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往来へでて
てきとうな影をみつけては持ち帰るが
どれもやはりあなたではない
晴れた日には
いつもより多くの影が行き交うが
どれもやはりわたしではない
くもりの日
沸点をこえた ....
ほかでもないあなたと
どうしようもなくなりたい
雨の日に雨だれを数えながら飢えていくのもいいし
乾いた日に蟻をつかまえて拷問するのもいい
湿った毛布のなかで賞味期限の切れたひき肉みたいに絡 ....
うたは
くちびるからうまれる
のではなく
こぼれるだけ
うたは
じぶんが
出でるべきくちびるを
じぶんでえらんでいる
うたをうたっていると
思い込んでいるひとの
なんと ....
あるだけの星をあつめて飾る身をうかべる水は暗く濁って
強くなる光をまともに受け止めてだんだん薄くなる子どもたち
物事が真実である必要はない。
あるとききゅうに、自分について大事な物事に気付くことがある。
それがきょうはそのことだった。物事はただしくあるべきだと思う。少なくともわたし自身は物事にたいしてただし ....
宇宙はこわれて
とろとろの熊になった
やわらかで許された
ひとりぼっちの熊
わたしが出会うのは
その熊の孫の孫の孫の孫
なのだけど
まだだれも知らない
とろとろの熊しかいない
....
ことばで繋ぎ止めることの軽薄と残酷を知っているつもりでいても、ことばに繋ぎ止められることは何だか快感であるような気持ちがする。ということをふっとおもった。ことばはとてもたやすい。信じやすい。信じや ....
女の子がさみしがるのは
しかたない
身体の真ん中に
おおきな空洞があるし
男の子が暴れん坊なのは
しかたない
身体の真ん中に
収まりきらない剣があるし
ふたりが組み合うのは ....
知ることの無力さを知り無味を知り知らぬままいる恐ろしさを知る
上下する正しさのある胸のうちに 隠し持つ劣等の甘く腐れる
寂漠の砂地は濡れずざらざらとながれる雨の無情さ ....
ママあたしはよくわからない
生きることもごはんを食べることもひとを愛することもひとに愛されることも
ものを大事にすることも手に入れるということも失うということも
夏があって冬があって春には花 ....
ぱんぱんになった子ねずみを三十か四十集めて家中でレースをしたい
なだらかな丘にそよぐささやかな草原を剃り落としたい
甘やかなミルクを二週間あつめて煮詰めて飲み干したい
扉のおくにある柔ら ....
ケーキを食べたのは
ケーキを食べている女の子になりたかったから
ケーキが食べたかったわけじゃない
ケーキを食べている女の子になりたかった
正しくはないとしりながら、あの背中にもう一度触れなければ詩を詠むことができない気持ちがする。脂肪の薄い、汗ばんだ背中。皮膚の内側にとじこめられた熱、その裏側にある動物みたいな匂い。
数えるほどし ....
写真を撮らなくなって一年ほど経った。しかし少しまた絵を描くようになって、カメラを使っているときにはほとんど絵を描いていなかった、文章だけはいつのときも書いている。
物事をおこなう上で(ここでは創 ....
あかるさに開いていたのはこころでもからだでもなく精神でした
マニキュアが剥げちゃったから帰らなきゃ 爪のさきまであたしでいなくちゃ
ふりむいて、そのときにまだちゃんといて 先に終わるな ....
愛というのは、感情ではなくて状態ではないかと思う。持続するある関係性の状態を指すのではないか。あるいはその関係性のなかにいる自分自身の状態。
これは愛に限ったことではないけれど、感情があまりに一 ....
恋人はときどきすごくやさしいので、わたしは我を失ってしまう。
恋人は、完璧に、臆面もなく、溢れるようにやさしい。それはでもただしいことではないのだ。
ニュースをみて泣いたのは、恐ろしかった ....
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