道端で
ガードレールを呑み込んで
冬の蛇が死んでいた
白く 汚く
冷たく 硬く
すべてに背中を向けていた


ひとりの少女が泣きながら
蛇の頭を撫でていた
私は言っ ....
荒地に倒れた鉄塔に
花と葉と鱗に覆われた子が棲んでいた
やまない雨のなか
たったひとりで
ひとりの赤子を生んだあと
風の向こうへと去っていった


雨が近い午後の下
 ....
暗がりのなか
細い光に照らされて
一匹の蛇が泣いていた
目を閉じたまま
わずかに汚れた白色に
かがやきながら泣いていた


蛇から少し離れた場所に
ひとりの少女 ....
古い写真
同じ年の子供たちが
いっせいにポーズをとって
こちらを見ている
覗き返す
私と
唯一
目が合わなかった
十歳の私

偏屈な子供
いつもみんなが
ガラスの向こうにいるよ ....
壁中に
血痕
が散っている夢を見たとして
それが
結婚
のメタファーだと
言われたら
私の結婚は
壁に描かれた模様のようなものなのですね

言ってみたくなる
言ってみたあとで
 ....
林のなかのどこからか降る
ぼやけた影の重なりが
手首にふたつ震えている
青と緑の輪はまわる
音は少女の手にむずがゆく
降りつづける影をゆらす
鱗の血が
花の血が
笑 ....
ある時あなたが産まれた
あなたを抱いた看護婦さんは
「わあ〜やわらか〜い」
と、とても暖かな気持ちになった

ある時あなたは小さな子供で
あなたのまるいほっぺたを見たおじさんは
「ああ、 ....
降りてくる空
降りてくる影
枝に重なる
灰色の横顔
すぎる鳥が
すぎる冬が
小さな建物を見つめている



家と家の間の景色が
まるくふくらみ はみ出している
赤 ....
きれいな稜線が映える山でした
その麓で漂う日々は
差し込む斜陽を大理石とし
明月に化粧を浮かべ
見るものを穏やかにして
守るものを強くしました

ある日
順番来たのではなく
時が訪れ ....
船の重さに泣く海から
浪のかたちの水柱
けもののように吠えのぼる
冷えては骨に染まる鳥
心なき王国をかいま見る



低い月の光にまみれて
甘いにおいを
鏡の道 ....
まなじりにひらく羽
空の水をとおる
半透明の光を見つめる
はばたきのなか まばたきのなか
ひとえ ふたえ
瞳は空と話しはじめる


白い終わりの木々に囲まれ
道の無い ....
さみしかったけど
雨が降っていたから
窓を少し開けて外を見た

空中で透明な雫達と
輪舞曲を奏でる
桜の葉たち
落ちてゆく哀しさは
私が見守ってあげよう

地で雫が揺れていた
桜 ....
天気雨が終わり
朝が降る
花の頭の魚が
光の首の鳥が
幾つもの頭の獣が
何匹も空へ昇ってゆく
海のなかのふたつの木
冬の終わりとはじまりのように
降りそそぐ朝のなか ....
北風が かたく きつく しめつけてしまえば
少しは私も落ち着くだろう
冬の空から放たれる薄い陽射しの中で
動かない空を見つめていた

冬の空には何かがある
いじらしく思わせる何かがある
 ....
土と風の間を
蝋燭の火が流れてゆく
緑の夕方を
横たわるひとりの子の上を
枝の影は伸び
透きとおり 重なり
森のなかの道を指さす


雲が雲を吸い
空を明るくに ....
散る空があり 重なって
地にひとつの花を描いた
子供がたくさんの光を飛び越えていった
声の飛沫はらせんに昇り
かがやきとかがやきとかがやきの差異が
手をつなぎ かすかな羽 ....
長いこと沈黙していた
アスファルトの隅で
地面のざらざらの下にある
本当の地面を思って

空の底には
まだ底がある
底の底は
地球の裏側の
空の底

夕暮れ
ノアの箱舟に
オ ....
風があり 葉があり
木々はゆっくりと点滅する
空にとどまるもうひとつの空
もうひとつの深緑
風になれないふたつの風


一本の木が
朝をさえぎり
音をさえぎり
 ....
白 灰 午後 虹
放られたままに響く冬
窓に映る野を馳せる
手のなかの声 粒の声
まわる色 重なる色
水に濡れた小さな神話の
終わりとはじまり


