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病棟の面談室で
並んで座った僕と君は
三五年前と同じで
とりとめもないことを話す

天井は低く殺風景な面談室
飾るものは作者不詳の風景画
部屋の隅のテーブルでは
患者を囲んだ四人がひそ ....

曇り空の夕暮れは
町を朱く染めることも無く
夜の闇が次第に
足元に絡みつく

足取りは重く
暗がりの多くなった街を
抜け出せることもなく
赤い提灯の灯りを頼りに
居酒屋の縄のれ ....
吾妻橋一九七二年六月
つぶれるはずのビアホールで
神保町の石屋の伜と
一八の僕はたらふくビールを飲み交わし
ぐでんぐでんの千鳥足

売り飛ばされたはず(?)のビヤホールは
そのまま生き残 ....
昔の駅は博物館
万世橋は筋違い
薄闇まぎれて広小路
人波揉まれて日本堤か
ツツっと向かう大門へ
朝、明け方まで夢うつつ
こぬか雨骨にしみいる寒さかな

春の雨歩みは遅く花遠く

想ふても雨に流され春の宵
帰宅する

幹線のJRの駅から田舎電車に乗り換え
一五分ほど奥まった田舎の駅
そこが自分の住む家の最寄り駅である。
妻と子が二人、義父母二人
六人が暮らす自分の家だ

自分の父母は随分 ....
中二階の六畳間で
タンスの上の黒猫が奇妙なことをする。
長い舌を出しながら
タンスの上を転げ回るのだ。
そして突然畳の上に下りてきて
俺の目の前で長い舌を出し入れする
じっと俺の目を見つめ ....
今でも夢に見る

北斜面の崖
なだらかな傾きの崖

崖の上のお屋敷の、
裏手の急斜面から
空に舞い上がる自分を

空は樹木に隠れて半分
空は現実に隠され半分
半分の空に半分の自由 ....
鏨(たがね)を打ち込む

光沢のある表面に
一閃の傷をつける
堅固な光沢のある表面に
鏨(たがね)を打ち込む

切断する術は腕一つ
振り下ろす鉄槌の微妙な躊躇は
表面を滑り鏨(た ....
歴史は妄想の彼方にある
現実は忘却の中にある
未来は脳髄の何処かにある
いずれにしても無関心であることが肝要だ

冬の季(とき)、春に焦がれ
春の季(とき)、夏を熱望し
夏の季(とき)、 ....
ほんの数十年前
空がピンク色に染まった夜の日々
凜として生きていた正義の味方

正義の味方は美しく
正義の味方は気高く
正義の味方は清々しく

誰から後ろ指をさされることもなく
 ....
夕陽のあたる湊町
古い煉瓦の倉庫街
漂うあの歌 あの旋律は
港の悲しいエレジーで
昔の俺(おい)らの子守歌

港近くの襤褸アパートで
親父も知らずに育った俺(おい)ら
酒場の女のお袋は ....
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅

その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。

かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
冒頭 突然のファンファーレ

ガシャーン

砕け散った人生の姿見
その欠片の一つ一つ
舌を出した黒猫が覗き込む
にやにや笑いの黒猫が
こちらを向いてこう言った

こいつぁ凄い

 ....
忘れている何かの先に

頭の狂ったマンドリン弾きが
丘の上に座ってじっと
坂の下を見ている。

その男の着ているコートは
薄茶色のバックスキン
しかも、足元は合成皮革のハッシュパピー
 ....
手の平を見つめる

指の間から零れるものは
幸福の粒と
不幸の砂
選ることもなく
一緒に零れ落ちる

頭上から降るものは光
雲に閉ざされた陰も降る
選ることもなく
一緒に降り注ぐ ....
その昔
俺は 宇宙の中を飛び回っていた。
織り姫に懸想して、彦星から追われもし、
白鳥の首根っこも押さえもしたし、
ペテルギュウスのおならも嗅いだ。
オリオンの楯を盗んだり
カシオペアの辺 ....
君は最近歌を口ずさむ
歩いてきた距離は途方もなく長く、
希望を持って歩いてきたけれど
どうにもうまく行かないことが多くて
それでも前だけ向いて歩いてきた

君の歩いている道は
君が望んだ ....
駐車場の一角
水面を撫でた風を受け
首を伸ばすと
視界が開けた眼下に湖
列島の海岸線から遙か遠く
ぽつんと置かれた水たまり

