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痛みに目を閉じた朝は
白痴だった電気羊の剥製と共に
世界中の飢餓の残骸となって
瀕死状態の純粋を嬲った
声だけの恋人は
「愛する者」と訳されて
一生分の夢より幻想的な
あやま ....
膝までの深さの
泥水のプールに
君と潜ってはしゃいでいた
君と潜ってはしゃいでいた
僕たちは19歳で
怖いものなんか何もなかった
僕たちは無敵で
青春は永遠だった ....
美しさがある見えない糸の整列にあるなら
その糸の端っこをちょっと引っ張ってみたい
その僅かなゆるみが美しさを引き立てるのだろうか
謎解きが残された人生が美しいように
言い切らない余韻も ....
もうすぐ君の好きな
冬が来る
冬が最愛の
季節だなんて
高村光太郎みたいだねと
僕が言ったら
そんな人は
知らないと ....
深いねむりについたから
なにも気づかないでいたよ
寝坊をしているのかなと心配してたのに
浴室にあたたかな香りを残し
出かけていったんだね
じぶんに何が出来るか
みつけないと ....
刻まれてゆく季節
夜半の雨は痛みをともなっていた
言葉で綴られる感情には限りがあるのか
ややもて余しているこの存在と日々
ただのスランプなら人生にはいくらだってあるさ
いままでやって ....
寄りそう栗の実は
獣の皮を着る生きものが身を隠しているようで
汚れた茶色が
人の暮らしを揶揄したようで
眺める
いつもどのようにすごしていますかの問いかけ言葉が
....
かえる場所をさがす
証明写真をとるために
切りそろえた前髪
と一緒に、どこかに
忘れてきてしまった
きみの帰る場所は」
(ささくれた右手の
親指から流れる赤は
泥水のような珈琲 ....
観覧車があるところを飛び渡っていると
大気圏を越すような速さになっていった
ある惑星の文明の話を聞いて
自分の描く空は記号だらけになった
届かなくて引っ掻いた
金色の生え際に月が似合うよ ....
石像が
石像の霧をまとう
段差 緑
歩き去る傘
右上からすべてを消す光
時計まわりの羽と波
池の水を飲む光
景は影を置いてゆく
流木の窓 墨の窓
何も ....
うつくしき日に
さざ波のカーテン
それは薄緑の夏のレースで
さらりとした朝の風に似合う
早朝のまどろみに
漂うきみと白いへやは
まるで溶け合っている 調和して
、きみのせかいを垣間見 ....
ふと泣きたくなるときがあるんだ
べつになにかに屈服した訣ではなく
べつになにかに敗北した訣ではなく
べつに淋しさを憶えた訣すらでなく
ふと泣きたくなることがあるんだ
ほんとうに動 ....
「石の不思議」
木の若芽
おごそかにあたたかく
さあ こちらへ来なさい
と呼びかける声が響いてくる
大きな何かがある
その方へ歩んでいって対面したのは
....
「足の下から」
木の若芽
大地はピアノの鍵盤だ
弾くのは光の指
華麗に見事に流れるように鳴る
わたしたちはその鍵盤のキーひとつひとつ
だから光にあた ....
抱きしめたくなるような朝だ
今日の空から当番の天使が降りて来て鐘を鳴らす
空色のビイドロ細工の世界はいつものようにカーテン越しに
光の言葉で瞼を押し上げてひと時の旅を促がし始める
こん ....
お前はついに来なかった
その足音をどこかに葬り去ったままで
俺が自分の嘘を屠殺するこの広場まで
稲は刈られ 柿は熟し
だがお前は来なかった
来なかったという銀河を巻き
来なかったという未来 ....
真夜中に破水する
完結しなかった気分
ディスプレイの明かりだけが
生き残った部屋の中で、ああ…
生活の残像
こびりついた窓
送信済みのメールと
届かなか ....
ひとつの泡
ひとつの滴
止むことのない曲線に降る
すべての冬
宙を羽織り
気を被り
星の履きもの
季節の嘘
森を作る鳥
岩へ至る岩の径
鉱の曇 鉱の ....
冬の朝のフローリングは
薄い氷が張っている
朝一番に起きて
冷たい氷を踏むのは私の役目
ぱりんぱりんと音をたてて割り
かまどに火を入れ朝食を作る
陽が昇り
村人たちが起きる頃
....
語れば語るほど
あなたへの思いが
色あせ
別物になってゆく
何か言おうと戸惑うたび
ワインの酸味がきつくなる
ことばになること
ならないこと
しなくても ....
君の、夜明けの口唇に
葡萄の粒を含ませる朝
旅立つための翼をいだく
わたしの翼は白いだろうか
それとも燃えて血がにじんで赤く
葡萄の房に朝の雫がこぼれ
風が喜びを歌うとき
....
もういちど ちゃんと 笑って
アップルパイの焼ける 甘い匂い
おおめにふるったシナモン
ふれていたいのは 痛いとこ
こねていたいたいのは やわらかなとこ
アップルバイが焼ける匂 ....
ライトブルー ソーダーシュワ
真冬のアイスクリーム
そんな匂いが弾けるシュワ
着込んだ湯気が凍てつく氷張りの澄んだ鏡空へ
何気ない息を膨らますシュワ
星に雪がかかる降 ....
雨の日は床の油と土とが湿気に混ざって独特の匂いがする
信号待ちの小学校の前でそんな事を思い出し
雨だ
僕は歩くのが下手で
いつも靴がずくずくで
傘はその意味を放棄している
風が
....
ウォーターベッドに溺れていて、誰もたすけてくれやしないよ。
深夜まで待っていたのはいいけれど、
ここは永遠だったから、誰にも見つけられなかった。
揺さぶられて
あくる日、偽物の ....
束ねられたさびしさを解くと
ふっと花の香りがしたようで
そのことを伝えようと振り返り
不在に胸を踏みつけにされるようだ
音も声も湿度もすべて気配の中にないまぜ
微笑も寝顔も怒ったときも輪 ....
歪んだ
時空の
軸受の
軋む音を
聞きながら
夜毎
もう 使わなくなった
言葉を
燃やす。
文学、音楽、哲学、映画、絵、写真、を捨てる。
孤独を愛する事、をやめる。
夜にだけやさしく在ろうとしない。
男を殺さず、女を犯さず、夜盗を働かない。
夢の意味に絶望しない。
昼間 ....
日常を窒息させ、見知らぬ恋人にキスをする。
・・ ・
痛覚の一部分でしか無いのに、それを愛だと言う。
・・ ・
蚯蚓腫れした睡眠欲を、粉々に ....
髪と髪の狭間に青く
釉薬を塗り重ねたような闇
古寂びた寺院の奥に
水を湛えた器
紙と紙の狭間に深く
ひらいた掌のような蓮
連理呼吸さえ白く凍る
夜の淵で濁っては落ちる
夢より覚 ....
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