罪について/(林檎)
はるな


ニューヨークでは足の長い東洋人が
いかにもという感じで空気をからめとる
ナイフとフォークで

時計塔には言葉が残された
毎晩零時ちょうどに人々に配信される
泥となって

書物は芸術的に積み上げられ彩色され
氷結させられ溶解させられ
論じられ、そしてまた本棚に積み上げられる

世界が一回転するあいだ
夜は昼から逃げつづけ 朝は夜を追いまわし
人々には毎晩配信される
ナイフとフォークでからめとられた
空気が
泥となって

そして 誰ひとりとして
林檎の皮を丁重には扱わなかった
でも皮はそこにあったのだ

人々が勝手に
溶解している間にも

ずっと



自由詩 罪について/(林檎) Copyright はるな 2013-04-20 23:49:37
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