五月

木々の葉は一様に緑なのではなく
光を透かしている組織の集合体
根元から吸い込んだ水分が
先端まで流れ
蒸発という形で、外部へ溢れ出す

風薫る季節
ようやく長袖を脱ぎ捨てた素 ....
いい歳して地に足つけず
全国チェーン展開の居酒屋に
どっしりと腰を据えて
生ビールとカシスソーダの向かい合わせで
鳥の唐揚げにジャーマンポテトがつきあって
意味のない人生を嘆きながら
すっ ....
ねえ、こういったら、あなたは怒るかな

世界にどれだけ
飢えた人間がいようが
エネルギーの無駄遣いがあろうが
地球が温暖化しようが
理不尽な暴力に喘ぐ人間がいようが
ましてやあたしが言っ ....
甘い関係を望んだつもりはないけれど

私たちのやったこと

全てを救済していたのは

甘えだけだった

なにひとつ、言葉にすることなど

ないかのような

振る舞いを続けたけれ ....
仕事が明けると
夜が明ける

疲れすぎて
気持ちが高ぶって
まだまだこれから
なんて思う

これから帰って眠るというのに
自販機で
ブラックコーヒーを買ったりする

夜明けのタ ....
あなたのこと
大好き
ずっと、ずっと
一緒にいたい

でも
一緒にいればいるほど
聞きたくないことを
聞いてしまう

一緒にいればいるほど
一緒にいられなく
なるんじゃない ....
あなたはきっと
優しい声と、やわらかな睫毛を
いとしいひとに沿わせながら

年金や家のローンのことを話し
子どもが生まれたら
どのメーカーのビデオカメラを買おうかと
冗談まじりに相談した ....
一緒にご飯を食べようというから
着ていたコートも脱がずに
慌ててまた、路地へ出た

老夫婦のいとなむ定食屋では
旅の話をした
遠いところに旅に出たいとは思わない
今が旅だから
あなたは ....
10時28分発のホームライナーに
ギリで乗り込み
東京駅を去る

ほぼ満席の車内は乗客の残業まみれの体臭で
吐き気がするほどにおう
やっと見つけた空き席は
ごっついハゲおやじの隣
(ゲ ....
電話できいたあの人の声は
限りなく藍色にちかい、
薄紫

遠くに見えるあの人の存在は
夕暮れと夜の境界みたいな
インディゴブルー

思い出せるのは
それだけ。
11月2日水曜日午後5時37分
あたしは死にました

死んだけれど、その後は
どこへ行ったらよいのかも
全くわからなかったので

とりあえず、49日の間は
まだ、このへんで
うろうろ ....
長い長い坂道を
あなたと手をつないで歩く

冬が終わりかけて
ぼんやりとした太陽が
あたしたちの後ろをついて来る

あたしはもう、終わりだと思ったし
あなたはまだ、何も始まってないと言 ....
家を出て
アパートを借りたら、とりあえず
あたしのそれまでの小さな夢は
全部かないました

大きなまぁるいスイカを切って
いくら食べても自由
まるごと全部あたしのもん

大きなケーキ ....
その町の、かつての軍用地は
日本がアメリカとの戦争に負けた後
大きな時計メーカ−の工場になった

高度経済成長が過ぎ去り
第二次ベビーブームの波にのり
郊外に庭付き一戸建てを求める
サラ ....
急に雨が降り出して
道路を水玉模様が
バラバラ攻撃

背広をきたおじさんが
新聞を頭にのっけて
横断歩道を走って渡る

スーパーの店先では
従業員がマッハの勢いで
商品にビニールを ....
ある時、何にもしない時期が
けっこう長い間、続いてしまって
ヤバイ、金がなくなる、と思って
バイトすることにした

別に
不景気だったし
フリーターとかニートとか
いろいろ社会問題とか ....
はじめは数百人規模の集まりだったと思う
広い講堂の中に集められて
長い話を聞かされた私たちは
みんな、退屈で、飽き飽きしてしまい
好き勝手な話をしていた
いろんな人の噂話とか
週末の予 ....
NEW DAYS
ウーロン茶ひとつ持って
レジに並ぶ

おずおずと差し出す
優しい方の店員さんの前
丁寧に振る舞う
なるたけ素早く小銭を出す
迷惑をかけないように
イライラさせてはい ....
頑丈なこころを
作っとこ