陽から降りつづ ....
頭がしゅうしゅうする
曇り空に
赤い点
落下傘が流されていく
ごまつぶのような黒い人かげ
大きな指が
垂れこめた雲に
文字を描く
地上にひしめいている
誰もが
しゅうしゅうしている ....
みかがみが
てらり、と照らすので
波紋がまぶしそうに空気をつたっていく
みだれ飛ぶひかりがひとしずく
手のひらに落ちた
代わりにチェリーをひとつぶ落として
みなもを揺らし、くり返す

 ....
たくさんの雀が
それぞれの空を持ち
わたしの内をはばたいている



淡い羽が 喉を昇り
外に出て 腕に乗り
別の色の 空へ帰る

繰り返す



今ま ....
ビンいっぱいに詰まったビー玉
フタに開けた小さな穴を
片目で覗き込むと
不思議な光の模様が見えた
きれいでしょ
となりん家のけーたくんが
得意げに笑った
世の中には
キラキラ光る透 ....
  感じない掌の上に
  鳴かない鳥が
  人のように瞼を閉じる

  冷たい雨の降る
  コンクリートの上で
  静かに眠りにつく
  戯れるように
  温度を残して  ....
ボートから転げ落ちて溺れた
一人目の男は
すぐに飛び込みすくい上げてくれた

ボートから転げ落ちて溺れた
二人目の男は
携帯電話で助けを呼んでくれた

ボートから転げ落ちて溺れた
三 ....
つたえたい
ひとが
みつからないので
てを
ぶんかいしてみた
なかから
ないふがころがりでてきた
ころりん

つたえたい
ことが
みつからないので
かみを
ぶんかいしてみた
 ....
いい天気ですね
がはじめの言葉だった
G線上のアリアが流れていて
あんまりできすぎたシチュエーションに
笑いをこらえるために
コーヒーを一口すすってから
やっと私は
ええ
と答えたのだ ....
冷たさだけの空を流れる星に
母親は

わけのわからない詩を書く子より
ボーナスの出る職に就く子がほしい
と願った

堕ちる天使と微笑む地使に
自分は

わけのわからない言葉以外
 ....
誰にでも 好きです
好きです と言って
みなを集めてまわる詩人を見て
自分は死ぬまでひとりでいいや
と思った


誰からも 好きです
好きです と言われ
みなに囲まれている詩人を見て ....


野村さんの奥さんにはきちんと名前があるが「野村さんの奥さん」と呼ばれても野村さんの奥さんはあまり気にしない
野村さんの奥さんは決して「若奥さん」なんて呼ばれないことを知っているがそ ....
ダーザインさんのおすすめリスト(369)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ノート(冬の蛇)- 木立 悟自由詩704-1-17
ノート(春の蛇)- 木立 悟自由詩304-1-16
ノート(夏の蛇)- 木立 悟自由詩804-1-15
視線- 岡村明子自由詩704-1-15
うらない- 岡村明子自由詩204-1-11
連輪の蛇- 木立 悟自由詩504-1-9
ある時あなたは- ふるる自由詩11*04-1-9
異命へ- 木立 悟自由詩304-1-9
選ばれしもの・・- 純太自由詩104-1-8
光がひらく原- 木立 悟自由詩404-1-6
降り来る言葉_Ⅱ- 木立 悟自由詩204-1-4
桜の川- 純太自由詩304-1-3
降り来る言葉_Ⅲ- 木立 悟自由詩404-1-3
北風が_かたく_きつく_しめつけてしまえば- 野島せり ...自由詩604-1-3
降り来る言葉_Ⅳ- 木立 悟自由詩204-1-2
降り来る言葉_Ⅵ- 木立 悟自由詩303-12-30
球形の休憩- 岡村明子自由詩403-12-29
降り来る言葉__Ⅷ- 木立 悟自由詩403-12-28
降り来る言葉_Ⅹ- 木立 悟自由詩503-12-26
低気圧- 岡村明子自由詩403-12-26
隠れる湖- からふ自由詩503-12-25
ノート(雀)- 木立 悟未詩・独白403-12-18
原石- アンテ自由詩5*03-12-13
優しい鳥- つきのい ...自由詩2903-12-7
溺れる- 岡村明子自由詩1103-12-6
てがみ- アンテ自由詩403-12-4
Air- 岡村明子自由詩803-12-3
ノート(40Y・11.23)- 木立 悟未詩・独白303-11-27
ノート(ひとり)- 木立 悟未詩・独白403-11-27
つみうみ- いとう自由詩1903-11-26

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13