すべてのおすすめ
建築現場の鉄骨が
空の重さに耐えている
(昼下がり)
子供たちがホースの水で虹をつくる
二階のベランダから身をのりだす猫
視線の先には鳥が羽をやすめている
建築現場では低いうな ....
絵の具の盛り上がりが
分かるぐらいまで
近づいて
どんな風に描かれているか
分析するのは
批評家に任せておいて
少し遠くから
その絵を
眺めてみようじゃないか
絵にはきっと
絵 ....
たいふういっか
が
台風一家だと
思い込んでいた頃
台風が去った朝
通学路には
一家が遊んだあとが
残されていた
なぎ倒された空き地の草
折られた柿の枝
おしゃかになった傘
....
上も下もない
箱の中にいるときでも
外には星があるのだろう
みえなくてもあるのだろう
信じているとつぶやく
証拠がみたいとつぶやく
きっとそんなものはないのに
それでもほしいと願 ....
茎を切り取ると
キャベツは息を引き取った
葬儀は
スーパーかコンビニ
あるいは古風に
八百屋で
買ってきた
キャベツを刻むと
青虫の
お坊さんが出てきた
....
陽のかたまりが
荒れ地の斜面を流れ落ちる
何もない場所が
何もない拍手に華やいでゆく
指に沈む 爪の長さ
雪でできた肉厚の葉に
花は無い 花は無い
多 ....
水飛沫だけは一人前の
まるで推進力がないバタ足で
取り付く島を探し回る毎日
学校の水泳授業を
見学してばかりいたツケが
今頃回ってくるとは思わなかった
後輩の回遊魚達には
軽 ....
月の浮かぶ湖が淡い光に染まる
指の隙間から
流れ行く黒い水
心を映す鏡なのだろうか
冷たい手の指先から
光が生まれていく
光は体を伝い
抱くように包み込んだ
....
{画像=120616222037.jpg}
季節はなんて早く
通り過ぎて行くのだろう
もう春だと思ったら
陽の光は力いっぱいの強さで
もう初夏のようだ
季節の風は
確 ....
ママー
ピノ半分づつせーへん?
午後六時の買い物時
小さな女の子は
大声出した
ママはきっと負けるだろな
首をかしげる女性を
見つける
アイス買ってとさわぐ坊主たち
やっ ....
夢ならさめないで
少し肌寒い朝に
ほうりだされたみたいな
いかなきゃいけない気分は
背後の太陽のように熱い
だれかがだれかの
噂をしている
その中で知らないふりはむずかしい
....
カレンダーを捲ると標語が書いてある
『向上する意思があれば道は拓ける』
自信たっぷりのその言葉に釈然としない
テキトーに世間ではそう言うけど
さも正しい事みたいに言い切れる
その根拠は ....
バカ バカ バカ バカ バ〜カ!
まったくもってバカ ほんとバカ!
バカ過ぎて どこがバカか分からないバカ!
迷惑なバカ うっとうしいバカ 自己中バカ
目指せ! 完全無欠の大バカ者
バカ ....
やさしいひとの笑顔がいたい
うけとめる勇気がないから
おかえしできる自信もないから
ごめんなさい
わかってる
ほんとうは
“ありがとう”っていうべきなのに
やさしいひとの幸福 ....
夜に溶けてみたいから
僕は街を闊歩します
夜に溶かしてほしいから
僕は夜空を吸うのです
もしも夜に溶けたなら
今すぐ君に逢えますか
薫風が行く
あとを追うのは誰
梢にちいさないのち
めぐる季節への
地図を広げている
薫風が行く
あとを追うのはわたし
梢に君をみつけて
初夏を一緒に
深呼吸する
朝の挨拶は ....
突然雨戸が
何語かで話しかける どうしたの、何
小さなビスケットの家の
窓には童話色のカーテン
それじゃ無理
雨戸は不満を述べてノックする
何か起こったの、今から起こるの
小さな庭の ....
忘れていたわ
時の砂は音も無く
ふりつむ透明な悪魔だってこと
どこへいようと
逃れることはできない
生の終着駅が死であることから
逃れることはできない
気づかぬうちに
若葉は枯 ....
誰にも触れられない場所に
花が咲いていた
切り立った崖の中腹
そこには
誰も登って来れない
誰も降りて行けない
そんな場所に独りぼっちで
花は気高く咲いていた
小鳥の囀りに ....
地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く
無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す
紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し
雨傘は
すべてを受け流そうとし ....
ある日、名指揮者は倒れ
コンサートは(指揮者無し)で行われた
ヴァイオリンもフルートもホルンも
それぞれの奏者は皆
無人の台の上にいる
まぼろしの指揮者のうごきを見て
それ ....
湖面の淵に座り
文字で満たされた水面を掬う
誰かの言葉が耳を貫いた
様々な感情が混ざりあった波は
さらさらと湖面を滑る
水面を覗きこんだ
私の白い肌は
言葉に出来なかった思いが赤く滲 ....
雨好きです
雨があがるように
死んでゆきたいと
うたった詩人は誰だったろう
雨があがるように
死んでゆけたのか
ぼくが死んだら聞いてみよう
雨好きです
....
僕の家は
坂道の上にあるので
坂道の下から
生えている木の
てっぺんの部分を
ちょうど
一階の窓から
見ることが出来る
鳥の巣や
枝に突き刺さった
蛇の干物や
デリケートな部 ....
さやつきグリンピースを買う
今年も
豆ごはんを炊こうと
薄緑色の愛らしい洋服ごと買う
冷凍グリンピースは
便利なのだろうけど
買おうとは思うわない
この時期限定で出回る
さやつきグ ....
一人ではない
理解してくれる人が
共感してくれる人が
許してくれる人がいる
人間にできる事
伝える事
思いを伝える事
そして地道な毎日を歩く
皆の幸せを願って
今日も歩いてゆ ....
中途半端な知識は
無知に等しい
中途半端な愛は
苦しみを生むだけ
中途半端な覚悟は
言い訳の余地を残すため
明けない夜はないが
晴れない朝はある
止まない雨はないが
笑えない昼はある
暮れない一日はないが
つれない人はいる
そして夜
幾つもの夜を耐えて
人は強くなると言うが
ちびち ....
おじいちゃんと森で薪を拾う
僕が手当たりしだいに
背負子に放りこんでいると
そいつはまだ早いと言う
幹を離れてまもない小枝は
水分を含んで
みずみずしい
生木の範疇を出ないものは
....
恋には形があるからさ
だから、つくれるしさ
だから、こわれるしさ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12