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地下鉄の駅は眠りについてしまった
私の寝床は遙か東
渋い蜜柑色のタクシーを捕まえ
座席に深く腰掛け ドライバーに行き先を告げた
タクシードライバーは無口
我武者羅にハンドルを握り
曇り ....
きいてね。
きいたこと、あってもね。
うるさいだろうけど、ね。
ねぇ、きいてね。
きいてね。
その耳たぶでね。
もっと奥のほう、
まごころ ....
ずっとのぼっていた
ゆるやかな坂道だった
笑ってはいたが 少しづつ息は苦しかった
歩みはとめなかった
押されているようでとまらなかった
胸はなぜかほんの少しどきどきしていた
薄いベ ....
うまれたときから もっている
だれでも みんなもっている
おおきなたま になるたねを
きみの ちいさなてのなかに
そっとにぎって あたためる
ほんとうに ちいさなこのたまは
すこしずつ ....
『その木は邪魔だから切り落とすの』と
インテリぶった女が斧を振る
総ては解決済み
『雑誌は如何ですか?』と
差し出す薄汚れた手を
インテリぶった男が振り払う
総ては解決済み
いら ....
沸点で淹れた紅茶に
蜂蜜と
生姜の絞り汁
握り拳よ
芯部に響け
きみたちが求める女に
雄々しさはあるのかい
絞め殺したくなるような可憐さ
汚したくなるような透明感
ほんとうは
....
夜中にひとり食パンをかじる
バターをつけないで
ジャムをつけないで
電気もつけない
冷蔵庫の前にしゃがんで
はみはみ
虫みたいに食べる
どこか外国から船に乗せられて
海をこ ....
僕たちは
太陽をかついだ
高く とてつもなく
高いところまで
持ち上げて
その中に入りこんでは笑った
僕たちは
それがいまなのだと信じた
ひたすらに信じながら
じぶんじしんの
中心 ....
悪辣は鋭利な雹のように
容赦なく 人に落ちますので
充分な警戒が必要です
落ち込んだ気持ちは
空高く蒸発し
所々で悔いの塊が犇めき合い
バラバラと割れた
ちぎれ雲になるでしょう
....
家族が寝静まった頃
ぼくらはそれぞれの家を出た
ぼくはミルクチョコレートを持って
きみは水筒に氷と麦茶を詰めて
二人で村田川の護岸に膝を抱えて座った
今日は手を握ろう、と思ってき ....
月曜日
何もする気にならなかった
朝の授業をさぼった
明日の予習を済ませて
午後から散歩に出かけた
音楽を聴きながら
大学の中の公園で
ぼーっとしていた
木立の間を風が流れていた
土 ....
お疲れさま♪
優しく声をかけたいのだけど
つい嫌味な言葉なんかを付け加えてしまう
どうしてなのかな
額に汗かいて努力したのはあなただし
わたしは洗い物とかしながら眺めていただけ
....
浮かんだことを綴る
渇いた笑いが聞こえる
戸惑う でも綴る
自己陶酔 自慰行為
そう?かもしれない
嘘はつきたくない
不器用なりに言葉を発しても
どなたかが聞いて
その方がその方の ....
{画像=110515043203.jpg}
ぼくは夕方の景色が好きだ
建物に夕日が当たって輝き出す
( と直ぐに )
周辺の空気が藍色に染まり出す
( それでもまだ ) ....
打つ手ては一つか
綱渡りか定石か
四方八方 袋のネズミ
いいえ ゲームはこれから
石は見ている
白い帯が待ってる
怪しい酸鼻の予感
吹き溜まりも待ってる
たたら たたら 地をな ....
少し冷たい雨が去り
やけに光った星がある
あなたはもう眠ったかしら
優しさなんかじゃないけれど
ぽおんとほおる この気持ち
できれば届いておくれよと
山吹色にみえている
私のすき ....
きょうび ここらの 界隈で
まともなもんが あるのなら
わたしは そこの よんちょめ あたりを
歩いてみたい ものなのです
ちびた下駄を ひっかけて
からん ころんと 歩くのです
....
青い顔をした老人は
路地裏を杖をついて歩いていた。
どこからか漏れてきた白い蒸気が
路地全体を雨上がりの草叢のように
湿らせている。
白と茶のまだら猫が
前を駆け抜けていった。
人 ....
昔に植えた
自慢の椰子を倒してくれという
七メートルほどあるトックリヤシモドキが四本
これから台風がくれば
隣の駐車場の人様の車の上にいつ倒れるかも知れないのが心配で
風の日はよく眠れないの ....
夜陰に潜む空蝉
気付く者だけが
月を研ぎ澄ませば
金色の刃が孤影を浮かび出す
掌に止まった蝉
月は意地悪く照らし続け
君が鳴いてるんじゃないかと錯覚する
孤独な薄い影を見逃さず
....
朝
小料理屋の前で
ミャアミャア鳴くお前は
「リアル招き猫か!」と
心の中で突っ込んでは惚けてみた
あの凍てつく日から
平日の朝は日課のように
小料理屋の前を守っているんだ
夜 ....
さがしています
わかりやすい たいど
わかりやすい ことば
澤にいたのでしょうか
青筋アゲハが よこぎります
そんなはずはないのに
蝶番のように 澤の景色が見えました
....
110511
金曜日に助けたから
フライデーと名づけられた青年は
ロビンソン・クルーソーの従僕となり
しばらくは一緒に暮らしたという
絵に描いたような仕合 ....
あなたの存在を
あなたの不在によって
より一層実感する
今此処にない腕や声の
あたたかさを
心で抱きしめる
雨の歩道を
黄色いひよこが歩いてた
小さい黄色いひよこと
もっと小さい黄色いひよこ
黄色いかっぱ着て
黄色い傘もって
とことこ とことこ
最後にゆくのは おとうさんかな
半歩離 ....
日々
パズルのピースはかわっていく
何が昨日とちがうか
気づくこともなく
うつっていく
定められた正しさのもとで
裁かれて
選別されて
つぐなうつもりで傷をつけあい ....
君はどこの子?オマケの子
子にオマケは無いンじゃない
だって ついて来たンだもん
今夜のお味噌の具の中に
八百屋でカブを買ったのさ
薄明かりのキッチンで
慌ててピョコッと隠れて ....
赤い軌道をひとり歩き
真っ直ぐに日は照り
真っ直ぐに日は沈む
何故 そんなに真っ直ぐな道を進むの?
何故 ひたすらに真っ直ぐ貫くの?
何故 規則正しく礼儀良くするの?
疲れないかな ....
AといえばA
されど
BといえばB
胸が痛いのに
胸のありかがわからなくて
ところどころに穴のあいた
記憶の袋をさがす
堪忍袋が破れても縫え
破れても縫え
そう書かれたお寺の黒板
ながめてあきれてた
制服の私
....
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