罪について/(林檎)
はるな
ニューヨークでは足の長い東洋人が
いかにもという感じで空気をからめとる
ナイフとフォークで
時計塔には言葉が残された
毎晩零時ちょうどに人々に配信される
泥となって
書物は芸術的に積み上げられ彩色され
氷結させられ溶解させられ
論じられ、そしてまた本棚に積み上げられる
世界が一回転するあいだ
夜は昼から逃げつづけ 朝は夜を追いまわし
人々には毎晩配信される
ナイフとフォークでからめとられた
空気が
泥となって
そして 誰ひとりとして
林檎の皮を丁重には扱わなかった
でも皮はそこにあったのだ
人々が勝手に
溶解している間にも
ずっと