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母が死んだ
夢を見た
病院でオムツをしながらも
うまい物が食べたいと叫ぶのが
私の母であることは間違いない
自分のことしか眼中になく
子供の声がテレビの雑音にかき消されてい ....
やさしさの
形は何かと尋ねたら
君は丸だと答えたね
金柑蜜柑夏蜜柑
すこやかに香り
夕暮れの
色は何かと尋ねたら
君はまっすぐ指差して
....
ローソンの前にキャミソールが落ちていた
どこをどうやったら
そんなとこにキャミソールが落ちるのかが分からない
しかしまぁ、理由はどうであれ
結果としてそこにキャミソールは落ちていた
落と ....
想い髪を切りにゆく。
君が嫌いだったこの長い髪。
君に逢うために切りにゆく。
あれから一度も切っていない。
そんな泣かせることは言わない。
何度だって切っているし ....
靖国神社に参拝反対が
中国と韓国で 高い割合で
圧倒的だというアンケートをみて
あんなに むごい侵略をしたんだから
当然だと思う
兵役に 国の政策のため かりだされて
戦犯などと ....
ぽつりぽつりと
街に明かりが灯りはじめる頃
点々とするビルの窓を見上げて
君が
まるでほたるが飛んでいるみたいね
なんて呟いたから
僕もいっしょになって見上げた
ほたるなんて ....
手のひらの中のことばしか
私はうたわない
振り絞る
ようではだめで
あじさいの
集めたあさつゆは
いつか
消えていくように
そんな
出会いだったと思う
それは消えた ....
玄関のドアを引く
駆け込むようにして進入してくる朝は
少しだけ暗い白
今日も天辺まで積み上がった世界で
濡れたままの人たちが歩いていく
傘を忘れたわけでもなく
濡れることに気付かないわ ....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
ひさしぶりに親父に会った
釣ったばかりの岩魚をぶらさげて
反りかえって山道を下りてくる
いつかの河童に似ていた
秋になると
川からあがって山へ帰ってゆくという
そんな河童を村人はセ ....
空は鋼鉄製の空
優しい飛行機だけが
僕らの所有する
すべてだった
乗客は皆
海のかたちをしていて
ポケットは
いつもだらしない
客室乗務員が
小学生のように
一人
また一人と
....
もう100mを11秒で走れない。
もうバスケットボールのリングに手が届かない。
もう高い声で歌えない。
もう前みたいには笑えない。
だけど失ったものはなにもない。
....
目の前を何回か通り過ぎたと思ったら
いつのまにか腕の中にいた
陽だまりのなか
生まれた熱をくるむようにして
うっとりと瞳を閉じたのは僕の方だった
残していったものが
背中でまだ疼いている
一日の始まり
蝶のような揺らめきで飛び立っていったのは
形にならない荷物を抱えた人
遠くへと呼びかけた
朝の挨拶をすり抜けて
ここで何か ....
なにもかんがえなくても
心臓が打つように
こうしてすごすのが
あたりまえになっていた
息を吸えとか、酵素を出せとか
痛点からの刺激に反応しろとか
具体的に生きなくったって
生きてゆけ ....
僕等は話した――
いつでもない時のことを
音声が行き交った、焦点は結ばれなかった。
それは戯れだった、
語の群れの、
午後の戯れ。
僕は既に複数形だった、いくつもの相反する ....
僕は愛されるのが恐い癖に
愛してくれと君に言う。
身勝手な僕の注文に君は我侭だねと囁いて
強張る僕の身体を引き寄せる。
縮こまりながら情けなく震える僕は
ほんのり優しさの残り香を感じてる。
こんなにも晴れた6月の空に
真冬の海岸を思い描くおれは
きっと悪い生き物なのさ
見ろよ
薄汚れた灰色の鳩たちが
真っ白い鳩を追い回す
ねえ ママ あそこ見て
ほら
鳩さんたちが ....
一度だけでいいんだ
僕の頭を優しく撫でて欲しい
ずっと望んでいた貴女の手
ゆっくり僕を癒してくれたなら
きっと涙が頬を伝って
堪え切れなくなって
呼吸さえ苦痛だと思える部屋
この存在 ....
みえない ことが
おおいから
きみの かんじたこと
わたしのこころにも
とどけてほしい
ないものねだりの
きみのそらの
てんきよほうさえ
ままならない
るいせきしてゆく
さまざ ....
探してるのに見つからない忘れ物。
何処にあるかは解ってる。
でも取りにいけずに―――
感傷に浸る私が嫌い。
泣き言を言う自分は最低。
暴言を吐く私はそれに輪をかけて酷い。
せめて後悔に ....
ほらまた
溶けた
僕は君に対して
どぅやら融点が低いと思われる
触られるだけで
其処から溶け出していきそうな錯覚
笑った顔を見る度
中から溶けていきそうな錯覚
....
まだ冬になる前だったと思うけれども
とても寒い日の朝に彼女は二度目の自殺を図った
幸いにして命は取り留めたが彼女の心は治らなかった
けれど少しふっきれたような彼女に
「大丈夫みたいだね」と ....
四人家族の
四角いテーブルには
それぞれの席がきめられていたけれど
うまることはほとんどなかった
今はもう
四角いテーブルもなくて
かわりに置かれた
まるいテーブルの端っこで
食べ ....
背負うものが
不確かなものなら
その重さは
自分で決めていいらしい
あすとらっど じるべると
あなたを あいしています と
うたっている
わたしの こらそん と
うたっている
たんなる ひとりの
あすとらっど じるべると が
....
はじっこに
水が
たぷたぷと
押し寄せる
はじっこに
水が満ちたら
翼が生え
て
と ん で い こ う
おおぞらへ?
いいえ
うみのそこ
まだ、行ったことがな ....
あなたの胸で
私の名前が
今にも
消えそうだったから
蛍光ペンで
名前の上に
きゅっと明るい朱を入れた
それも
いつかは消えるから
名前の回りをぐるぐると
ボールペンで囲ん ....
世界は消えた。
今は、僕と言う個人が個人としてのアイデンティティとやらを活用し生成した【空間】とやらで
僕と言う個人は生きているらしい。
僕と言う空間には僕以外の誰もが不可侵であり、侵入は不可能 ....
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