新嘗祭歴史の重み深くして

熊穴に入るわたしも休もうか

冬の海名付けるならばマドレーヌ

曇り日がいや増しにする寒さかな

天に上る白鳥のごとこころ消ゆ
凍る朝わたしは病臥想う未来

廊下の冷たさ足温める束の間や

南天の実を目にし過去に飛ぶ

{ルビ夜半=よは}の鳴き声に白鳥の神髄

すっかりと沈黙が覆う三島の忌
神秘色冬の月には魔力が宿り

木星とともに歩むは冬の月

冬の雨降られる前に買い出しへ

小春日の道の遠きは定めとて

白鳥は魂を乗せて夜の空へ

風邪を引き辛い時季にも幸福はあり
愚痴などは言わぬと決めて冬の月

姦しや冬寒の月は上弦で

冬ざれの野には野の想いがあり

乾かない髪に触れて確かめる冬

冬苺口にほおばる我と父

狐火を追いかけてなお過去の時
足元に電気膝掛けなお震え


手足荒る冬場のきつい水仕事


風凍る空の晴れ間は眩しくて


山茶花の香りだになく時は過ぎ


宙天は神秘の趣き冬の宵


木枯らしの吹く ....
枯芒今日も見たよ幽霊を


{ルビ天=あま}冴ゆる我は天使を空に見し


寒さに負けじとの思いが我を推す


たま風や遠い亡霊を訪ねおり


燗酒をあおる父の背は寂し


 ....
霜月の初めに思う来年の賦

秋の夜も残り少なし仰ぎ見る

孤独とのはざまにあるは若煙草

夕暮れて秋の雨降る庭の隅

時雨れては{ルビ首=こうべ}の垂れる文化の日

孤独との架け橋 ....
一本の抜歯におののく冬初め

子の未来見守る婆や年の暮

これといふニュースなきまま冬来たる

こつこつと積み上げしこと冬娯楽

侘しさと平穏にひとり小春かな

けふは晴れ{ルビ軽 ....
唯一樹赤き実映ゆる冬の庭

強く弱く風の機嫌や{ルビ杜鵑草=ほととぎす}

晩秋や鋤きたる畑にチマサンチュ

要らぬことつい口出しす婆の秋
○「霜の朝

 子らの声聞く

 床の中」
菊香る我{ルビ佇=た}つ庭の此処迄も

{ルビ漢=おとこ}{ルビ四人=よたり}庭木を伐るや秋曇
まひる日にやすらに睡る長ゐ髪

ひとり起きてやすらに睡るきみの髪なで

口無しぞ海を眺めて海にとられむ

磯に火を焚け濡れしきるわれときみのため

天にも陸(くが)にも来ずふるへる海明 ....
林檎の樹を眺めきみ何おもふ

ひらけた地より林へあるくふたり

海そのままに日は動かずふたりで居る

樹によりてきみ何おもふ海のおと

われに罪あれば日はそのままに海よ鳴れ

 ....
【俳句】  船曳秀隆

筆先に 宇宙の春が 溶け落ちる

桜には 天馬の翼 生えている

花桜 地平線まで 散り敷かれ

花吹雪 冥王星へと 降りしきる

花吹雪 地球の裏へと ....
凪ぎはてた海よわれは哀しむ

忍びかにわれ哀しむ凪はてた海を

忍びかよりさつそう飛んで啼きつめる鳥

まどふこときみの乳(ち)の辺(へ)に痣がある

きみの乳(ち)の辺(へ)を眺め下 ....
おもひみをつれゆかむこのたましひは松林へ

おもひみつれゆかむこと海辺をゆかむ

道におる玉ひかるましろの小鳥

かすかましろの小鳥の羽音

さびしさは海のなせる

青海なせる ....
父の祈り母に添いたる秋の夜

秋を見て父を見てただ心静けき

送りまぜ今日はかくやと嘆きおり

父の背に後の月を見し夕間暮れ

十六夜の月は空にはとどまらず
この雨を人にそむいてわれゆかむ

茫々とときに朗々とひかりをひとりゆかむ

雨に海に身をさらす赦されない身を

海よ空よゆるせよわがこころ人に赦されず

ふたり夜の海見るたましひと ....
海をみてひとりと思うわが性は

哀しみとして海にほほえみつつ泣く

海の面にうつりこむかみなし児のわれ

わが性は孤独でありしまた海へいく

松林を海へ突っ切るひとり

カモメはや ....
数珠玉を見ずとも秋は深行けり

紅葉葉の落ちるはいずこ思い出か

栗を刈る季節をひとつ通り過ぎ

三日月にぶら下がるのはネックレス

眠りのなか秋の色にわたしも染む
海哀しこの身たよりに恋をおもう

あめつちもなしこの身がたより

海、山哀しここにぐっとこらえる

恋のひとみの焦点のうるむ、山

