すべてのおすすめ
でもね
ショッカーにもママがいるのよ
って教えてくれた
幼稚園のさゆり先生が
交通事故でびっこになってしまったと
ママが教えてくれた
ボーイフレンドのバイクで事故ったのだ
ランドセル ....
鎌倉に住む私は
古びた寺の庭園の水の滴で岩を掘る
{ルビ水琴窟=すいきんくつ}の{ルビ音=ね}を忘れ
日々グレーのスーツに身をまとい
コンクリートの街並みに染まる石像群の一人として
朝の川の ....
咳がひとつ
窓を抜けて
枯草のなかに逃げた
草むらには
どうやら微熱の欠片が
カマキリの卵のように固まって
冬をやり過ごそうとしているらしい
わたしは昨夜見た夢を覚えていない
....
パレード。パラーデ。歩いているものを集めて、ただそれだけのこと。川のような世界で、素数のようにひとりぼっち。2、3、5、7、11、とそこまで数えたときは、最盛期たる朝。いっそのこと、きみは世界をよく見 ....
生まれたことを
ふだんから考えているかわからないで
生まれたことにささる月影がきれいで
わたしはここにいました
犬が吠えていて
寒くて
でも
少しずつ
結晶になる世界
お母さ ....
年が明けてから まだ太陽を見ていない
外には{ルビ只=ただ} 冷たい雨音
静かで薄暗い正月
朝
神棚に手を合わせたら
{ルビ揃=そろ}えた足元の床がへこんでいた
町では偽 ....
喪中はがきのイラストに
スズランの写真をのせてみる
あの人は 花が好きだった
だから もう
それでいいよと親がいう
何十年払い続けた
「年金」を
あともう少しで受け取れるというときに ....
1.
かみさまはいるよ、
って
教えてくれた人は
もうすぐ死んでゆく人だったけど
それは黙っておいた
だって、あいしてるんだ
2.
きのう、かみさまを見か ....
言葉を紡いでいる人がいるという
言葉の繊維を解きほぐし
紙にしたり
糸にして布にしたりしてから
その上に文字というものを書くのだという
最近は、
言葉が不足しているから
誤解 ....
白い空を数年振りに見た
忘れ去っていた朝の風景
身体の中の狂った時計のネジを巻く
鏡の中の自分の顔に化粧する
少しずつ笑うことと泣くことが同化してゆく
欠けたものは戻らない
せめて偽ること ....
雨や 雪や
青のこども
葉のうら ひたい
金のふるえ
さしのべられた
指のかたち
空の穂になる
うたごえになる
やわらかな
ざわめきの四角
とじこめた色 ....
ロゼ色の粉雪が
空の綻びから滑り落ちて
西の空が焼ける
煤が{ルビ誘=いざな}き、招いた夜の帳が
ふと 頬にかかり
謎を銜えた豹の吐息が 、右目を掠める
指先で散る、線香花火
黒 ....
ただひとつの意味でだけ
朝であればそれでいい
女は、暗がりから
チチチチチ、が発されるのを待っている
さあ、と
鳥が開かれるのを、鳥が始まるのを
待っている
....
糸のほつれた万華鏡が
壊れかけながら空へ昇り
鳥に追われる鳥を隠した
ふるえつづけるふたつのものが
失いながら抱きあいながら
空を光にもどしてゆく
青と金は ....
ヘッドライトを浴びて踊る雪は
しだいに密度を増して
行く手の視界が遮られる
海岸添いのゆるやかなカーブが
永遠に終わらないという錯覚
私たちは
どこへ ....
(今日の日付をつぶやく)
灯台の未来
石段の螺旋をおりていく
水平線はかすかに騒めき湾曲している唇だ
防波堤を渡り
砂浜へと呼吸を滑らせる
ヨットの帆は風に膨らみ
反転した星のように ....
皮膚という薄皮の中に
なまあたたかい
生がある
そう思いこんでいる
骨にまとわりつく体を
巡っていく流れに
生がある
そう思いこんでいる
あなたとつない ....
鬼のいない鬼ごっこを
弟と久しぶりにした
記憶の中ではまだ
幼いはずだった足音が
いつの間にか大きくなっていて
少し誇らしげだった
何も追いかける必要など無かったのに
大勢の人の ....
おまえがほんとうのことを口走る度に
鳥の翼から羽毛がぬけ落ちる
世界はやせ細り 目に見えるものすべてが
絵に描かれたものとして溶けてゆく
たとえば可哀相な妹が
人に知られぬ速度で後退する時
....
中指から先に
地に付け 飛び立ち
光を
奪うように吸う
ひとつの緑
とどろく緑
水滴の世界に
隣り合う水滴
手に余るものはこぼれ
いつのまにか芽吹き ....
鏡に映す)顔が白く仄めく
朝日の刻々と刻む音に
変容する影
どうしてか かなしくなる
私という生きものは、。
例えば(いけないかしら躍るように)、
昨日買った手鏡が、
私を映すという ....
昨夜が溢れてしまって
まだ所々
ぬれている床
こけのむすまで と歌うきみは
君の代わりにと
あかい手で雑巾をしぼり
はなびらの舞う冬の景色に
ほおった
あしあとをくずして
きみの ....
秋になっても
ずっと忘れそびれていた少年を
冬へ、冬へと
ぽろぽろ棄てるころ
秋だったのに
冬へ、冬へと
粗樫の木から少年の証拠が
呆気なく消えるころ
....
{引用=
あなたはぼくの気を惹こうとして群を離れて走って行き遠くの森でシ
ロツメクサを摘んでいた。真冬の空はいつになくお天気で大好きな太
陽がやさしく輝きいじわるな風さえも心地よい歌となってぼく ....
前へ どこまでも進むのが
希望の原理です
その道は きみ自身の
背中の扉まで つづいているから
いまは ふりかえるな
”ホウ”と呼ばれ
クローバーのしげみ、
緑が刺さって降った。
波が寄すごと夜が訪れ
オモネリ
またたきを繰り返す
白と黒の鍵盤を雫が離した
空は破れ
梯子ばかり
海へと下 ....
質に入れたはずの女房が
ある日ひょっこり帰ってきた
質流れでもしたのだろうか
おかえりというと
ただいまもいわず
お茶だけ
のひとことで
台所に立ちお湯をわかしはじめる
そのうしろすが ....
青空が濃くなってきた
空がやってきたのだ
鴉が去って
太陽がやってきて
のんきにお手玉をしている
単調に繰り返すのを
家の子達はいつまでも見ている
目玉が焦げるといっても
信用して ....
此処は昔風でそれでいて未来的な
実験城砦
此処に居て僕のすることは
純粋であり続けること
その純粋を自ら頑なに
裁き続けること
此処には僕の他誰も居ない
そして僕はほとんどの時を
....
薄荷煙草の火も消さぬうちに
十二月が階段を上ってきた
(マフラーの準備をしなければ冬は来ない)
身勝手な先送りを
誰か聞き届けるはずもなく
暦の挿し絵は 赤 緑 白
聖 ....
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