すべてのおすすめ
雨が硝子を 舐めるので
時間すら 舐めまわすので
歩くことの意味や 進むことの意味も舐めるので
この世界には もう 紫陽花しかありません
飴細工のように 雨に舐められて
窓の向こう ....
──わしが死んでも
この時計は捨てんでくれよ
親父はよくそう言っていた
死んでから
それがたったひとつの
遺言らしきものだったと思い当たる
祖父がやっていた
はんこ屋の店先に ....
不思議なんて忘れていた頃 ときどき肩をたたかれる 遊ぼうよ あの頃のように
あんたはどうせ枠にはまれないさ だったらいっそ逸脱の限り 尽くしてみたらいかが?
なにも担保にならない 自分さえも ....
昨日が終わり
君はパイプオルガンの鍵盤のように
その時代を弾いてるんだね
でもさ
四角いプールが水をこぼすほどの
雨が降らない
だから、あたし聴いてるよ
カート・コバーンみたいに打ち抜け ....
わたしはわたしの中に
夜を溜める
そしてその夜を醸してゆく
深くなるように
やわらかくなるように
わたしはわたしの身体に
花を鳥を
風を月を沁みこませる
わたしの中の夜が
やさし ....
電話を切って鞄にしまう。空がけぶっている。触って舐めて愛したせいで欠損した展望の死骸である。ここにあるどの不足が、あなたをして涙ぐましい暴力を振るわせしむのか。水に潜ってまで夢を見ようとは思わない、と ....
月よ
もう光をこぼして泣くことはやめて
あなたの心は虫が知る
コオロギが慕ってしきりに鳴く
月よ
女の顔で笑ってるね
そんなさみしい表情では
一億年もあっという間
月よ
多くの悲しみ ....
道を歩いていて
右隣のひとも
左隣のひとも
前も後ろも
みんながいっせいに駆け出したら
わたしもまた、わけもわからず、走り出すのだろうか
行き先もしらず、目的もしらず
押し流され、ばたば ....
「砂浜に抜ける路地」を一つ拾ってきて、波の音
を額縁に飾る。愛という言葉で何を隠したいのか。
行間には関係性だけがあって鞄には入らない。み
んな事情を抱えていて、 ....
{引用=
緑をゆらす
風は、なおらかに こんなにも
美しいものだから
少しばかり
すずろ歩き
季節をむさぼれば
不埒な 出会いが待っている
ちいさな 会釈
往 ....
マーケットで二個入りケーキがセール
さらにそこから五十円引き
たぶん賞味期限のせいだろう
とレジに持って行くために手に取ってみた
あまりの軽さに食欲はどこかへ
売り場に戻してこれは、と考 ....
絵筆に水をあたえているあいだに
なに色を使おうとしたのか
もうわからなくなっていました
あれから
もうずっと水で描いています
びしょびしょの画用紙が
いつまでもしぶとく破れない
....
生まれ年のワインが不味い
生きるって何だと聞かれたら
僕ならこう答える
春が来るまで待ち続ける事だと
まっさらな善意もときには
誰かを傷つける
精一杯の思いだったけれど
未熟さや迂闊さの先走りだったのか
考えて、考えて、
次はもっと 上手にできるように
一週間まえのこの午後を想う
気がくるいそうになって辺りを見回す
きらめいているゆれている
あの光あの風
泣きそうになる
胸の空洞がぼんやり
ほんとは死んでしまうくら ....
苦しかったら
ここにおいでと
空が囁いてくれた
でも私には
翼がなかった
辛くなったら
ここにおいでと
海が囁いてくれた
でも私には
鰓がなかった
....
王様は絵画の中に
閉じ込められた
もうその存在も感情も
何もない
そしてピエロは解放された
ああもう貴方の為に
わたしは
....
光を見つめる
自分のなかの
誰にも放てないもの
あなたからもらったものが
沢山たまっているんだもの
ゆっくりわらって欲しいんだいつもみたいに
そんなの問題じゃないから
あなた ....
存在するということは いつも決まって挨拶だから 時間が渦を巻くところに 僕も決まって挨拶を返す 今日も歴史が生まれましたなあ いえいえ単なる磁場ですよ そうして僕は踵を返し 存在しないということは い ....
縁側に置かれた
座布団にひなたと
猫のにおいが残っている
どこかで水が流れているのに
影も形も消えてしまったみたいだ
風に運ばれ
気まぐれな ....
雲がちぎれて流れる
風はある気配をはらんでいる
君の瞳の中にある感情
配置とバランスが変わってゆく
静かなダイナミズムをもってものごとが動いてゆく
遠くで闇が切り裂か ....
春がやさしく微笑むと
白く積もった嘘が融け
ぬかるんだわたしの心を
悲しい泥水となって流れ下る
ひび割れたアスファルトの肋骨
空に頭を踏まれたままの道あるいは時間か
仰向けに開いた記 ....
.
正クリスタルの羽根
たくさんのフラクタル
この星にはじめて兆した曖昧な生命の
{ルビ膠質膜=コロイド}のようにあえかなしじまをくぐり
おりてきた
堕ちて来た
ちいさな
天使たち ....
懐古的メソッド
安定の不安定で
冷蔵庫を攻撃する
よく冷えている
中性的で静かな暴力
傷だらけで枕とおしゃべりをする
朝より夜が好きだよ
やさしく首を絞めてくれるから
太陽より月が ....
もしも
島に唯一の通信機が故障したら
僕の友達は蟹だけになっちまうね
隣町なんて概念はないから
ボート一つあれば隣島まで一っ飛びだし
こんなバカンス気分も
悪くない ....
あなたは
とても綺麗に微笑みながら
水のような滑らかさで話をつなぐ
わたしは
そんなあなたに見惚れながら
あなたの綻びを探してしまう
あなたは
笑っていないほうの目でわたしの ....
海まで歩いて五分
日当り良好の
離れの寝室の
大きな窓辺から
隣の国が見えてくる
そんな気がして
今日は霞がないから
風来坊になって
紙切れのように
軽く飛ばされてみた
....
何のことはない
君自身が落し物なのだ
たとえば君が左のエレベーターに乗る時
右のエレベーターから降りてくる
すれ違ってばかりの斜に構えた運命が
今日も君を捜してい ....
ジュリーさんは天使なので
だんごを
あげます
と
いって
だんごを
さしだして
はねのけられたばあい
どうやって
あしたから
いきて
いけば
いいのか
むずかしいから
あげ ....
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