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ながい柵があり
(たとえばそれは
夜だったり朝だったり
場所だったり人だったり
あるいは思想だったりするけれども)
ともかくながい柵があり
内側というのは
どちらですか
檻 ....
祈ってあげてください。
とつぜん、そんなメールをもらった。
かれが重篤だという。
かれは もう ひとりの みちを あるいている…
かれのことを、詩友といっていいかどうかわからない。
....
傾きかけた夕日に
静かに染められていく放課後の教室
たわむれあそぶ影法師たち
その風景からひとりひとりを
輪郭にそって丁寧にきりとり
ノートに貼り付けていく
ふるえる手で
間隔が
....
いたずらな風にでも煽られたのか
薄桃色の世界が一瞬目の前にひろがった
※
男のひとは女性の下着に恋するものらしい
くしゃっとした
小さな布切れなのにね
でもそれは男の ....
雪よりも白い糸が
どこまでも続く
途絶えぬ筆記体の線が
サインは何処までも
{ルビ終焉=おわり}を知らない
時々刻々のように流れていく
どんなに流れても
忘れない
君の ....
そこに生きているひとがいる
ベストを尽くそうとしているひとがいる
最悪を想定しながら
未来を信じて
そこに生きているひとがいる
俺はひとつになりたいだけだ
ひと ....
僕は僕に必要なものを探して夜の帳の向こうへ旅立ったのだ。
冬山の上の祠にしゃがんでいると、尻の底から冷えてしまったが、
震えているのは僕だけではない、町にちりばめられたフォトンたちもだった。
神 ....
<種類別> アイスクリーム(自称)
<体脂肪> 22.0 %以上
<内臓脂肪> そこそこ
<原材料名>
怠惰、臆病、猫背、妄想、未練
安定剤(貧乏ゆすり)、乳化剤(溜息)
....
寄る辺なく
君を想うことなかれ
寄る辺なく
君に恋することなかれ
朝露零れて
透いた柔肌の朝顔
吐息に揉まれし
けふ
文月小暑
忘れがたき
夕でるまでの
....
毎日ぼくは、琵琶湖の水を飲んでいる。
といっても、湖水を掬って飲んでいるわけではない。
琵琶湖の水は、瀬田川から宇治川へ、そして淀川となって大阪湾に流れ込んでいる。その途中で取水され浄化されたもの ....
負け犬は社会からはじき出されて
今日も部屋に籠って
「芸術」という免罪符を貼った
自慰行為に走る
そうやって世間に
ひそかに楯突くことしかできず
負けを認めずに空威張り
それが ....
視認性に欠ける水色は、ひたすら直進する境界線の色。どこかに背びれを伸ばすわたしに、そのどちらにも泳げない六番目のセンスがこみあげる。周期表(periodic table)の薄い領域。
いずれは呼 ....
道を歩くと つい最近まで、卯の花や すいかづらの匂いがしていたけれど、季節は進み 香の蒸散するスピードも早くなり、このごろでは すっかり緑の陰ばかり探してしまいます。神社の石段下っていると 眼下に鳥居 ....
草の実は、苦くて酸っぱい。
子供の頃から、虫は好きだった。
うつむく生活を続けていたら、とうとう草むらの中に、顔を突っ込んでしまった。
緑色の空気がいっぱいだ。これで虫になれるかもしれない。そう ....
出棺を待つ君は安らかな表情で
首筋にあるべき索状痕は目立たぬよう化粧を施され
凄惨な最期を遂げたようには見えなかった
呼びかければ目を覚ますのではとか
冗談が過ぎたかな
頭を掻きながら棺 ....
燃え{ルビ滾=たぎ}る汽車が
青白い草原の海を駆け抜ける
焼き切れぬ想いを馳せた
米粒ほどの露の身を乗せ
今日も間引くことなく 汽車が走る
私達では この手で{ルビ掬=すく}えなく
....
夏、炎天下
デブ、はしる
すごい 勢いで
デブ、はしる
デブ、汗、噴き出る
すごい量の
デブ、汗、噴き出る
デブ、汗、飛び散らせる
通りすがりの人全部に
デブ、汗、飛び散 ....
扉のチェーンをかけなかった。
それが、せめてもの優しさだった。
茶色が包みはじめて
白い花びらが消えていく
蜜を求める蜂は
終わった
折れた風に
立ち続ける 緑
枯れていく事が結実なら
すいあげられてしまおう
顔に傷が出来たなら
部分仮面で隠さなければ。
抱える傷が広がったなら
部分仮面を大きくしましょう。
顔が傷しかなくなったなら
部分仮面はただの仮面。
仮面が自然になりすぎた ....
あ、義父さん
ハンカチを一枚お借りします
+ + +
初めて会うひとはわたしのすべてを見透かしたあとに
無学なバイトの若造が生活(いちにんまえ)を語るのかと息巻きながらも
そ ....
{画像=110709105543.jpg}
金魚鉢のそれのように、
一つの世界がそこで完結するとすると、
地球が再現され、
宇宙が再現され、
ついに発生する突然変異に、
ビオトープ ....
高層ビル群の彼方に
鮮やかな青と緑を
見ようとしてしまう旅
虫食いだらけの想い出を
あまりにも流暢に
語ろうとしてしまう旅
すれ違いざまに香った懐かしさに
誰かの後姿を
追 ....
夏の うてな
カーテンから光がもれていて
うごいている ほこりを 照らして きれいだ
光は直線だけど まっすぐなだけではね
いつまでも 寝てないで ぎょうずいでもしんさい
....
青い波間に漂う
コバルト・ブルーのきらめき
画用紙に彩られた海は今でも
烈日を待ち焦がれている
*
雨の日は部屋の中でひとりきり
孤独を思う存分楽しもう
外国の歌手が歌う
レコ ....
暑中お見舞い申し上げます。 たま
地下鉄
地下鉄はまっすぐ走るものだと思っていた
車体が傾いてとなりの女の顔が急に近づいた
ね、 複雑でしょ・・
耳元の吐息はいつも体 ....
カタカタと鳴る
眠れない夜の四脚の貧乏ゆすり
床に喧嘩売って
チクチクと唸る
眠れない夜の二針の歯痛
壁にドリル打ちこんで
ザワザワと嘆く
眠れない夜のこんにゃく ....
わたしのなまえは ゆきえです
わたしは夏にうまれた ゆきえです
夏にうまれたのに ゆきえなのです
幸せと言う字に 恵まれたと書きます
わたしの半分は 冬にある
そんなことを ....
学生のころ帰省の旅費を稼ぐため、廃材の釘抜きのアルバイトをしたことがある。
真夏の炎天下で一日中、バールやペンチを使って材木の釘を抜く。ただそれだけの単調な作業だった。
毎日、早稲田から荒川行 ....
通称 スイカ畑 という林檎畑がある
父が子供じぶん スイカを作っていた畑で
祖父母が買い求めた時は 杉林だった
杉の木を一本 一本 切り倒して畑にして
すぐに収入に結びつく スイカを作っていた ....
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