すべてのおすすめ
漏れた水分で腐りゆく木材のように
人間が腐っていく
そう思いながら
腐り続けている
ぐるぐるとまわる原色の世界で
縄文杉
みたいだけど違う
腐りかけた根元に横たわって
じめじめとした地 ....
灰色のビルの群れから
女ひとり
逃げ出してきた
太陽の汗が溶け落ちる海に
腫れ上がった{ルビ踝=きびす}を浸すため
白砂に埋もれて眠るため
痩せた身体に疲れた眸
躊躇わずに飛び込んだ ....
中学は十時半消灯で
どきどきしながらラジオを聴いた
ラジオは抜き打ちでよく没収された
そのたび新しいのを買った
イヤホンからもれるのが怖くて
布団をかぶった、秋だった
風の中のミィ
押し潰されそうな
小さな体を
必死に支える
可憐な笑顔
憶えているかな
丸く小さな影
ただ泣いていた
小学校の下駄箱を
風の中のミィ
一瞬でアイド ....
090504
なつはきぬ
木綿では叱られます
正確には
木綿では嫌われます
そんなこと言って笑わせる人が居て
昔芸者だったとか
おめかけさん ....
私の小鳥が死んだ
何度か獣医さんに診てもらったりしたけど
これが胸騒ぎなのだろうか
部屋の錠を開けるのももどかしく逆光に沈む鳥かごへ駆け寄れば
初夏の陽射しのなかで彼は小さな亡骸と化していた
....
引っ掛かってしまった
ファスナー。
みたいな、恋愛ばかり繰り返して。
向き合わなければいけないものを無視してる。
欲しいのは、快楽ではな ....
どこから始めようかと
腰に手を当てて考える
片付かない過去と
まだ空っぽの未来
どうにでもなる
なんとでもなる
自分のことは自分で決める
汚れた顔を拭いながらでも
例えば犬や猫みたいに
せめて小さい頃の姿が
あいくるしいものだったら
愛することを知れたのに
愛されることを知れたのに
子供のころから
ずうっと考えていたこと
あたし本当は
毒なん ....
それは
よぢれ
絡み合う
ほどこうとすれば
古い糸のように
切れてしまう
世界を前にした
私 という
存在の脆弱
糸のように
世界とつながる
糸のように
世界から孤立する
{引用=
(海、について
わたしが書こうとすると決まって
おとうさん、おかあさん、砂、星、アーシュリー、を書くことになる。)}
アーシュリー、
わたしがにぎる手綱からするりとぬけだし、
....
浅蜊はすこやかにねむりにつき、ねむりのまに砂利を吐く。貝殻の
すきまから漏れるいくつものため息は、ぷからぷからと、海の中に
漂うもやになる。しろく、しろく覆われた先から、目をそらしつづ
けていれ ....
雨音に紛れ、扉が僅かに軋んだように思えた。
母親がこまめに掃除しているのだろう。
微かな埃と日向の匂いがする。
雨粒。雲を縫うこどもたちの声。坂道を駆ける軽い足音が風に乗り、ガラス戸を揺らす。
....
090426
くじ運が悪い
クジを引く度に思う
どうせ当たらないのだ
すべての運は生まれるまでに使い果たしたのだと
思うことにしているが
....
一針
また一針
言葉の
日向と日陰を
縫い合わせる
一針
また一針
自分の
頂点と底辺を
縫い合わせる
ときどき痛くて
たびたびくすぐったくて
ちょくちょく嘘で
....
思うから現れるのです
幻視であれ
見てしまうから
桜の木の下には
死体が埋まっているというその桜は
いつも必ず満開の桜でしょう
だからあんなに
山ざくら里ざくら
一重も八重も
....
母へと語られる
おもいは
いつもことば少なで
ずいぶんと幼い頃
学校へ行きたがらなかったわたしを
ぴしゃりとしかりつけた
あなたの手のひら
たった一度
手を上げたのはその一度
....
告げれば赦されない
雨がまだ止まない
わたしは
わたしのために生まれてきたのだと
抜かせばづうづうしい
ならば
人のために尽せているのかと
問う
答えはいつも二通り
....
綺麗ごとが染みに見えてしまうのならば
綺麗なもので世界中を埋め尽くせばいい
それが当たり前になるように
両手を広げられることを
抱きしめるべきものがあることを
美しいものを認めるこ ....
震源地も定かではない
取るに足らない心の揺らぎを
マイナス思考回路で増幅させ
大津波が来ると身体じゅうに触れ回る
さっそく駆け出していく
おっちょこちょいの鼓動と呼吸
長期休暇をと ....
夕暮れ
橙
さびしんぼう
だあれもいない公園で
影踏み
かけっこ
かくれんぼう
風といっしょに遊ぼうよ
いつも泣いてる
あの子とふたり
遊びにおいで
またおいで
....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした
水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
彗星は氷の塊だと教わりました
ゆんゆんと楽しげに
春風はすぎてゆきます
りんりんとさかしげに
春の日がおちてきます
春風は単に空気の移動な ....
角砂糖をひとつ
昨日の夕焼けに落とした
レモンだけじゃ
辛すぎるかもしれないし
ただなんとなく
作り笑いをひとつ
一昨日の捨て台詞に添えた
当って砕けただけじゃ
苦すぎるかもし ....
ヨークベニマルはいい所だ
昼には良いものがたくさん売っているし
にんじんじゃがいもたまねぎ99円だし
夜には
昼に手が出ないものが安くなっているし
駐車場には心地よいBGMが流れてるし
み ....
やわらかに色紙の花園で
子猫が蝶々を追って駆けて行く
{ルビ淡紅色=ときいろ}の薫りを放つ花たちは
自慢の花びらを踊らせることにいそがしく
まるでそれは雨のように降りしきり
この花園を埋め尽 ....
浅黒い空に陰鬱な虫が踊る、太陽の時間に間に合わなかった雨上がり、そこの破れた靴の中はもうすでに踏みつけた水たまりの記憶で一杯で…アスファルトの上で腐葉土を踏みしめているような違 ....
花びらひとつに夢ひとつ
風に吹かれて流されて
花びらひとつに愛ひとつ
あなたに届けと願います
すらりと伸びたスイセンの
葉っぱが風になびいてタクトを振れば
ラッパが奏でる愛の歌
....
人当たりの良い夜風に浮かれて
ゆうらり裏道をそぞろ歩く
コンクリートの余白から湧き上がる
若すぎる命のにおいに
甘い吐き気をもよおしながらも
どこにも辿り着けない足取りで
高層ビルを迂 ....
滲んだ太陽に
土手までのびた茜色
わたしたちは 何に染められたんだろう
もしも、の空を眺めていた
鏡みたいに、
あるいは透明な
空は、夕暮れ
おしげもなく跳ねる、金魚にま ....
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