すべてのおすすめ
青い水いろの空
公園からはみ出たさくら木
電信柱と電線が
拮抗しながら騒がしかった
世界はじっとしていない
何通りもの風景を
何通りもの異世界を
僕らはただ
奇跡のなかに浮かんで
....
西空に低く
爪みたいな月
だけど
ぼくの爪は噛んだあとしかない
外灯が街道を照らしてる
優しいきれながの目
そんな月が
天体の運行が
びくともしないで
....
花火は夜空にとどまれない
星のようにはとどまれない
長い時間を見つめれば
星も夜空にとどまれない
地球も宇宙にとどまれない
生まれて消える
それだけなのに
....
ひとはじぶんの考えたいように考える
外部からもらったヒントのようなふりをして
内発的に湧き出たヒントのようなふりをして
ぼくはじぶんの考えたいように考える
淋しい夏の空
それは十度目
秋 ....
この道は
いまも昔もこれからも
朝も昼も夕方も夜も
悲しかろうと嬉しかろうと
これが今生のお別れであろうと
そこにある
それを平和というのだろう
病にたおれて病をかくして
おおきくお ....
広島と山口を旅した春
26年まえの薄曇りの駅
初めて泊まったビジネスホテル
飲み慣れないスーパードライ
吸い慣れたマイルドセブンライト
深夜番組見つめながら
予定などないあしたをぼんやりと ....
ちいさなフリルの紅が
ちぢれた風に
澄ました顔でゆれている
百日咲いたら散ってゆく
蒸す日差しの
恩師の休むベッドの上
疲れたからだを考えたら
さるすべり ....
交番のまえで指名手配の写真や似顔絵を見るのが好きだった
小学生のぼくは駅の改札口のまえにいつも佇んでいた
犯人を見つけたらなにか気持ちのいいことが起こるような気がしたのだ
いろん ....
階段をあがってゆく
雲への階段を
水色ののぞく階段を
死んだように生きている
生きているはずなのに死んでいる
大海原のいちめんに
ひかりが刺さっている
太 ....
雨好きです
雨があがるように
死んでゆきたいと
うたった詩人は誰だったろう
雨があがるように
死んでゆけたのか
ぼくが死んだら聞いてみよう
雨好きです
....
ツツジの花は散らずに朽ちてしまう
桜の花は朽ちるまえに散ってしまう
どちらにも言えることは
ずっと咲いている花などないということだ
それが自然の原理原則なのだ
それに逆らう生き方を
ぼく ....
日暈が出ている
ゴルフそっちのけで写真をとる
これを見た誰かたいせつな人が
きれいだと感じて
洗われてくれたら
逆光で真っ暗だったから何枚も
何枚もゴルフそっちのけでとる
あ、オレの番だ
幸せについて考えたことがある
小学二年生だった
結論がだせなくて
茶色いサインペンで童話を書いた
空になった女の子、という題名だった
一行めは、これはロシアのお話です
....
影のなかでは
ビールと笑い顔
光のなかでは
自転車と渋い顔
切り取られた
ルール通りの愛
目的地だけが人生だ
そんなふりをして
なにを逡巡している
影のなかでは
ビールと笑い顔 ....
きょうの花びらを忘れない
玄関にまかれた花びら
あのひとの爪みたいだ
やわらかな色づき
ほのかな湿り
美しく朽ちてくれ
この桃色を掃きながら
ふっと心 ....
きょう太陽のまわりに
虹が円を描いていたよ
ぼくはそれを伝えたくて
太陽を建物で隠して
写真を撮ってみたよ
会社の人に言ってみたら
外も見ずにこう言った
めずらしいですねって
裏も表かひらひらと
風に掃かれて
花びらだけが渡ってゆく
こんなに桜を植えた国なら
福島なんかもなんとかなるだろ
繰り返しながら戻りはしない
さよならだけが人生 ....
久我山駅にこんな時間に着いて
こんなとこに
ビジネスホテルなどないだろうに
ぼくは坂道の商店街をあがって行った
そしてすぐおりた
踏み切りを渡り
旧神田川のほうの商 ....
もう消灯の時間だ
ぼくは個室だけれど消灯は絶対だった
暇だから携帯で詩のサイトばかりのぞいていた
自由だった
あの頃もそうだったか
ぼくは中学生のとき病室に住んでいた
がらんとした冷たい部 ....
はぐれてしまった宇宙飛行士は
地球を見つめながら死んでゆくのだろうか
ぼくは誰とはぐれてしまったのだろう
かなたに何を見つめながら死んでゆくのだろう
下唇をすこし噛んだら
....
先生、お昼からどこか出掛けるんですか
お芝居ですか
お芝居を観にゆくんですか
そとは風が吹いてますね
水っぽいひんやりさが、何かの始まりみたいですね
ぼくも、ちょうど ....
忘我だけが真実だ
我を忘れなければ
秒速120メートルで考えられない
我で考えていると
せいぜい歩く程度の速さにしかならない
他人のことなら
秒速120メートル ....
避難してきたこどもの入園を拒否するひとがいる
福島ナンバーの車をボコボコにするひとがいる
誰も知らない神様にも届かない
そんな場所で誰がために命を捧げるひとがいる
動物や虫や植物たちはどうな ....