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{引用=
そこにいないということで
目隠しをして
だけれども
部屋の片隅に
座っているおとこ
夜が
真空管のラジオから
トラッドフォークを
紡ぎだし
おとこの耳を
慰める
....
目を閉じると
透き通った風を
あの時のにおいを思い出す
悲しい笑顔を
思い出す
牡丹雪ふわり
君が舞う
見とれているうちに
悴んだ僕の手
のそりと進む冬の雲
はたちのころすっていた
くうきをおもいだした
そらやきのにおいがした
きみのにおいも
おいかけるために
ひつようだったのだ
すんだくうきを
おいこして
まってい ....
道路工夫が道を掘る
アスファルトの下の土
道路工夫は土を掘る
それは電話ケーブル施設の為
しかし垂らすのだ、埋設するのでなく
ずっと掘る
ずっと掘り進む
1年後に文明の誕生
2年後に人 ....
軽やかなのか 駆けて行く
何月のウサギか たったか たったか
そうして今年も
平年と同じく たったか
夏から秋へと走り抜けられたのか
ウサギは気まぐれだった
季節の段差を前にしたのか
....
きょう、季節の帳簿は冬に逆もどり
北風がふき 雪が
山のほうからちらちら飛んできて
冬のいかつい手が コツコツと
貯めてきた春の貯金を
ごっそり帳簿からかっさらった
開きはじめた菜の花も ....
やっぱ自然には敵わないよね
今年はやたら寒いだけかと思ってたら
河津桜は紅いろの可憐なほころび揺れているし
これはとばかりにお出かけした越生の梅林
朝晩は冷え込むためなのか未だ七分咲き ....
ここにいる呼吸 いつも深くは吸い込まない
何かが涸れた時だけ 温かさを繋ごうと飲む
ここはどうやっても片方からしか陽は昇って来ないから
沈むときは張り合って自分の力で叩き割って支えるしかない ....
赤い毛糸のような歴史の先端で
ストローに口をつけて
永い終わりが始まった
息を吹き込んでそっと膨らませたビッグバン
洗濯物が揺れる小さな緑の庭で
生まれては弾けるように消える
幾つものシャ ....
白い雲を丹念にめくってゆくと
そこには地球があるのでした
青いのでした
私の指先についている雲をひとなめすると
口の端から一筋の液体が(ヒトの想いといふものではないか)
こぼれおちた
....
どこまでも続こうとする坂道
喘ぎながら
繰り返される独り言のような呪文
聞きながら
やみくもにしがみついたあなたの背中
眠ったふりしながら
安いおしろいに混じった汗の匂い
嗅 ....
雨も忘れるほど唇を求め合った夜
そこに忘れてきた傘一本
今も時々探してみるけれど
ギザギザの
気温の折れ線グラフの
端がほつれて
光の縦糸が
眠たそうな家並に
垂れ下がる
カチカチに
凝り固まった表情筋の
端がほつれて
微笑の横糸が
路地裏の野良猫を
追い ....
ただいま、が言えなくて帰る家が見つからない
おかえりなさい、がない気がして帰る家が見つからない
何色の電車が運んできたのか
知らない町の知らない道を
歩いて私だけの家へ
おじゃまします、と声をかけた
....
京(みやこ)の雪は
帰省の翌日
天気予報にあったとはいえ
数年来の大雪で
暮れの街が大混乱
テレビのニュースでのみ見る
京の冬らしい姿に
立ち会えなかった
呑んでは ....
たんねんに こさえた ゆきうさぎ
あなたが ふりむいてくださらないから
きょうも 赤い目の ゆきうさぎ
素敵な蝶々
ハナタレ小僧
青い空
君が好き
地球は丸い
宇宙は遠い
僕は小さい
君が好き
また愛を怠って
また後悔などして
わたしは、いまだ愚かです
切れるのではと、怯えるより
切れたら、繕えばいいと
わたしは、そのつもりだ
おとなの恋は
ちょっぴりこどもの恋がうらやましい
なんていうのは、ないしょの話
伸ばした僕の腕
指先の数センチ先を
君の栗色の髪が通り過ぎていった。
「ねぇ、人って悲しみがなくても悲しみを探してしまうから、
ねぇ、私はこれから喜びがなくても喜びを ....
ウチ、ほんまは知ってんねん
アナタを好きなる呪文
でも、まだ、唱えたれへんねん
あんたとあたいの50センチ
近いか、遠いか、
あたいしだい
あなたを描いたら
一色足りない
足りないの
息が白くなったら
アンタの湯たんぽになったげる
なんて、ないしょ、ないしょ、
いいえ、
私の家は小さなパン屋をやっていたの
海の近くの
海といっても砂浜はなくて
ただひたすらに工場が立ち並んで
そこから荷物を運ぶ踏切のある路地に
オレンジと黄色の屋根のついた ....
{画像=080907104708.jpg}
神社の縁の下は雨宿りの場所で
みんなの隠れ場所だ
賽銭箱の階段の脇から入って
宝物を蜘蛛の巣の奥に隠した
捨て犬も捨て猫も一緒に連れ込んだ
....
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