チョウになる
ベンジャミン

   1

通りかかったカマキリに
僕以外の卵は食べられた
奇跡的なこの誕生を
誰が祝ってくれただろう

   2

ある日道路を這っていたら
目の前で仲間が鳥に食べられた
姿かたちは一緒なのに
僕を選ばなかった理由は何だろう

   3

さなぎの殻を脱ぎ捨てたとき
隣りの仲間の殻には小さな穴があいていた
僕は自分の体を見回して
どこにも穴が無いことを確認した

   4

伸びきった羽で飛べることは
生まれる前から知っていた
だけど自分がどれほど美しいかは
誰も教えてくれなかった

甘い匂いに誘われて
おいしい蜜を吸い上げる僕
葉っぱの中に潜んで
おいしそうな目で見つめるカマキリ

大きなカマにはさまれた僕は
どんなに哀れで美しいだろう


最後には、きれいな羽が残るのだ








自由詩 チョウになる Copyright ベンジャミン 2005-01-05 14:30:00
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