あの子から、待ちかねた連絡が来て
あんまりにも待ちかねていたもんだから
つい、嬉しそうな声、出した途端に
「ごめん忘れてた、やっぱダメだ」

それが、金曜の ....
クサレた気分に似合うのは
曇った窓、曇った空
パソコンでガチガチに固まった背中を
ほんの少し、なだめてみたくて
窓の向こうへ
ソッポを向いた

そこに、兄ちゃんがいた
空中に浮かんでい ....
1学期まで
おとなしかったあの子が
不埒な夏に
持っていかれる

朝一番のプール
塩素の匂いのする更衣室

ざわめきと
流れる髪
草が薫った
自転車置き場
夏の始まりは
たし ....
どーむろとるみねろ

道案内というわけではないですが
うろうろと歩くあなた方に
ひとことよけいなことを伝えましょう。

この町には
いくつかの「ろ」が
あります

少なくとも
水 ....
23時24分
オフィスで
お弁当を食べました。

12時間前ぐらいの同じ時間ぐらいにも
同じ場所でお弁当を食べた
ような、食べなかった
ような。

昼がきて、夜がきて
昼がきて、夜 ....
あなたがいなくなって
正直
ずいぶん楽になったなと
思います。

もう、泣いたりわめいたり
行かないでくれとすがったり
不条理にいらだったり
そんなことをしないで済む分
ずいぶん、楽 ....
早番であがった日
明日のこともわからず
夕暮れに、川の流れを見てる

社員さんの嫌味も聞き飽きたなと
すこし考えてみる
あたしなにやってんだろ。

お金を触るから、指が汚れる
手 ....
ホラー映画をみた
何十本も、何百本もみた

ホラー映画が好き
みてるとなごむ
安心する

死んでる人間より
生きてる人間のが
何百倍もおそろしい

空想のこわさより
いまの ....
深夜シフトのコンビニ店員は
今日も、自動ドアの向こうにいる

23時から8時まで
これ以上にないほどダサい
緑とオレンジのうわっぱりを着て
レジを打ったり、品出しをしたりする
とても、と ....
1985年頃は

クリスマスケーキを
駅前のお店で買って
家で食べるのが
1年でいちばん、楽しみだった。

お正月は7日まで静かだった
お店なんかどこも閉まっていて
いつもの景色がど ....
降りそそぐ桜の
花びらの下
目も眩むほどの
思い

緊張感を
じっと耐えた
あの日

凍るほどの
青い空
吸い込まれるみたいな
悲しさ

桜は雪に似てるから
私は

 ....
11時50分きっかりに
私は事務所を出て
お弁当を買いに出かけます。
12時になってからではだめです。
混雑するから、いけないのです。

今日は、チンジャオロース弁当が食べたいです ....
うめバア(154)
タイトル カテゴリ Point 日付
五月自由詩3*06/4/17 19:26
Maybe自由詩306/3/25 22:48
バカの言い分自由詩1*06/3/12 18:29
甘い関係自由詩206/3/12 17:46
バーテン自由詩1*06/3/6 0:03
桜の木の下で自由詩1*06/3/5 22:40
サンダルひっかけておでん屋へ自由詩305/12/18 15:46
揚げ出し豆腐とセブンスター自由詩805/11/20 17:26
ホームライナーの吟遊詩人自由詩205/11/20 0:59
indigo blue自由詩205/11/13 16:56
崩れゆく存在自由詩2*05/11/4 23:44
坂道と手自由詩305/10/22 0:40
ひとりぐらし自由詩2*05/10/13 0:24
長い長い町の話自由詩2*05/10/9 2:31
急に雨が降り出して自由詩1*05/10/4 23:38
フリーターでもニートでも自由詩11*05/9/19 1:37
長い長い講堂の時間自由詩205/8/28 1:24
NEW DAYS自由詩105/8/23 22:47
ガムテ自由詩405/8/20 0:30
サイダーマン自由詩105/8/16 1:21
登校日自由詩405/8/6 14:16
どーむろとるみねろ自由詩505/7/26 23:23
ムーン ウォッチング自由詩105/6/12 11:46
世界のはじっこの台所自由詩5*05/6/11 22:12
早番であがった日自由詩605/3/31 0:56
ホラー映画自由詩205/3/12 0:39
24hours Open自由詩905/2/25 2:07
1985年頃は自由詩2*05/2/13 18:01
4月自由詩105/2/9 16:35
チンジャオロースにさようなら自由詩6*05/1/16 1:13

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