今夜もまた、ワインよ
いちにちの疲れ、オレにさしだせよ
おまえに
オレにしかできないこと、してやるから
めがね、はずせよ
それで、おまえは
ほんと、のはだか
....
コーラを飲む娘の横で
携帯電話にテキストを打ち込む
ブラックダイヤモンドって知ってる?
娘から話しかけられても
テキストに気を取られて
生返事しかできない
ロビーのソファーに座 ....
寿司です
カウンターで寿司です
酢の匂い
きりっとやわらかい
食いもんの
わくわくする湿気
春の夜がスピンしている
既得権は
からだを支配する
....
ひとり部屋
にも関わらず
感じる別の温度
わたし部屋
にも関わらず
散らかされた言葉たち
わたしが私から
出ていくことはないから
それもこれも
....
誰かの哀しみを拾い上げる
冷たい小糠雨に濡れ
誰かの哀しみは
つぶらな瞳でわたしを見上げたように思えて
この胸に優しく抱きかかえた
歩道橋下の暗がりで拾い上げた
誰かの哀しみは
手の ....
それは今日ではないのか
かつて疑い
そして抗い
やがて慣れ
いずれ飽きて
強くなったのではない
君が目を覚ますのは
いつも五時間目の
誰もいない教室
窓際のその机の上 ....
罪深い
赤を飲み干す
キール・ロワイアル
これくらいじゃ
酔わないはずなのに
微かに
血の香りがして
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萩原朔太郎の詩に 『 漂泊者の歌 』 があります。
少し長くなりますが、引用します。自分が詩を愛する理由の一つであると同時に、今、自分が詩を書いてい ....
父は毎日仕事で帰りが遅く
平日は構ってもらえなかった
父は日曜日になるとキャッチボールをしたがり
僕はよく公園に連れて行かれた
普段からあまり活発な方ではなかったので
あまり楽しくはな ....
この坂道をくだるといつも、だっくだっくと体がバラバラになりそうになるのを骨だけが繋ぎとめているような気がして、吉梨三郎は不快なリズムを味わうのだった。
それならバスを使えばいいのだが、三郎はそう ....
窓の外を眺めております
もうずっと前から
私には四角い空しか知りません
その青に雲が流れ小鳥が踊ります
外はどれほど魅力的でしょう
溜息を舌の上で転がしながら
よく考えます
外は怖い ....
信じられるかい?
この恋する瞳には
君が輝いて見えている
どこにいたってすぐわかる
他の誰よりも大きく大きく
大きく大きく見えるから
そのまま逃げるな
聞いてほしい
ボクの気持 ....
ときに
死にたいとすら思えないくらいつらいことのあとには
生きててよかったとすら考えない充実感があるもので
ただそれを味わうためには少しばかりの勇気が必要だ
でもそうなれたら
....
{画像=080315002645.jpg}
きょうもまた
独り、
みなの寝静まった寮に
幼児の瞳を輝かし、
いじけた手足を伸ばす時、
心は嵐の後の
蜘蛛の巣のように、
暗く重たいものを ....
光の速さで君とすれ違う
ものすごく
速いスピードで
麗かな春の景色にも逆らって
不思議だね
同じ日にまったくの
逆方向に向かうなんて
今の距離より
はるか遠く
嘘を本当に ....
言いたいことが
あるんでしょ
いまのうちに
言って
月が射している間に
そのあと
そのあと
わたしは
闇を彷徨うから
月の光が
私の影を落として
さよなら ....
あの襟を 整えてみる 心にて 生まれしヒロイン 凛乎たる風
{ルビ温=ぬく}き陽に メトロノームも 居眠りす {ルビ幽=かす}かに聞こゆ {ルビ古=いにしえ}の歌
旋盤が 削り出す ....
雨降りの日には
家路をたどる小学生
目につくのです
そして
なぜかは分からぬけれど
私の家路を思うのです
雨降りの日には
母の歌を口ずさみ
家路をた ....
雨がぽつぽつ音たてて
こころにちいさなドット
貼ってゆく今なのです
私の汚れたおこないが
なんとは知れない法則で
清浄められてゆくのは
春、曇りの空に、そんな日 ....
同心円でありたいのです
それぞれの速度で広がる
無数のわっかのなかで
波紋を重ねたいと
降り始めの一滴になりたいのです
そのひとのほほで流れれば
きっと振り返るでしょう
手のひらを空 ....
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歌うことしかない、
と思い詰めることができること、
それは大きな才能だ。
僕らはどこかにそんな恃む心によって立っている。
危うい均衡なのだが、
....
まわりが
笑う
わたしは
なにが可笑しいのか
よく
わからない
まわりが
歌う
わたしは
メロディがつかめない
まわりが
傷つく
わたしのことばに
わたしは
じぶん ....
なだらかな曲線や
いびつな凹凸も
形通りに
そっと撫でてやると
こわばった起伏が
するん と解けて
一本のゆるんだ線になった
とたんに安心して
ぽろぽろ涙をながす
キ ....
水彩画の背景を
紫の濃淡で塗りつぶしたことがある
いつも通りの'Aをもらい
わたしはそれを忘れ去る
あれは何の背景だったか
紫は
幸せのように見え
不幸せのようにも見え
甘 ....
それは春だったから
わたしは
疑うことを
知らずに
透明な水に
ゆるり、と入って
冷たい水のなか
人魚を探した
水中から
見上げる空は
鱗粉がきらきら光って
わた ....
なきたいときには なけばいい
僕たちは何かをためらうことばかり
覚えていて
ほんとうの声をなくしてしまった
声帯が震わせるものは空気
音にしかなりきれない
言葉のオブジェ
である理性 ....
ずっとやさしく包んできた
大事に育て暖めてきた
そんな言葉たち
全て私から生まれてきたものなのに
どうしてだろう
この世の風に洗われた瞬間
石のように色を失い、凍りつく
発せられたその時 ....
自分が忙しいときほど
周りにやさしくありたい、と
思います
周りが忙しいときほど
あたたかく包んであげたい
そう思います
本当は手を貸してあげたいのだけど
今 ....
ホリデイ
青空にはためく白い洗濯物
私は音の出ない口笛を吹きながら
遠くに走る車のきらめきを見ていた
いつか見た潮騒のようだとふと思う
あなたはまだ帰って来ない
風が気持ちいいわ 春のよう ....
戦争がなくなっても子供たちの心は平和ではない
青年たちの心も
大人たちの心も平和ではない
人間関係に悩み
自信の無さに悩み
何も
変えることのできない日常に悩む
わかりやすい悪は戦争 ....
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