中心へ向って途絶えない無数の
緑の中に駈け寄って
眼の後ろで呼ばれた光は
しだいに
向かい合わせた最後の場所で
塵に変わりゆく扉に刻まれても
痛みのオウトツを識らない
薄まら ....
0
プラズマ
プリズム
スコープの内側
気を失いそうなくらいに
星空だけがキレイだった
1
キラキラと一本に光をうける溝のなかをビー玉が転がっていく
....
仄暗い公園のベンチで
みかんの皮を食べろと言われている老人が
喜んでと言って頬張っていたのは新聞紙
これでいいですかとにこにこしながら
鳩の目で少年たちを睨みつける
ぽおっぽっぽっぽ ぽ ....
晴れた空は、あまりに眩しくきれいだ
幼い頃、一番欲しいものはなあに?と問われて
そら とは答えられず
むきかごーぶつ と答えた
(空は大きすぎて僕のおもちゃ箱には入らないとわかっていたから ....
朝靄の中
頼りない影を引いて
配達夫は世界の悲報を配るのに忙しい
昨日のキスは二人しか知らないこと
ベットに傾けようとしたとき
「今夜はいや。」と云った君の
声の湿度は僕の鼓膜しか知ら ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
私たちは秘密の恋をしているから
今、この左右の本棚たちが倒れて私たちに襲いかかってきても
文句はいえぬ
指と指をわずかにからませ
古ぼけた本のカバーが少し破けて
顔を見合わせて、笑う
....
きぃ
きぃ
きぃ
身体ごと
時間ごと
空に放り出される
日常の中で
くすぶった思いを抱えたままの
私を放り投げる
留まろうとする
観念 ....
あまりの暑さにクーラーをつける
よほど暑かったのだろう
いろいろな動物たちが家に集まりはじめ
またたくまにいっぱいになった
長い部位をもっている動物はそれをたたんだ
肉食動物は捕 ....
風船
つばめの急降下にも
動ずることなく
ただよう風に押されて
やがて 点
水面に映る丸い残像
滝
世の中のすべての音を盗みながら
アピールするものは
引力 ....
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点 ....
ずっと前に失った夢を
突然 取り戻したい衝動にかられ
クーデターを起こそうと決めた
今さらだけど かなり本気
鉛筆をくわえて
作戦を練りながら
テレビを付けたら
いつの間にか
....
「もしもし、もしもし、神様ですか?」
祖父から譲り受けたアンティークの電話機で、佳子は今夜も何者かと会話している。その電話機は飾り物でコード゙は何処にも挿してない。まあ、神様の声を聞くのに電話線を ....
ただ ただ
あなたが好きでした
好きなだけの恋でした
それすら
あなたを苦しめるというのならば
もう わたしは
かたつむりになって
黙って
ここから去ろう
ゆっくりと
....
雪の降る夜
暗い工場脇で
体を探りあったこと
覚えてる?
あなた息遣いが
荒かった
学校帰りの
暗がりで
キスをしたことも?
二人とも
熱くなったね
寒いのに
....
使っていない電話器が時々鳴る
コードは何処にも差してない
その受話器が持っていた番号は
もう何処にもないんだよ
遠い昔つながっていた
あなたの電話番号も
もう何処にもないんだよ
あな ....
風の強い夜だ
下弦の月のまわりに
虹色の光の輪を作っていた薄雲が通り過ぎる
窓辺に焼きついた油色の日々が
ガラス板から流れ落ちる
星々がさわさわ震えている
明滅する交通誘導棒を持ち ....
ノート2002.7.29
工事車両の下によもぎ色の猫が一匹入りこんだ
知っているかい?
猫はエンジンオイルのこげた匂いなんかが好きなんだ
ときどき思うんだ
トラックの下にもぐりこんだまま ....
鳥は自由に飛ぶ
一本の線によってへだてられた空間を
風つかいのグライダーのように滑空し
大気をはらんだ凧のように静止し
熊蜂のように羽ばたいて流れの外に飛跡を残したりして
そして時には それ ....
春を待っていた
電信柱の脇に
タンポポが顔を出して
庭のハナミズキの枝先に
小さな葉が芽吹き
桜が 今何分咲きだとかって
世間が騒がしくなったり
それでも まだ
春を待 ....
好き?
と彼女に聞かれたので
好き
と彼女に言う代わりに
100行の詩を書きました
それはそれは思いを込めて書きました
100行じっくり読んだ彼女が言いました
で ....
音と音のはざまに積もる景
積もることなく消えてゆく影
夜の雨のむらさきが
朝の雨の金に変わる
そのはざまの 一瞬の銀
ふるえのはじまり
つづくはじまり
はじまりとはじ ....
君が積木など買ってくるものだから
僕らは積木遊びをするしかなかった
家をつくって
壊し
城をつくって
壊し
他につくるものなど知らない僕らは
やがて一つ一つを並べ
街をつくり始 ....
回転寿司屋に入ると
寿司といっしょにジュースの缶が回っていた
しかもプルタブはあいていて
中身が入っていない
すいません、これ何ですか
ええっと、空き缶ですが
何の意味があ ....
【透明人間の憂鬱】
透明人間の悩みは
最近、髪の毛が薄くなってきたこと
これでも若いころは
リーゼント、ヨロシクきめて
ハマのあたりでバリバリに透明だったぜ、ってなもんで
今ではバ ....
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