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ふと気がついたら
わきの下にゼニゴケが生えていた
不快だけど放っておいた
ゼニゴケにだって生きる権利があるはずだ
そう思って耐えようとした
すると何日かして
あごの下にも
乳房の下にも
 ....
机の上に置いた
理科の問題集にそっと手を置いた
蝋燭の写真が1ページ目に居座っている
実像と虚像に私の心は囚われた

私は物体
直線という名の道に
ただ突き立つ物体
そして目の前に ....
暗いはずのその部屋は 
細い光の糸で織られた薄い布で包まれていた

あるいは深い海の底から はるか上方の水面の瞬きに 憧れるように

その部屋で静かに息をしているのは 私の家族たち

そ ....
戦争に行きたいと
妹は泣いた
誰かを殺めたくて
仕方ないと言った
兄ちゃんを殺していいから
お前は戦争に行くな
と宥めて
固い指切りをし合って
その日は一緒に寝た

明くる日
妹 ....
自分を壊す試みに疲れて
ふと窓の外を見ると
静かに細かな雨が木々の葉を打っていた

今の私にはけっしてとどかない
やさしい雨に打たれているすべてがうらやましい

手を突き出して受けた雨は ....
ほどけた靴紐を結びながら走った
朝はいつも苦手で
腕組みしている先生の顔を見ないように
校門を駆け抜ける

一時間目から六時間目まで
机に突っ伏して眠り
部活だけはさぼらなかった
そん ....
昨日ひろったきれいな小石

たとえば人は
磨かれる前の宝石の原石のようだということ
未完成なままの美しさを知っているから
そっとしておいてください

そんな 淋しさ



 ....
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
今日が、一日になる
間に合わせの爪先を
朝焼けの海に潜らせる
寝息を、街は敏感に拾い上げていく
遠く聞こえる海鳴りのようだ


  *


ただいまやおかえり、よりも
  届いて ....
長い洗濯をしていると
パンツもシャツもくつ下も
きれいになって
空を飛べるようになる

洗濯の匂いが土にしみ込み
そして全ての建築物にしみ込み
青い空で見えない
全ての恒星にしみ込んで ....
西日の頃には
空は白く霞んでいたらしくて
滲んだ街の、ビルから生える空の景色を
ふうわりと、抜けたくて
前後左右、サングラスの目線で
せわしなく行き過ぎる人たちからは
あの強い、レモンの匂 ....
                                 (喪失の物語)


一人きりで出かけることのないよう
常に用意周到に手筈を整えていたのに
この日に限って
使える者はだ ....
一昨日
夕食を待ちきれず
ピーナツをひと袋
ぼりぼりたいらげたら 
腹をくだした 

昨日
{ルビ無精髭=ぶしょうひげ}を{ルビ剃=そ}り忘れたまま出勤し 
一日青白い顔で吐き気をこら ....
午前3時に シャーペンの芯が切れた
俺にとっての生命線だ
午前3時にシャーペンの芯が切れた
至急コンビニへ買いに行くのだが
シャーペンの芯だけ買うのは何かカッコ悪い
コンドームを買いに行くカ ....
昼下がりなんてない冬
あるのはインかアウトぐらいだ
電車で窓越しに見えた
トタンの家屋の長袖のシャツの男の顔が見えない
その両脇の
なにかあるだろう
でもなにもないような
ないもない ....
人を殺す人は人を殺す
鳥や兎も殺す
人も動物も関係なく殺した

殺人犯として警察に捕まり
裁判で人を殺す人はこう言った

私は鳥や兎を殺す。
それと同じように人を殺すのだ。
食べて、 ....
知らないとしか
答えない人がいる
知ってることも教えない
ただ自分で探してごらん
ということは教えてくれる
自分で答えを探すことが
どんなにせかいを楽しくさせるかを
その人は知っている。 ....
ぱちぱち

ぱちぱち

傘に当たる雨の音が
いつもと少し違い
メールを打ちながら歩くのを止め
頭をもたげた

23時。

ひとけのない夜更けの住宅街
濡れて黒くひかるアスファル ....
トイレの向こうは僕の知らない世界でした


というより知らない商店街だった
肉屋を始め、魚屋、八百屋と
食べ物を扱う店ばかりが目立ったが
中には薬屋や酒屋もあるようだった
店はどこも活気 ....
車いすを押して歩いた
そんな日があった
Oくんはひざかけをして
「石川さん、こんにちは」と云った

