慟哭
ベンジャミン

感情の糸をわたる指先は
安いヴァイオリンのように響いて
逆立つ髪を宥めれば
傾いた首の方へ流れてゆく


(鼓膜を抜けて届いた先には
 やわらかいあなたがまるまっている)


明滅する記憶のダイオードは
わずかな波にも反応して
それが音であることを知らせるために
鼓動を速める
けれど
それを伝えるほどの声は残っていない

あなたは

静寂を切り裂いて飛び交う
いくつかの断片

それが


言葉でないことに泣いている











自由詩 慟哭 Copyright ベンジャミン 2005-03-02 13:44:47
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