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淡い夢をみる夜がある
夏休み庭に植えたブーゲンビリアに
いつの間にか背丈を追い越され
生い茂る葉がどれだけ季節を重ねても
記憶は夏しか残らなかった
 ....
女の面影や身体の柔らかさのことを
夜道を歩きながらぼんやりと思い出そうとしていた

半月に照らされた王都の白い石畳が
南島の短い冬に冷えていた

(あれは、まぼろしではなかったのか)

 ....
あなたが送ってくれた手紙を読みながら
まだ一度も会ったことのない
あなたの笑顔をかんがえる

そういうときの私は
太陽に向かってノーテンキに咲いている
この島のハイビスカスなのです
(月を黒い種に、太陽を色彩の影のない輝きの雨にして)

ほんのりと甘い、果物の匂いがした
乾いた風が吹く緑の丘の上から
眼下に広がる果樹園を見下ろす
頭上の雲から誰かに見張られていて
けれ ....
あなたの頭蓋骨を、かき抱く
この胸に熱く
柔らかな髪に包まれた後頭骨に
私の上腕骨を回して
冷たい額の向こうの前頭骨に、頬骨を寄せる
あなたが考えていることが、私の心に伝わってくる
 ....
天空の青はただ、孤独のいろ

神秘の源泉より切り出された青い石は

月の砂漠を揺られ、世界を支える山脈に沈む夕陽を眺め、

地中海を越え、さらに遠い国々に運ばれるためにある

 ....
新しいドアの前に辿り着いて

ノブを回してドアを開ける

中に入ってからばたりとドアを閉める

今入ってきた場所と薄いドアの一枚で遠く隔てられた世界

ドアのこちら側でしばらく立ち止ま ....
新月の深い闇夜はいつも
晩夏の有明海を思い出す


まだ19歳のひとり旅だった

熊本長洲港から最終間際の有明フェリーに乗船し
対岸の長崎国見の多比良港に渡った

フェリーに親しげに ....
{画像=110126124855.jpg}

小さな南の島の
星砂の浜に
小さな青海亀が生まれました
波の泡のように柔らかな水色の甲羅を背負った
たくさんの子海亀たち
まあるいお月さ ....
とろりとろりと
日が暮れて
お社の石灯篭の暗い影
僕の背丈より
いつの間にか長い

鬱蒼と生い茂る鎮守の森
空にはねぐらに帰ってきた鴉の
黒く騒がしい群れ
忍び寄る夕闇せかされて
 ....
丸い鈴の葉と
赤いリボンを生やした大きなポプラの木に
いつからかカメレオンが一匹棲みついた


僕はいつもプロペラ飛行機の窓や
鉄格子の向こうからそれを見ていた


彼はとても臆病な ....
最近では人の姿もめっきり少なくなった

街角の公園


細い木立の合間

ブランコが木枯らしに揺れる


寝そべり始めた太陽が

砂の上にいくつも影を落とす

錆付いた ....
瀬崎 虎彦さんの楽恵さんおすすめリスト(12)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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