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愛と呼んでもさしつかえないくらいのきもちだったよ
朝おきて
顔をあらうまでのあいだに
147回おもい描いたり
季語のかわりに
きみの名前をいれたり
あんな
愛みたいな
ただの
鏡 ....
○号分の亜麻を
木枠に張って
憧れの画家の
許を訪ねた
描いてください
とお願いして
その、写真も
手渡した
画家は
受け取った
契約成立
お会計をお願いいたしま ....
かなうかなって
空を見あげて
思えばこそ
で足りたころ
からずいぶん
遠くに来て
しまった
ちいさな願い
なのだと思うこれは
とてもさもない
なみだなのだと
願う
....
誰にでも許されるべき弱さがある
そしてそれが世界を回していくと
気付かない神の子孫達はこう言う
強さこそが総てを守れる唯一の力
俺は弱いが彼女の涙を知ってるぜ
愛なんてまやかしだと教わった事がある
目の前を黒猫が通り過ぎた夜はいつでも
へべれけになって好きな女の名前を叫ぶ
抱きたいわけじゃねぇが手を繋ぎてぇな
愛す ....
優しさを見て育ったから優しくなった
厳しさを見て育ったから厳しくなった
それなら俺は何も見てこなかったんだ
誰からも気にもされない透明人間だが
愛した女が一 ....
いつもと変わらない部屋
いつもと変わらない学校
いつもと変わらない友達
いつもと変わらない僕
ひとつだけ
いつもと違うこと
君が遠くにいること
....
宇宙の果てにある荒れ地
月明かりが唯一の光
微小な動物達が岩にへばりつき
植物達は地をはう
足場が悪いのでこける
体中に絆創膏と湿布
望んでやって来た土地ではないけれど
牢獄から脱け出し ....
俺あ恥ずかしんだああっ
てめえみてえなヘッポコ詩人がああっ
俺とおんなじ
ファミリーネームでよおおっ
うんにゃああっ
おフランス語だかなんだか知らんがああっ
余分なアルファベ ....
覚えてる?
ゆびきりげんまーん って
指切り したよね
あたしなんかね 約束したことよりも
あの日の へんなオレンジの夕陽の方が
なんか 鮮烈に覚えてるの
....
喋ると馬鹿がバレるからさ
語ると嘘っぽいからさ
怒ると皺が増えるからさ
泣くと幸せが逃げるからさ
止まると置いていかれるからさ
歩くと踵が減るからさ
群れると傷が増えるからさ
....
内気なセレーネ
は恥ずかしくて急ぎ足
ビーナスとジュピターが
囃し立てるが
菫色の空を
素知らぬ顔で
つれない素振り
ギジムナーは
煙草を吸いすぎて
舌が苦い
夕霞が夜に ....
道路に落ちた雨粒たちが 車が走る度 ドレミだけしか必要ない
耳慣れした淡白な音色を走らせる
空中に住んでる雨粒たちが 着地する場所に迷わず ストレートに
本能に従い澄んで魅せる
....
あのひとのうちで食べた朝メシは
こんがり焼かれたトーストだった
自分ちとはちがうパン
自分ちとはちがうマーガリン
ジャムもちがった
そのなにもかもに違和感を感じて
....
世界が滅びたその時は
きっと美しいだろう
現在とはその一瞬のための
長大な積み重ねの事
人々の不安も文句も やがては
神の花火となって散るだろうさ
その時、宇宙の犬はそいつを見て
「ワン ....
ぼくの精神にプラスチックのねじが
差し挟まっている。
それは青い電飾と呼応して
毎晩ぼくにあいさつをする。
水浸しの灰色街路地
跳ね音聞いて雨宿り
老い猫がにゃあと鳴いて
酷い雨だと目を細める
妙に優雅な流線形
横目でこっそり撫でた
ごろごろ音がして
雷も気持ち良さそうに
ああ誰 ....
くよくよしない犬がいる
主人がくるのを待っている
声をかけると
たらりとしっぽでこたえた
なでてもいいよと
いったのか
待つことだけを
している
くよくよしない犬
北の国で少女は
歌を集めて翼を織った
旅してゆきたかった
生ぬるいかげろうの季節に
歌はそこら一面で摘まれ
籠のなかでちいさく鳴いた
迷子になったひよこたち
草原を季節風が ....
夏の声が遠く聞こえて
私は銀色の車体が纏う
緑色の線に魅入られる
夏の声を遠く聞きながら
私は日陰のコンクリート
じわりと汗をかいている
ビルが作る無風地帯が
私の気分を悪くする ....
飛ぶ日まで
それはいつかの晴れた日 君は空を眺めてて
飛びたくなくなったって 寂しそうに愚痴る
どうしようなんて そんなこと僕になんて言うなよ
僕に大層なこと 言えるはずもないだろ
....
ガラス製の灰皿が
テレビの色に瞬きしたとき
遣る瀬ない日々に君は
重たい欠伸を隠した
朝陽は
その優しさを
皺くちゃのハンカチに包んで差し出 ....
天使のスカートにひだひだがついて
俺は卒倒する
夜の陰に怒りは湧いて
人々の中に散る
神々はいつもの沈黙を止め
もつれた舌で喋り出し・・・
俺はいつしか俺へと還る
まるで夢から覚めた午後 ....
こがね色の麦畑に群がる恋心 戯れる
少女を追いかける青年の瞳は 青い
少女が戯れるのは 恋を問えない みつあみ
何が嬉しいのか さやさや揺れる 麦の穂の温もり
何が楽しいのか 微笑む少 ....
きみのオデコはとがっている、おやすみと言うたびに、やだやだされて、それはちょうど夏の虫だったから、掛け違えたボタンが蝉のように、ポックリ病だ、ぼくはきみを目覚まし時計と間違えていた。
縞模様 ....
重力がはがれ
赤く染まった朝
彗星を固定したまま
防衛システムから
重水素の光が抜けていく
ほら、鉱石の
チューリップが砕けるよ
青層の灯明を眺めながら
ゆっくりと煙を吐く
海が近いので潮騒が響いている
懐かしいと、ゆったりとした気持ちでくつろいでいる
すべての命が沈んでいく
夜のあいだにまぎれていく
鳥の鳴き声が控 ....
いつも寝ている
夢の中
春の日溜まりに
聞こえる
母猫の
まるい呼び声
瞳いっぱいに
映り込む
セカイ
我を張っている
我を忘れて
集める炎の中心に 焦りに煮た冷や汗
額から離れぬ 汗の辿り 焦げ匂いがする
我を張っている
我を呆けて
ピンポン玉が姿に似合わず 人々の ....
炊事を終えた
スリランカの水夫たちが
座って西瓜を食べていた
出納係はスープ皿に
吸殻を捨てた
好きなものはすべて
素手で触りたい
水族館の閉館日
すぐり ....
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