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少しだけ悲しいお話をしたあとに
あなたは
少しだけきれいになったようでした

まるでいいことばかりじゃない
そんな嘆きを語っていたわけではなくて
これから先のことをからめて
あなたは
 ....
手のひらを日傘にして
眩しそうにする

あなたの顔の半分は照れている
隙間という隙間から
光は影を埋めようと入り込む

もうちょっとと思える瞬間が好き

たとえば少し困らせて
泳い ....
ここに花が咲いているとして

その花を咲かせたのは
あなたでした

思い浮かべることで
薄れてしまう色があることを知っている
あなたは現実に咲かせようと
いくつかのきれいな ....
君はとろけるくらいの未熟さで
むきだしな僕を包んでくれる

その優しい色は
あざやかでなめらかな感触
デミグラスソースの中に沈みそうになっても
小さな浮島のように寄り添って
深い味を奏で ....
はずむように近づいてくる
あなたの息は白くない

コートは着てこなかったよ
と言って肩をすくめる姿は
想像よりも少し小さく見える

はじめましてとはじめましてがぶつかって
どういたしま ....
耳元で
指に巻かれた髪が
音もなくほどかれるとき

少しの沈黙が欲しくても

あなたは
何事もなかったように話をつづけて
僕は
一語を味わうゆとりもなくて

また
その髪が
 ....
静寂が満ちるのを待つ

あなたは
広げた想像の張力に身をゆだねて
空を映す水面に静かに浮いている

手のひらをつぼみにして
ゆっくりとふくらませるとき
わずかな空間の揺らぎが
水中を ....
その女の人は、ずいぶんと寡黙な人で
その寡黙さが
しきりに語りかけてくるのを
熱心に聞いていた

薄い手のひらでくるまれた
さらに繊細な指先は
紙袋のひもに引き伸ばされて
青く静止して ....
感情の糸をわたる指先は
安いヴァイオリンのように響いて
逆立つ髪を宥めれば
傾いた首の方へ流れてゆく


(鼓膜を抜けて届いた先には
 やわらかいあなたがまるまっている)


明滅 ....
天気のいい日はたまらない

家からは出ない
窓も開けない

 (つらいのだ)

去年の夏は猛暑で
「来年の花粉はひどいでしょうね」と
誰かが言っていた


   *


 ....
終電に嫌われて千鳥足
出会いと別れにくたびれてしまった

気がつけばタクシーの中
行く先を告げた記憶もない、運転手は
灰色の髪を暗がりに染めている

「20世紀横丁です」

見慣れな ....
何もかも傾いている
時間にもたれかかっている

不安なのだ

矢印を明日に向け
地に足をつけば斜めになる

上り坂の頂上に
日が昇るのを待ち

やがて

ビルとビルの間から
 ....
右手を軽く握って手首を曲げます
そしてそのまま右耳のそばへ

もしできるなら
左足で首のつけねを掻いてみましょう
気持ちいいです

陽だまりでぐてーっとなって
幸せそうな表情を浮かべま ....
指先でつまんで
そのあとどうするの?

まさか捨てたりしないよね

脇役は最後まで残っても
結局脇役で
だけどその場面を彩るのには必要なんだ

パセリ
緑色のアクセント

僕が ....
呼び鈴が鳴る
お届けものです、と言っている

(僕はおりません)
(僕はここにおりません)

あきらめて走り去ったあと
郵便受けの不在通知をつかんで
電話する

何時頃いらっしゃい ....
重たい言葉を呟きながら
折った鶴はくずれた格好でいました
尾なのか頭なのかわからない二本のツノは
怒っていました

指がふるえて
上手に折れないのですから仕方ありません
せめて寂しくない ....
あっちむいてほいっ!
得意げに君はいう

あっちむいてほいっ!
また僕の負けだ

いつだって
君の指さす方向が気になる

あっちむいてほいっ!
たまには僕の指先を見てよ

あっ ....
空き缶を蹴飛ばしたら、僕だった
残っていた中身が飛び散った、僕だった
野良犬が怒り狂って追ってきた、僕だった


慌てて電柱によじのぼって見回した


空き缶は車に潰されてぺちゃんこで ....
   1

通りかかったカマキリに
僕以外の卵は食べられた
奇跡的なこの誕生を
誰が祝ってくれただろう

   2

ある日道路を這っていたら
目の前で仲間が鳥に食べられた
姿か ....
薄くなってきたと言われないよう葉っぱを増やす

本気で光合成にチャレンジする

見つめられても赤くならない

暖かくなるまで耐える

3センチくらい伸びる

病気を治す

仲間 ....
「 」が欲しい

「 」がすべてだ

あぁ 僕には

「 」が足りない

もっともっと

「 」で埋め尽くされたい

でも

「 」って何だろう

しばらく考えて

 ....
体中の細胞がいっぺんにしゃべりだしたら
そんな素晴らしい詩はない

分裂を繰り返しながら受け継がれるのは僕だ
どこかで乾燥して剥がれ落ちるのも僕だ

みんなも感じているのだろうか
恐 ....
君色に染まりたくて
カメレオンになったのに

とんだ予想違い

そこかしこの風景に同化して
君はちっとも見つけてくれない
僕はブーメランを期待して
君にくさいセリフを言ったのだけど

ちっとも返事が返ってこない

心配して見に行ったら

しまった
君はイチコロでまいっていたらしい
僕の家には絵の具がない

だから
絵を描きたくなったら
煙草の灰を水でとかす

その色は黒ではなく
少し茶色がかっていて
乾くほどに色を変え
ほのかな光沢をおびてゆく

筆を使わ ....
千月 話子さんのベンジャミンさんおすすめリスト(55)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
少しだけ悲しいお話をしたあとに- ベンジャ ...自由詩31*05-4-3
木漏れ日- ベンジャ ...自由詩405-3-31
美しさ- ベンジャ ...自由詩7*05-3-29
オムライスな関係- ベンジャ ...自由詩13*05-3-26
そうやって春は来た- ベンジャ ...自由詩1305-3-14
ほどかれた髪- ベンジャ ...未詩・独白605-3-9
睡蓮- ベンジャ ...自由詩3805-3-7
今日、電車の中で思いついた言い訳- ベンジャ ...自由詩9*05-3-5
慟哭- ベンジャ ...自由詩16*05-3-2
花粉症- ベンジャ ...自由詩8*05-3-1
20世紀横丁- ベンジャ ...自由詩6*05-2-19
垂直になる- ベンジャ ...自由詩14*05-2-18
2月2日_猫の日?- ベンジャ ...自由詩7*05-2-2
パセリ- ベンジャ ...自由詩11*05-1-31
不在通知- ベンジャ ...自由詩5*05-1-25
折り紙- ベンジャ ...自由詩9*05-1-23
あっちむいてほいっ!- ベンジャ ...自由詩4*05-1-20
僕だった- ベンジャ ...自由詩13*05-1-11
チョウになる- ベンジャ ...自由詩9*05-1-5
ベンジャミンの今年の目標- ベンジャ ...自由詩12*05-1-1
「_」が足りない- ベンジャ ...自由詩7*04-12-30
細胞たち- ベンジャ ...自由詩8*04-12-30
カメレオン- ベンジャ ...自由詩4*04-12-24
ブーメラン- ベンジャ ...自由詩13*04-12-23
灰画- ベンジャ ...未詩・独白6*04-12-15

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