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「私は洋食が好きなの。」と言って
いつもミラノ風ドリアを頼む90歳の祖母
性格もシビアだが
財布の中身に関してはことさらにシビア。

死にかけた親父にミラノ風ドリアを食わせると
やり残した ....
思い出すのはうれしかった出来事ばかり。

九九を全部言えることが出来てほめられた日
すき焼きを食べて「おいしいね。」と笑いあった寒い日
試験に合格をして「おめでとう。」と言われた日
初めての ....
初孫の頬に触れる父の大きな手
きゃっきゃっと笑う声を聞けば
今度はそっと頭を撫でる。

母となった娘の腕の中
ぱたっ・ぱた・ぱた・と動く
ちいさな手足を眺めれば
目尻もだらしない程垂れ下 ....
今年も咲いた
家の裏にある公園の桜。

去年と違うのは
手の中で微笑む父の遺影。

ぶわっと強く吹いた風に
花びらが舞い踊れば
「綺麗な景色だ。」と
喜んでいるかのようだ。
取れたてのトマトを氷水で洗い
大きな口でかぶりつく。

暑くなり始めた水場の前で麦わら帽子を被り
冷たい水で顔と手を洗う父と私は
虫や暑さと格闘しつつ
畑仕事に精を出す。

太いきゅう ....
昨日届いた今年の新米。
白く輝く米粒が
すくい上げた両手から零れ落ちる。

その日の晩
一粒も残さないで食べなさい。と
母はしゃもじを握って何べんも言った。

白い湯気を顔中に浴びて
 ....
君の声が
何処からか聞こえるのだろう。

人が集まりだしたライブハウス
談笑を楽しむ人々の中から
あたりを見渡して
花々を渡り歩く蝶のように
休む間もなく飛び回る。

開演5分前
 ....
暖かな湯気が立ち上る南瓜と小豆の煮付け。
薄く切った胡瓜の上に鰹節をのせたら
慣れた手つきで父がぽん酢をかける。

こんなものしか出せなくてごめんね。と
母はみそ汁をよそい
今焼けたばかり ....
言いたいことも言えぬまま
蓋を閉じた父の棺。

最後に触れた手に一輪の花を握らせて
また会いましょうね。と
母は呼びかけた。

悲しみの中
いつもと変わらぬリズムで時刻を告げる
柱時 ....
掃除をしたはずの離れは
埃臭くて何処と無く汚い。

段ボール箱を破いて
いくつかのゴミ袋に詰め込んでは見てみたが
こまめに捨てなさい。と呆れる
父のお叱りが聞こえた気がして
久しぶりに開 ....
父の手の中に
半分に割った焼きたてのさつまいも。

口に入れて噛み砕けば
優しい甘みが空腹のお腹と
迷子で泣きつかれた心を
しっかりと抱きしめる。

ほくほくのさつまいもは
口の中で ....
褒められた事が今になって
子供の頃に描いた似顔絵から出てくる。

不恰好に歪んだ眼鏡と
右と左で大きさが違う目。

一生懸命かきました。
と6月18日・お父さんありがとう。
の横に書か ....
父が育てたジャガイモをふかして食べた。
潰したジャガイモに
マヨネーズとハムを混ぜ込んで。

腹が膨れて横になっていたら
父が畑から帰ってきた。
シャワーを浴びた後
気持ちよさそうに頭を ....
最後に流した涙のような
光る透明のしずく。
掌で弾けとび
残した思い出を身体の中へと埋め込んでいった。

真横を見れば
綺麗に咲くあなたの愛した花。
春一番に吹かれても
しっかりと花び ....
祖母の横顔を眺めて
かきもちを一つ頬張った。

今年もまた無事に誕生日を迎えることが出来て
もうすぐお迎えが来る。と足を擦り
時々小声でつぶやく祖母を思い出しながら
私は祖父の遺影に
感 ....
父の詩を書くことにした。
見えない世界と繋がって
無くした親子の時間を取り戻す為に。