「こんどな お父さんと…奈良いくねん」
寒い道だ
空が透明な血のかたまり
 ....
│  │  │  │  │  │  │  │  │


すれちがいざまの
レーザー光線のような
視線


│  │  │  │  │  │  │  │  │


ビーム
ビーム ....
“眼鏡の度があってませんよ”
 
俺には死神のじぃちゃんがいる
母さんの名付け親だ


父さんが死んでから
母さんは死神のじぃちゃんと二人暮しを始めた
俺が面倒を見ようかとも言った ....
大きな風が
ブナの木を揺らすとき
人は
何事が起きたのだと
ハッとする
でも
小さな風には
見向きもしない

なぜなら
人は
自分が
大きな風を
吹かすことばかり
考えてい ....
淡い太陽が
黒い淵にゆっくりと沈みゆく

街は刻一刻記号へと分解されながら
地平の方へ徒歩の速度で遠ざかる

立ち尽くしていると
不意に頭上から降りしきるのは
清らかな絶望
清らかな ....
手が
どうしようもなく震えてしまうので
病院へ行った
先生は左耳で一通り話を聞いたあと
(背中が汚れていますね
と、わかりきったことを言う

一列に並んで
背中を洗っていた僕の後ろには ....
旦那に浮気され離婚して一年
一緒に暮らし始めて3ヶ月の妹が

「あたしなんか死んじゃったほうがいい」と泣くので
「死にたいなら死ねばいいじゃん」といったら激怒された

死なれたらこっちは死 ....
せかいの欠片が落ちていました

落とした人はまだ近くにいたので
「せかいの欠片を落としましたよ」
と声をかけると
「私のではない」
と言うので私が育てることにしました

指先くらいのせ ....
                                 (喪失の物語)


その扉は森の奥にひっそりと立っていて
街からの道は途絶えて久しく
彼女がその扉を見つけたのもほんの偶 ....
人の一生を例えるとするならば、
それは砂時計だと
わたくしは思うのでございます

さらりさらりと落ちていく砂は
まるで止まることを知らない
非情で無情な時そのもので
砂を閉じ込める硝 ....
街に灯のともる 夕暮れは
さびしくて
たえられないと だれかがいった

群青の空に
森の影が 長くのびて
かたかた風に つららが揺れる

でも
私はしらない
この夕 ....
健さんの自由詩おすすめリスト(1090)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ゼニゴケ- チアーヌ自由詩10*06-3-15
虚像- ラプンツ ...自由詩4*06-3-15
明るい闇の訪れ- いねむり ...自由詩106-3-14
制御- ピッピ自由詩706-3-14
青い壜の中で- いねむり ...自由詩306-3-13
卒業- 岡村明子自由詩906-3-11
もしかしたら嘘かもしれない- ベンジャ ...自由詩7*06-3-11
赤ちゃんが乗っています- haniwa自由詩81*06-3-10
今日も、一日になる- 霜天自由詩806-3-10
長い洗濯- tonpekep自由詩13*06-3-9
西日の頃には- 霜天自由詩906-3-9
身体の物語- アンテ自由詩4*06-3-8
髭を剃る夜_- 服部 剛自由詩8*06-3-8
シャーペンの芯とポテトチップス- 新守山ダ ...自由詩606-3-7
モグラ- たけ い ...自由詩2*06-3-5
カルタアソビ〜人を殺す人〜- 美味自由詩1*06-3-3
だからわたしはせかいとであう- 夕凪ここ ...自由詩7*06-3-2
帰り道- blue Ladybir ...自由詩406-3-2
向こうの商店街- 美味自由詩3*06-2-28
それぞれの時間- 石川和広自由詩5*06-2-27
ビーム- 大覚アキ ...自由詩306-2-26
俺と死神_−夕焼け眼鏡−- 蒸発王自由詩9*06-2-25
- 沢村 俊 ...自由詩606-2-25
見_者- 塔野夏子自由詩7*06-2-25
汚れた背中- 佐野権太自由詩9*06-2-24
ノー- モリマサ ...自由詩11*06-2-23
せかいの欠片の育て方- 夕凪ここ ...自由詩5*06-2-22
扉の物語- アンテ自由詩2*06-2-22
[_砂時計_]- 渕崎。自由詩3*06-2-21
ゆうぐれ- 紫翠自由詩8*06-2-21

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