鏨(たがね)を打ち込む
……とある蛙


鏨(たがね)を打ち込む

光沢のある表面に
一閃の傷をつける
堅固な光沢のある表面に
鏨(たがね)を打ち込む

切断する術は腕一つ
振り下ろす鉄槌の微妙な躊躇は
表面を滑り鏨(たがね)を殺す。

切断する決断
その覚悟が必要
覚悟いう名の勇気
その覚悟はある

鏨(たがね) それ自体で
切断は出来ない
必要なのは
制御された打撃(暴力)
鉄槌の打撃(暴力)が不可欠

機能の異なる二つの暴力の出会いが
不可能と思われる
堅固な金属の切断を そして
素材の生成を可能にする。

そこから日本的な鍛えるという行為
鍛造することの厳しさ辛さ
鏨(たがね)の存在は不可欠だが
鏨(たがね)があっても
打撃のない空気の中に
なにを求めろ というのか

鍛造すべき素材が
未だ存在しない。
遅い 遅い


切断のための決断のみか

遅い 遅い


※旧作の改題、加筆訂正


自由詩 鏨(たがね)を打ち込む Copyright ……とある蛙 2014-02-21 14:03:33
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