すべてのおすすめ
小さな男の子と
女の子だった私たちは
なかみだけそのままで
古びてしまった
雨にふるえている
きのえだをみても
語り合ったりしないで
すれ違うばかりです
探し物はたがいの
胸 ....
あらゆる言葉が難解な象形文字である時
私は私の言葉達を塞ぐ
私の言葉が流れ出ないように
そして外部の言葉をせき止め
私は少数の過去からの語り人達の
誰よりも沈黙を願った言葉達を採り入れる
....
眠りたくない
明日がこわい
どうして人は
今日を越えないといけないの?
ずっとひとりぼっちで
眠ってきたけど
慣れないの あの頃から
言い争う声も
物音もきこえないのに
....
誰かの森の中に寝転んで
陽だまりを浴びて
ただひたすら
夢だけを見ていた
こんなに晴れた日に
目を閉じているのは勿体ないと
この星のささやきが
聞こえた気がした
そろそろ
現 ....
ここは泥棒市場
通称キャットストリート
骨董を売る店が連なる
ここで売っているものは
どことなく胡散臭く
まがいものの匂いがする
モノガタリには事欠かない
溥儀が紫禁城でコオ ....
{引用= 「竪琴」
細かい
木の枝に
包まれて眠る
にぶい銀色をした
竪琴の音色たち
それは、
突然の風におびえ
南へと巣立っていった
....
{画像=120710105150.jpg}
小さい頃から
自分はいらない人間なんだと思ってきた。
いつもいつも、死にたいと思ってた。
そんな時はよく、空を眺めた。
広いな ....
ざっそうは
おしえられなくても
はえてくる
パンダのシンシンは
おしえられなくても
じゅにゅうする
ちのみごは
おしえられなくても
ちちをすう
わたしは
おしえられない ....
交番のまえで指名手配の写真や似顔絵を見るのが好きだった
小学生のぼくは駅の改札口のまえにいつも佇んでいた
犯人を見つけたらなにか気持ちのいいことが起こるような気がしたのだ
いろん ....
冬のあぶく冬の蒼
橋を洗い水を洗い
よどむ流れの背をつまみ
波を姿に押しもどす
膝の上
水の爪
氷そそぐ水
灯の下の無音
そこに封じようとするこころみ
そ ....
焼却炉に捨てられた明日
すくいあげた夏の横顔に
毛繕いを済ました嘘が
気だるく黄昏る
あなたと壊疽した月曜に
遠い過去からの絵葉書が
陰気な紙ふぶきとなって
豊満な口もとを埋め尽くす ....
たったひとり味方がいると
人間は生きられる
それがなんにも教えない人でも
静かな背中をみていると
心にこたえがみえてくる
背中を背中を追うごとに
みんなが優しくなってくる
先に
想いが渡る
次に
鼓動が渡る
最後に
身体と車輪が
ついていく
川面は
曇り空の下で
もっそりと
黙りこくったまま
10両編成の
小癪なリズムに
渡られ ....
少年はカブトムシをつかまえた
兄が教えてくれた秘密の場所だった
早く少女に見せたくて走った
その頃、少女は黙祷をしていた
自分の汗が少し臭いと思った
生活というものは量であると
感じ始 ....
裸足で
知らぬまに 遠くまできていた
虹色の汽車にのって帰ろうと想う
歩んだそこには、
軌道がしっかりのこっている
帰りは 来るときほどの苦労がないね
そんな声がする
ただ、さびしいあき ....
あした咲く朝顔は
雨の軒下でこうもり傘みたいに
とじています
あしたも雨なのかな
朝顔って、おかしな{ルビ花=ひと}だね
傘をもって
生まれてくるなんて
いちど咲いたら
もう、とじ ....
標を砕いた
白い轍を
船が昇る
すぐに
消えてゆく
光の棘や 岩の双六
花でも羽でも在る息の
葉ひとつ分にそよぐ場所
乗るものもない交響
川を下り 雨 ....
七つめの
星にうまれる
出会いかな
笹舟を
そっと押しやる
天の川
かきくもる
雲のかなたへ
駆けぬける
露草の
露のおもさを
つゆ知らず
透き ....
赤いサンダルと
傷だらけの膝小僧
くくく っと
笑いをこらえた君の影が
僕の靴をはらりとかわした
日曜日の太陽は
すぐに傾いてしまうから
それぞれの
背中に淋しさを背負ったまま ....
海の上を歩きながら
探し物をしている
水平線に
今日も日が沈んでいく
月明かりの下
見覚えのある親子が
海水浴している
あの頃わたしたちは
家族だった
ちょうどそばにいたネコを引き寄せた
ひっかかれて少し泣いた
ネコの体に顔をうずめて匂いを嗅ぐ
ねこくさい
ネコは諦めたように
うにゃうにゃ言ったので
遠慮なく会社の愚痴 ....
セイタカアワダチソウは
アレロパシーによって
攻撃物質を出して
他の植物を全て枯らしてしまう。
しかし、そのうち、その毒で
自分自身も枯れてしまう。
自分の事ばかり考えていると
自滅 ....
帰宅の
駅のざわめきに
隠されて降りつづける
夕立
だれも見つけることができない(のは
だれもが濡れて
まばゆい、構内の
あしもとから順に深海になって
快速電車が文字の編み目を ....
石で打たれるような
犬に追い立てられるような悲しさに
居ても立ってもいられなく
ただただ早く帰りたかった
日没に向ってひたすら走り続けた
貝のように固く握りしめている
決して手放し ....
わたしは
時々
星になる
星になって
{ルビ盲=めしい}の
黒蜥蜴の歩む道を
照らしたいと思う
わたしは
時々
風になる
風になって
見えないけれど
触れることを
証明し ....
{画像=120705001029.jpg}
小さい頃の僕は
捜している物はいつも
手の届くところにあって
幸せだった
それが一段背が伸びた頃から
少しづつ遠くなった で ....
人のいないところばかりが豊かなので
人ではない人は首をかしげた
どうして自分は
豊かではないのだろう
顔も名も
家族も憶えられず
波だけを数えていた
溺れては ....
お得意のハサミで
夜を招きよせる
美容師の笑い声
あはは
あははと
距離を縮めていく
やがて彼は
潮目に沿って
金色の糸を流す
彼女達は
心からは笑わない
ただ彼に
....
向き合った途端、一瞬たじろいでしまった
あまりにも真っ直ぐに見つめられて
ファインダー越しに覗いた
淡いピンクの大輪
千重咲きの奥に守られている花芯は
何か語りた気に
唇をうすくほ ....
盗まれた
海の藍一色
ペン先に浸し
描かれた
白磁に咲く
蘭の花
開き行く茶葉の
馥郁たる芳香が
矢車草摘む
少女の面影を
うつし世に誘う
リフレイン
君にまた会えた
....
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