湖岸にぽつりと楓の木
秋の風に朱くなり

ここには敗者 ....
山の神舞 蝦夷神の生き残り
桓武天皇の御世
たいらげられた蝦夷の神
  
神社(やしろ)は倭の神の依り代のため
彼らは神社(やしろ)を知らなくて
ご神体ははやちねさん
早池峰神社の鳥 ....
今さら遅いと思います。

最後の話は

富ヶ谷の空
まぁるく描かれた
ジェットの雲
五色の輪のことでした

その話をした刹那

一〇歳の僕は
テレビから飛び出して
庭に駆け下 ....
表情の少ない
甥と姪が泣いている
眼を腫らしてはにかんでいる

泣くことなど想像もつかなかった
山男の義兄が
もう少し生きて欲しかったと泣いている

葬儀の場は
涙の大きなプールで
 ....
※「松島の月まづ心にかかりて」芭蕉

  ー崖の上から延びる松の枝
      その先に見える月と海

回復できないクラゲが漂う水面に
揺らめいているのは風の溜息か
天空にはクラゲの昇天 ....
南から風

そのあと

風が空を押し上げて
秋の空が高くなる

その高い空の下
     山は赤く
     地は黄金(こがね)
     輝く色のグラデぇーション
実りの時を触 ....
話の先にいるはずの姉
明るい声はしだい
次第に光を失い

七歳の姉は五歳の自分に向かい
満面の笑みで輝いていた。

今日の現実に
楽しげな昔が
揺らめく会話

苦々しげな現実 ....
※中途半端に疲れた自分

ぶらりぶらぶら壊れた道で
その先にある幸せという嘘

空は全く灰色で
お日さまかんかん晴天で
雨も降らずに灰色で
光線だけが照り注ぐ

先も急がずぶら ....
薄暗い博物館の
階段下 脇

上半身だけの
腕組をした文覚像
その見開かれた眼

その視線の先には
首無き骸の袈裟御前

聞こえぬ絶叫の声と
絶望の表情

何思うか苦悩と ....
信州の古城の櫓跡から
千曲川を眺める

川面の風景の上には
大きな空が広がり
風が吹きわたる
風に膨らまされた空は
何も言わず、僕の頭上にある

古戦場の舞台となった古城
望める山 ....
非戦闘員の大量虐殺



言い訳はどうとでも出来るだろう


戦争を早く終わらせるため

連合国側の人的損失の軽減

卑劣な戦争を起こした報い

人を人として扱わなかった ....
夕陽の照り返す ビルの窓ガラス
夏の短い影と熱風を通りに落とす
古ぼけたビル群
短い窓から覗く疲れた顔
またぞろ老人が吐き出される。
ビルの彼方には夕焼け雲とスカイツリー
決まった時刻にぞ ....
梅昆布茶さんの……とある蛙さんおすすめリスト(157)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
面談室- ……とあ ...自由詩20*14-5-12
居酒屋幽霊- ……とあ ...自由詩11*14-5-8
両国橋- ……とあ ...自由詩11*14-5-1
筋違門- ……とあ ...自由詩8*14-4-4
雨三句- ……とあ ...俳句8*14-3-31
不安−詩想との訣別- ……とあ ...自由詩17*14-3-27
中二階の黒猫- ……とあ ...自由詩18*14-3-7
空と自由- ……とあ ...自由詩12*14-2-24
鏨(たがね)を打ち込む- ……とあ ...自由詩14*14-2-21
近頃- ……とあ ...自由詩9*14-2-8
蛙の快楽- ……とあ ...自由詩14+*14-2-4
挽歌- ……とあ ...自由詩9*14-2-1
踏切- ……とあ ...自由詩22*14-1-22
悪夢- ……とあ ...自由詩6*14-1-17
うけいか- ……とあ ...自由詩5*13-12-27
還暦の感懐- ……とあ ...自由詩12*13-12-25
スペースキャプテン2- ……とあ ...自由詩14*13-12-18
君の歌- ……とあ ...自由詩21*13-12-12
諏訪- ……とあ ...自由詩7*13-12-6
早池峰山(はやちねさん)- ……とあ ...自由詩11*13-11-30
五輪−姉弟おしまい- ……とあ ...自由詩12*13-11-27
葬式- ……とあ ...自由詩22*13-11-19
海月ー2- ……とあ ...自由詩12*13-11-15
あきから- ……とあ ...自由詩14*13-10-29
電話ー姉弟2- ……とあ ...自由詩11*13-10-25
途〜パートいくつか忘れました- ……とあ ...自由詩11*13-10-2
文覚像- ……とあ ...自由詩6*13-9-19
千曲川−夏ー- ……とあ ...自由詩16*13-8-19
ストレートに原爆- ……とあ ...自由詩10*13-8-7
参院選の結果を踏まえて- ……とあ ...自由詩8*13-7-24

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