肩に手を置いて
にこりと笑う父の姿が見える。
「お父さんどうですか?気に入りましたか??」
私は声 ....
父の死が
私の全てをひっくり返す。

独りぼっちだと悟る孤独感。
繫いでいた手を
後ろに組んでしまった。

横に居た父のことを思い出さぬよう
ぽっけの中に両手を入れたまま迎えたつい昨日 ....
仏間に置かれた古い位牌。

昭和十九年七月二十九日、ビルマ國ニテ戦死。
薄くなった金箔の文字で
位牌の主を語っている。

この家は最後娘一人となり
今から50年以上前に血筋が途絶えたのだ ....
昭和十九年七月二十九日、ビルマ國ニテ戦死。

仏壇の片隅に置かれた位牌の主を
私は知らない。

毎年お盆になると
固く絞った白いタオルで先祖の位牌を磨き
家族みんなで迎え火を焚く。

 ....
都心へと続く田んぼの中の線路。
田植えを終えて一息つきながら
父がおにぎりを頬張った。

梅・おかか・こんぶ。

母が麦茶と重箱を差し出しながら
にっこりと笑っている。

汗を拭いて ....
バイバイ。と手を振った
花びらが降る道の上。

愛しているよ。と繰り返して
あなたを見送った。

泣くよりも笑っていなさい。と言われたようで

幸せになるよ。と叫びながら
花びらを頭 ....
(冷たい・硬い・重たい・臭い)
別れを告げた父の姿だ。

私は離れたくは無かったのだが
参列者の手前
抵抗するわけにも行かず
黙って棺のあとを追う。

山のへりに並ぶ猿たちの群れ
ま ....
ピアノを奏でた指先は
詩を書くためのボールペンを握り
最後に送る父への手紙を書き続けた。

父の好きな花達は/何事も無く/式場のライトを浴びて
美しい花びらを/正面玄関に向ける。

ピ ....
「人の、役に立つ事を考えなさい。」

ある晩
淹れたてのお茶をすすりながら
父は諭すように言った。

今でも
(何があるのか?何なのか?)を片隅に置いて
職場の受話器を取り
職場のパ ....
いなくなった曜日に

私がいる・・・・。

すれ違いを起こしているように

すれ違いを起こされているように

今生の別れが迫った・・・・。

笑顔を/声を/言葉を

乱すように ....
るるりらさんの梓ゆいさんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ミラノ風ドリア八景~あるファミレス店員の独り言~- 梓ゆい自由詩418-12-24
しこり- 梓ゆい自由詩418-12-17
おじいちゃんになった日- 梓ゆい自由詩118-11-28
回想- 梓ゆい自由詩2*18-4-5
きれいなもの- 梓ゆい自由詩317-8-1
白いご飯- 梓ゆい自由詩317-8-1
ひらり・ふわ・ふわ- 梓ゆい自由詩217-6-23
ただいま- 梓ゆい自由詩417-6-8
暖かな食事- 梓ゆい自由詩417-3-17
お片付け- 梓ゆい自由詩217-3-17
迷子の後で- 梓ゆい自由詩217-2-24
クレヨンの記憶- 梓ゆい自由詩317-2-21
畑作り- 梓ゆい自由詩217-2-19
夢のあと- 梓ゆい自由詩117-2-19
歳をまたぐ- 梓ゆい自由詩417-2-16
親子の時間。- 梓ゆい自由詩216-7-6
桃。- 梓ゆい自由詩316-7-4
我が家の歴史。- 梓ゆい自由詩416-7-4
途切れた時間。- 梓ゆい自由詩316-7-4
田植えの季節。- 梓ゆい自由詩5*16-5-10
春の嵐。- 梓ゆい自由詩116-4-15
父の顔。- 梓ゆい自由詩216-3-15
アップライトピアノコンサート- 梓ゆい自由詩4*16-1-18
父の慮り。(おもんぱかり。)- 梓ゆい自由詩215-6-29
軌跡- 梓ゆい自由詩113-10-21

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