風わたるくさはらのくさが避けて

はつなつの青空 ....
私はうたおう哀しみどものわけ捜す

酒にもひとへもいかぬ哀しみをこらえる

おとなりのピアノのおとに酔ってしまうよ

燃える若さもなし智慧を武器にいく

艶やかな妻の髪と鬱屈しているわ ....
薄紅葉家の庭にもあったっけな

惚けてはうつつに帰る秋の昼

母の味欠けていたのは椎茸や

そぞろ寒戸外に出るも少し震え

果てしない夜中にまんじりともせず目覚め

秋の朝見上げる ....
雁の使はるか果てまで独り言ちて

蓑虫のなつかしさかな手を伸べて

愛らしや鶏頭の声千の風

渡り鳥今はまだ季節に遠く

悲しみの扉を開けて秋静か

玩具箱固い扉に秋深く
風の色移して小菊白々し

一瞬の風にぐらりと庭芒

しなる{ルビ枝=え}の{ルビ熟柿=じゅくし}たわわや{ルビ狭畑=さばたけ}に

秋寂びや始発列車に去り行く子
わたりたり雁の旅路はせつなくも

涙もてただ拝顔すべし秋の田を

心を晴らす種はいずこへ秋の空

牛蒡引く手も借りたしや忙しなく

秋空に思い叶わず暮れるまま

冷たいと思わず手を ....
秋雨となりて思いは空に浮かび

留飲を下げて南へ鷹渡る

悲しみに溶けない氷はどこにもなく

どんぐりの転びて惑うわがしるべ

悲しみも秋の宵には消え果てて

木犀の海に沈むは思い ....
青き時宵闇に秋葉溶け込んで

身に染むや孤独の病時経ちて

泣きたくて秋の夜には涙の雨

秋の朝しらじらと明け身震いし

柿の実や生らずになってもう幾年

葡萄の実母の位牌にささげ ....
ふと迷いふと振り返り秋の宵

秋高し目の奥にあるおとぎの国

歳時記をめくって今日も秋は澄む

菊の花人それぞれに花それぞれ

思い出を遠くに手繰る秋の初風

ましら酒自然の奥深さ ....
ひよどりの姿を見ては振り向いて

痛みを越えセイタカアワダチソウを見る

眠れぬ夜アメリーの乳房と人は言い

あとは打つだけの稲田で緘黙し

秋の田や眠れぬ夜に沈みゆく

流れ星星 ....
俳句
タイトル 投稿者 Point 日付
つれづれと俳句おぼろん1*23/12/7 17:41
1*23/12/6 18:50
2*23/12/5 22:22
5*23/12/4 16:57
2*23/12/3 22:54
2*23/12/2 13:43
3*23/12/1 11:08
年の暮けいこ1*23/11/26 9:42
晩秋に詠む1*23/11/21 16:49
自由俳句ホカチャン1*23/11/21 11:51
小菊けいこ2*23/11/14 8:40
自由律2023.11.12.No.2田中教平3*23/11/12 21:12
自由律2023.11.12.323/11/12 8:32
俳句船曳秀隆223/11/11 21:41
自由律2023.11.11.No2田中教平2*23/11/11 20:23
自由律2003.11.11.2*23/11/11 5:21
つれづれと俳句おぼろん5*23/11/10 20:24
自由律2023.11.10.田中教平4*23/11/10 12:34
自由律2023.11.09 No.24*23/11/9 22:33
つれづれと俳句おぼろん3*23/11/9 16:51
自由律2003.11.09田中教平5*23/11/9 10:30
自由律2003.11.085*23/11/8 20:00
つれづれと俳句おぼろん8+*23/11/8 17:26
4*23/11/7 16:13
秋愁けいこ2*23/11/7 10:14
つれづれと俳句おぼろん5+*23/11/6 17:21
3*23/11/5 20:04
7*23/11/4 16:57
5*23/11/3 21:48
4*23/11/2 15:47

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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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