すべてのおすすめ
女の子たちが夏休みをしている
いろんな陰のなかで
いろんな汗をかいたり
夕焼けが日ごとに赤くなるのに
あせったりして
わたしもかつて女の子だったけど
いつの間にかそれらは失われてしまっ ....
はす向かいの煙草屋から2メートル借りて
となりに住む大学生から4メートル借りて
街頭募金を装って6メートル借りて
それでもたりなかったから交番へいって3メートル借りた
夜爆発して
住人が ....
とにかく熊は
とてもつかれて
泳ぎはじめた川の途中で
夢をみることにした
川を渡りきる夢を
熊は
夕やみは
あ と言うまに夜へ伸びて
人びとを愛へ仕向けます
....
もうああいう風にはできないかなと言ったらそうなりそうなので口を閉じて笑った。友人は複雑な色合いの冬のコートを買った、よく似合っていた。
電車には、相変わらず知らない人がたくさんいる。知らないひと ....
はずれるとき
音はただしい
はじめからはずれていた
輪は閉じていた
幾たびもはずれながら
いちいち動じている
しかしながら
はずれるとき
あきらめはもう終わっている
そし ....
どういうふうに笑えばいいか知っていた
人びとが納得するために
どういうふうに傾いで、
どういうふうに泣けばよいか
いまは
だから
どういうふうに笑えばよいのかわからない
自分の納 ....
宝籤はもうずいぶんりっぱな犬になった。しっぽのわずかな先と、胸もとと、それから腿のうしろにも毛羽立つような白い毛が生える、黒い犬だ。しっぽは太くてたっぷりしていて、よく動く。
雨のあがったきょう ....
あんまりにびしょびしょで
かまわないまま
それがなにかも気にせずに
奪いあったものだから
愛みたいにおもってしまう
ただのセックスを
それ以外のかたちにくり抜こうとしたから
からだは ....
かげろうみたいに
日々は
嘘になるから
それなら
特別うすく
上等のにしよう
むこうがわが透けてみえるような
いつでもそれが
透けてみえるような
からっぽをからっぽで埋めからっぽで蓋をしててもあふれるからっぽ
わたしをAと見たて踊らせるのは
おそろしいことにちがいなかったが
おかげで血はとまった
うすばかげろう、
知らない言葉を育てることで
知らない自分を見捨てることができた
(辞書はよ ....
ま昼にうす闇の絶望をえがいて
えがききれずに筆を折るのはおよし
空はまいにち傾いて
だんだんに染まる木々や青を
眺めている場所がちがうってだけだろう
筆を折るのはおよし
ま昼にはま ....
コンビニエンスストアで売っている、ひと口でたべられるゼリーは、ふたのビニールを開けるときにぜったいになかの汁がとびでてくるので、指がべとべとになってしまう。だから夫はそれを食べない。
夫のいない ....
あおじろい腹をうかべて魚たちが浮んでいる浮んでいる水
を引いた稲の緑が斑に褪せる褪せた色
の壁に凭れる男が胃の中のものを吐き吐き
捨てられた理想は街中に小高く積まれる
美しい世界で生き ....
文字や言葉にいつのまにか課せられている枷をはずしてあげると、詩になる。
生きるということの意味を考え、だんだんと自由になってゆくと、それが死であることとは、ちょっと似ているかもしれない。
....
ニューヨークでは足の長い東洋人が
いかにもという感じで空気をからめとる
ナイフとフォークで
時計塔には言葉が残された
毎晩零時ちょうどに人々に配信される
泥となって
書物は芸術 ....
みず色を捨てられぬまま成人し 春をうっては剃刀を買う
上等の夜と下着とかみそりは薄っぺらいほど ななめに刺さる
春の背に流れていたのが情でなくただのいつもの赤い血だったら
泥を食べ泥に抱かれて遠くまで来たはいいけど曇天の海
ぬかるみに口づけをする三月晦日 とう‐かい とか言う言葉を浮かべ
猫転ぶ転んだ先の恋かわいい
日が落ちたら
手をつないで出かけよう
この世のきれいなものはみんなだれかのもの
まだだれのものにもなっていない一日を
この世でいちばんさいしょにみて
それを宝物みたいに抱いて別れよう
....
ひとの手でひらかれてなお閉じている 体から出る術を知らない
吊るされたカーテン わたしはここにいて光の落とす影を見ている
陽と月の長さをわけるいとなみを あしをそろえて外をみていた
群衆のみている色のはんたいのいちばん端に紐をゆわえる
日のくれるながさに臓のかたむきをあわせひそめる影のようになる
う ....
しらないことを
データベースに問いかける
もうそんなふるくさいことは止して
問題は解決しない
それは人生だもの
はやく踊りに行きましょう
心地好いもの。朝のコーヒー、牛乳の存在、波のあわ立ち。登校中の小学生のさえずり、猫のあくび、晴れた日の窓のそば。日曜日の心臓の音、プラスチックの静謐、枯れた木の肌。
心躍るもの。挑戦的なメイク、 ....
疲れている。咳がつづいている。
疲れているし、混乱している。
混乱と混乱のすきまに、しずかな時間があるのだが、すきまの時間がどんどん短くなっている。わかっている。どんどん短くなったのちに、また ....
ふわふわとか
たっぷりとか
ふざけるな
切実さが足りない
相応しさとか
ぬくもりとか
真実とか
いい加減にしてくれ
せつないんだよ
コンビニエンスストアの
陳列棚に
....
おわりに腰をかけて
せなか側の世界をのぞいた
おわりに腰をかけて
いったいどちら側へゆけばいいだろう
いま
星がわずかに降っている
友人からのながい電話を受けていると、耳もとで言葉がばら、ばら、と雑音のように崩れていく。夜。夫は仕事のあとに飲み会があると連絡をくれた。冷めてしまったスープ、かたくなったパン。きのうやっと出してきた、 ....
なけなしの力で振り払うことができたのは小さな羽虫一匹
このまま朝も夜もなく愛し合って死なない?世界じゅうの時計の針を盗んでしまわない?ねえ大事な話をしているのにスープにラムを入れるのはやめてくれない?靴下が左右違うんじゃない?些細な問題にとらわれすぎなん ....
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