げる音が一つ
扉の向こうから誘ってくる
差し出される指はどれも
明日から伸びてくるばかり

もし彼岸 ....
いちばん星!と君が指したあの光は
いつ故郷を離れ
どれくらいの時を経て
君の瞳に届いたのだろう


大嫌い!と君が叫んだその言葉は
いつその心に芽生え
どれくらい君を苦しめて
僕の心 ....
詩を書くことも忘れていた
七色のの宝箱だった本棚はいつしかビジネス書で灰色に染まり
楽しげな文字が躍っていた手帳には無機質な箇条書きが並んでいた


歌うことも忘れていた
軽快なリズムを刻 ....
被告の名が告げられた
その名が法廷に響き渡った時
傍聴席はエクスタシーに飲み込まれ
男も女も腰をくねらせた

皮膚が硬く臭う者それは裁判官だ
検事も弁護士もシャツをはみ出させ
法廷は不潔 ....
さやぐ森のいたみを抱きとめ
私たちは目覚める
陽光の届かない場所にも
太陽がのぼることを願い
川へ小さな葉をながす

それは
ゆらゆら
やすらかにたゆたうので
そのうちに
ながれに ....
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪

ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす

この雪は溶けるため 
この白は忘れるため

あなた ....
みんなが何を言ってるのかわからねぇ
目に飛び込んでくる記号が日本語で
それぞれの言葉の意味は理解出来ても
それが重なっていくと
何を言っているのか全然わかんねぇんだ

別に難しい事を言って ....
  壁に向かって僕は歌をうたっていた
  隣の住人は何も言ってこなかった

    そして誰かが線路に飛び込んで
    そして誰かが樹海で首を吊って
    そして誰かが誰かを撃ち ....
カルピス海に散る散る満ちる 初恋の味 舐めてから

甘酸っぱく浮遊するのは 赤く脈打つ つぶつぶ苺

檸檬の島に 蜂蜜色の夕焼けがかけられて

浮き足のままで ホップ・ステップ・柘榴石
 ....
見えないはずなのに
そのナイフはひどく鋭利で僕の肉を貪った

シルバーとレッドの共演は
思いがけない悲劇となり
観客はひどく興奮して 拍手喝采

ただの幻 見えない液体と見えない刃物
 ....
(夢を見た)


ひた、ひた、ひた、
静かな輪を描いて波紋が幾重にも広がる
光だけが生きているように満ちて来る
ひた、ひた、ひた、
夜の岸辺に足先を濡らして
何ものかが生まれるのを見て ....
歩いて走って地の果てまでも! と思い描いた青春を思い出す、悪夢
現実は地平線さえ見えない見えない見えはしない そんな話が俺の人生

(夕陽が落ちる頃に目が覚める)

プール開き! クラス替え ....
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