歳をまたぐ
梓ゆい

祖母の横顔を眺めて
かきもちを一つ頬張った。

今年もまた無事に誕生日を迎えることが出来て
もうすぐお迎えが来る。と足を擦り
時々小声でつぶやく祖母を思い出しながら
私は祖父の遺影に
感謝を込めて手を合わせる。

懸命に手を動かし
人よりもゆっくりとせんべいを割る祖母の指先は
少しでも長く生きたい。と
私に伝えているかのよう。

ぽりっ・・・・。ぽりっ・・・・。
と音がするしわくちゃの口元。
淹れたての新茶に
今年初めての茶柱が立つ。



自由詩 歳をまたぐ Copyright 梓ゆい 2017-02-16 22:18:31
notebook Home 戻る