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たとえば君が
太陽や月でなくとも
シリウスようなきらめきで
夜空に祝福を与えてくれる
たとえば君が
笑顔を失ったとしても
僕がお道化になって
気付かれないように
君の元へ駈けつけよ ....
いつまでも
どこまでも
離れてゆく
その手と
この手
遠い
そのふたつのへだたりに
風が流れる
水に
浸されたゆびに
からむ水草
きらめく陽射し
ふたつのへだたりに ....
とろりとろりと
日が暮れて
お社の石灯篭の暗い影
僕の背丈より
いつの間にか長い
鬱蒼と生い茂る鎮守の森
空にはねぐらに帰ってきた鴉の
黒く騒がしい群れ
忍び寄る夕闇せかされて
....
駄菓子屋の側に置かれた自動販売機は
存在を知ったときからもうおんぼろで
お金を入れてボタンを押しても
蹴っても叩いても何も出てこなかった
お店を切り盛りしていた女主人は
存在を知った ....
足もとのカラスは飛び去らなかった
朝のホテル街をふたりで歩いた
いいのに、でも、ありがとう、
女を駅まで送っていた
ぼくらはたとえ話のなかを生きている
これは、なにか ....
丸い鈴の葉と
赤いリボンを生やした大きなポプラの木に
いつからかカメレオンが一匹棲みついた
僕はいつもプロペラ飛行機の窓や
鉄格子の向こうからそれを見ていた
彼はとても臆病な ....
六十八年まえのある日
ぼくらの先輩は
ハワイに奇襲攻撃を仕掛けた
それが実は傍受され
逆に仕掛けられたものであったとしても
十二の空を蒼天と呼ぶ
司令長官の激烈な真 ....
世の限りにおいて
たとえこの身を呪えども如何に他者を呪うことなどできようか
永遠の屹立 その美しさよ
愛はただそこにあるもの
その眼差しの重さよ 疑う由もなく
この身がやかれ灰になったと ....
お肌の水分量を測定する機械で
琵琶湖の水分量を測定する事は可能か
その疑念を頭から消し去れぬまま
私は仙人になって山奥に入って来た
お肌の水分量を測定する機械で
琵琶湖の水分量を測定する事は ....
尺八教室だらけの町角に
篳篥吹きの俺はたたずみ
懐中に残る金高を数えて
明日からの暮らしを慮った
パンティーストッキングは本当にすばらしいなあ!
パンティーストッキングは本当にあたたかいなあ!
うわごとのように繰り返す君はもう駄目なんだね
白い病室のベッドに縛り付けられた君はもう駄目なんだね ....
うすももいろの{ルビ襦袢=じゅばん}の
冬に{ルビ纏=まと}えば
きぬの{ルビ温=ぬく}さ
衿をくいと抜き
腰ひもをきゅうと締める
そのうえに伊達〆をきゅうと締める
足元に着やすく ....
富士山麓の天然水を飲んだ後
私の体内で生成されたる尿を
君は汚水と言い張るつもりかね
そんな事を言ったら逮捕されるから
私は絶対に言いやしないけれどね
でも君は実際のところどう思う
汚水な ....
くたびれた顔でうつむき
若さが足りないと呟く君の
その横顔に7歳と書いてあげたら
恥ずかしそうにはにかんだ君に
何か鈍器のような物で殴打された
雪男を捕獲したいと思う人は
雪の中に大勢の男を放って
思う存分捕まえれば良いと思う
平坦な道をとぼとぼ歩いていくことが
いつしか当たり前になっていて
地図にない道を通ろうとすることを
鼻で笑うことが多くなった
冗談を言うつもりはさらさらない
仮にそうであったとしても
....
今夜の月が黄色なら
綺麗に身支度を整えて
遠くに旅へ
小さな奇跡が
起きますように
ピアノのラの音を頂戴
たくさんの荷物は要らないの
そう
好きな音楽だけでいいかも
思い出なんて ....
尺取り虫のような動きの君は見たくないから
僕は金輪際君にそういう体操を強いたりはしない
僕らの関係はもっと健全であるべきだから
僕は金輪際君にそういう体操を強いたりはしない
それだけわかってく ....
子供達が非常に嬉しそうなクリスマス
恋人たちが非常に楽しそうなクリスマス
彼らの喜ぶ顔が見たいから
私は今日も七面鳥を殺して返り血を浴びる
拭っても拭っても血の匂いが取れないんです
奥さん ....
わたしのいない
裏庭に
あなたはたたずみ
目をふせている
どうしようもなく
空は青く
植えた梅が
白く 一輪、
いのりは光によみがえり
幽かにささやく
くちびるは繰り返す
け ....
黒い河の向こうを
電車の明かりが渡ってゆく
あと6時間もすれば
この街は放射冷却で煙れるだろう
置き去りにしたのは
ぼくの心、それともきみの心のほうなのか
あの電車 ....
どこかの焚き火のにおいも
さらさらの空気も
柿いろの空も
鈴虫のこえも
うすぐらい街灯も
踏切の音も
車のヘッドライトも
後ろを歩くカップルも
いまならみんな
愛せる気がする
....
希望は与えられている
悲しみは与えられている
ショパンを練習している
テンポの変わるところが
音がほどけてしまってながれない
おなじところで音もわれる
灰色の街で
....
風が吹いて
君とのキスが水面に広がる
君とのキスは甘い
甘さの芯を追いかけると
ぼくは一本の線になってしまう
このまま消えてしまいたい
....
ペンネが路上に転がっている
曇天の下無数の人差し指がペンネをいじくっている
塗炭ばりの工場の前で独楽を回す少年
しまい忘れた風鈴が金平糖のような音を立てている
少年は緑色の独楽を得意げに空中に ....
大阪を発ち東京に向かっていた
車窓の闇のせいで
一瞬夜のような錯覚を覚える
これは朝の暗さなのだ
車内の匂いがまだ人間に撹拌されていない
車内の明かりの鮮度に目がなれてゆく
車窓の ....
好きなものを嫌いになろうとしながら
他に脱出法がないのかと考えてみる
しかしあくまでそれに固執することで
鎖が外れるのではという可能性も信じている
損得勘定に身を委ねてみたいのに
犯人が残し ....
めにみえないほど
ちいさなつぶだったのに
かぜにふかれて
まいあがるきりゅうにみちびかれて
のぼっていくと
だんだんなかまがあつまって
いつのまにか
かたまりになり
とてもたかいところ ....
太陽が僕を灼いて
遠くの世界歪ませた
水槽が君を囲んで
遠くの世界絵に変えた
僕は君の水槽に飛び込んで
濡れたまま手を繋ぎたい
熱い太陽に灼かれながら
水浸し ....
ありふれたおはなしが
ささやかに座っています
テーブルの上
紅茶が入ったカップの横
読みかけのおはなしは
トコトコ歩きます
誰かの声をとおって
誰かの頭の中へ
沈黙を守って
....
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