地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く

無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す

紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し

雨傘は
すべてを受け流そうとし ....
笑った顔をして
こっちを向いている。
物悲しいようで
寂しいようで

誰にも見えない
少女は立って
消えていった。
霧の中に

公園の水飲みが
流れていた。
時計台の鐘が
鳴 ....
封印の切れ間から解き放たれた
過去の残照

触れることの出来ない 誰かの眼差しが
導線を伝って呼び覚ます 同じ痛み

掛け違いのボタンが全部 床に散らばって
ようやく向き合えた私たちは
 ....
戦いの痛みはこれからだ
分裂し妥協する
本当の意味を知る為に
甘い文言に酔い
本来を忘れ
彷徨いの果ての悲しみはあるか
諸君等の文言は素晴らしい
だけれども痛みと戦いを垣間見出来ず
一 ....
詩を書いた
僕は 一体何だろう
だけど 確かではないけれど
僕は思いを綴っている


そして 会社を辞めた
僕は 今 何者だろう
そんなふうにして 渋谷の街が 今日も
涙の色に暮 ....
冗談を言えるようになりたい
枝を打ち鳴らす風のように
人を笑わせる人になりたい

愛を歌えるようになりたい
地を焼き尽くす野火のように
人の心を燃やす人になりたい

ネズミになりたい
 ....
{画像=120530012115.jpg}



この世の中には
幕間に控えて居る役者は
いっぱいいて
人が羨む役を貰えるかは
まことに運次第なのだと思う


人は与えられた役の ....
夢から覚めると
午後は陽炎の中 寡黙に佇んでいた
翻る あなたの影だけが冷たい魚


見も知らぬ者同士 これが
いつかの夢ではないと言えるでしょうか


ひび割れた心象が決壊する時
 ....
ぼくは昔 転がる石だった
ぼくを握った手の熱さを
ぼくを投げたその手の強さも
まだ忘れていない

でもいまのぼくはただの石だ
転がった所にただいるだけの
単なる石になってしまった

 ....
3000年まえの昨日が
光子のひとしずくとなって
表象の湖の水面をゆらす

今日の日常は
いつかみた夢の果て
こはく色のあめ玉

今日の夢は
彼方の日の明日
永久にそそぐ流れの一滴 ....
そこから先へ行っては行けない… という
暗示のように 朝の光が矢を放つ

冷たい水を両手にすくって流し込む
目醒めたばかりのあなたのくちびるに
夢の残像が立ち昇り
私は思わず虹を渡って 昨 ....
愛するものに あらんかぎりの表現をあたえるために
図書館はある

道の途中で
トンビがピープルって 巻き舌ぎみに 私を呼ぶ


鳥に言われるまでもなく 私は人間さ
書物のよさ ....
私は

白檀であり
伽羅であり
石榴姫であり
デザードローズであり
富倉 咲夜であり
無花果のジャムであり
無限上昇のカノンでもある

真実の私はここにはいないし
そもそも 私に ....
{画像=120523013143.jpg}


いつも何かが足りない気がする
いつも何か一言いい足りない
いつも何かを忘れている
いつも何か遅れている気がする


忘れてしまったもの ....
懺悔の祈りを捧げると 天使たちが騒ぎ出す


謝罪するな
俺たちの過去を否定するな
過去を見ても過去は変えられない
生きてきた意味を否定するな と 天使たちがわめく

悔い改めを真っ向 ....
よっぽど
おなかすかしてはったんやなぁ、おつきさん
おひさん
たべてまうなんて
よっぽどやな
やけどするで
くちんなか
べろんべろんになるで
おとなしそうなかおして
やるときゃやるん ....
怯えた目をして 君は
フロントガラスを見つめてる

けっして僕とは目を合わせないように
それとも 心の導線を伝う火の かすかな匂いに
一時間先のことを思いながら

君は窓を開けて 風を入 ....
その電話を切ったあとに 訪れた闇
星のようなさっきの会話の断片が
残響の空をちぎって ひとつずつ
私の背中に落ちてくる

大切な言葉だけを言わなかったふたり
一番弱い その場所がいつか
 ....
寒気のする空気を切り裂く
垂直のシルクスクリーンの像

空間と平面の狭間に
ポツンと取り残された縁

アブダビの呪文に囚われた
寒冷砂漠の隊商を
砂の丘から望む

深い藍色の地溝に ....
凍りつくような前ぶれが怖かった

水面で波がざわめきはじめる瞬間を
息を呑んで あなたと見守る朝

嘘から生まれた偶然が 夢より綺麗な夢ならば
私は 迷わず言葉を超えて行く


最後 ....
一日の終わりに
脱いだ
ぬけがらが
いくつか並んでいる

命がけで
脱いだわりに
その佇まいは
くしゃみ
ひとつほどの
可笑しさを漂わせている

上手に脱いだ
ぬけがらは
 ....
真昼の草原 翼をたたんだ君と
ありふれた恋人同士のように 会話をする
光と戯れ 砂丘から届く風を浴びて
深呼吸する君の 胸の膨らみを見ないように
僕は普通を装う
 ふたりは普通を装う

 ....
あることないこと つぶやいて
名のある人が 闊歩する

ごんべいは 名無しというのかいわぬのか
誹謗中傷 人知れず

2次元の世界に生きて 暗躍し
地震雷家事親父 

果てはみえない ....
さわれないことば
冷えてゆくかけがえのなさ
いつもとぎれてしまうモチーフ

あたたかいスープもないテーブルでは
君の影がゆらめいてみえる

ほんとうは君の髪にふれていたかった
ゆびがい ....
暗闇の中に
長い間いるせいか

と言う色を
忘れてしまった

他の色は
心もとなくも
なんとか
思い出せるのだが

どうしても
赤だけは
イメージできない

薔薇の赤
 ....
隣室から響くオルガンの音で目が醒めた
そこには何もない
ただ 君と過ごした時間の跡形だけを そのままにしてるだけなのに
やっぱりオルガンが鳴っている

ノックをしたら 音楽は止むだろう

 ....
{画像=120514020301.jpg}



幼い日
五月五日
かしわもちが右手の親指にからみつく
ふわふわした髪
大きな耳
口元に大きなえくぼがあった
一瞬の喜び
木の床に ....
受け継がれる遺伝子
五十年前の彼女に 少しずつ似て来る
私の顔立ち そして仕草

出掛けに纏う香水の好みまで 少しずつ少しずつ…

あんなにも憎みあい いがみあっていた私たちなのに
時が ....
 
 
ぼくの細胞が裸になった
ストリップもないだろう、と
あわてて上着を被せた
細胞は檸檬のように
ゴルジ体を吐き出し
ミトコンドリアを叩き付け
軒下に吊るされた
今日は誰と
話 ....
宇宙の果てにある荒れ地
月明かりが唯一の光
微小な動物達が岩にへばりつき
植物達は地をはう
足場が悪いのでこける
体中に絆創膏と湿布
望んでやって来た土地ではないけれど
牢獄から脱け出し ....
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